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酪農を糸口に、100年後の社会を考える

みなさん、こんにちは。牛ラボマガジンです。牛ラボマガジンでは「牛」を中心としながらも、食や社会、それに環境など、様々な領域を横断して、たくさんのことを考えていきたいと思っています。

東京大学には、「One Earth Guardians育成プログラム」というものがあります。これは、「地球からまなび、地球を守る」をコンセプトに生まれた、100年後の地球を考えるためのプロジェクトです。このプロジェクトでは、100年後の地球を守るための人材を「One Earth Guardians(地球医)」と名付け、育成しています。

このプロジェクトの立ち上げや運営に関わられている東京大学の高橋伸一郎教授のインタビューはこちら↓

千葉ウシノヒロバはこのプロジェクトと連携し、これまで3回にわたって、「100年後の酪農を考える」という未来志向の取り組みを進めてきました。今回の記事では、昨年度の様子と今後の取り組みについてお話したいと思い
ます。

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昨年度は、4名の学生に参加していただきました。学生のみなさんには、徐々に衰退していく日本の酪農が今後も生き残っていくためにはどうしたら良いのか、100年先にこの文化を伝えていくために何ができるのか、そういった大きなテーマを掲げた上で、目の前の現実に向き合っていただきました。

学生のみなさんは約半年間、千葉ウシノヒロバでのフィールドワークや私たちとのディスカッション、各自でのリサーチを行っていきます。

課題として、輸入飼料の高騰や機械の導入によって小規模酪農家の衰退が予想されることや、多くの日本人がアニマルウェルフェア(動物福祉)を認知していないことなど、生産から流通・消費の過程、倫理の問題まで、幅広い問題が見つかっていきました。

そして最終発表では、食品残渣(ざんさ)を原料とした飼料であるエコフィードの導入による飼料コストの削減や、現在の日本における酪農構造、対外政策を見据えた時の技術協力、ブランド開発などさまざまな提案がされました。

それぞれの提案には、各分野における業者との連携が必要となる上、それらを実施する余力が現在の酪農業界にあるのかなど、さらなる調査やコミュニケーションが必要になってきます。課題や解決方法は少しずつ見つかってきたものの、実際に解決に向かうまでの道のりは、まだまだ長いものがあります。

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4回目となる2023年度は新たに「科学と哲学から考える、動物・人間・自然」をテーマに実施しています。昨年度まで「100年後の酪農を考える」という、「酪農」にフォーカスをあてたテーマでしたが、今年度は幅を広げ、抽象的な思想を大切にしながらももう一歩踏み込んだ企画や計画が提案されることを望みます。

日本や世界が抱える問題は、酪農文化の衰退だけではありません。自然との共生、幸福度の向上、人口減少、ゴミ問題など、世界のエコロジーの課題から個人のウェルビーイングの課題まで、たくさんの問題があります。ウシノヒロバは、牛をきっかけとしながらも、自然や人間のことなど、たくさんの問題に向き合っていくことで、社会にとって必要な場所になることを目指しています。

これまでは「酪農」というキーワードから、飼育や乳製品に目を向けてきました。しかしながら、牛と私たちの関係はそれだけではありません。ウシノヒロバの持つ可能性はそれだけではありません。千葉ウシノヒロバでは「牛と人と自然が、穏やかに交差する場所」をコンセプトとして掲げています。東京大学とのこのコラボレーションが、牛や酪農を糸口に、社会に対して誠実に向き合うきっかけになればと思います。

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牛が暮らすキャンプ場「千葉ウシノヒロバ」のホームページはこちら。
宿泊の予約のほかに、オンラインショップではオリジナル商品などを購入することもできます。

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(執筆:伊藤紀慧、編集:山本文弥)