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何気ないコミュニケーションを大切に、「お帰りなさい」と言える場所をつくっていきたい。千葉ウシノヒロバメンバーインタビュー⑧田中順子

千葉ウシノヒロバでは、毎週土曜日になると色とりどりの野菜が並ぶ「とみだマルシェ」が開催されています。そこでは、千葉の農家さんが大切に育てた千葉野菜やウシノヒロバで採れた野菜、また、ウシノヒロバオリジナルのフードなどを販売しています。

そのとみだマルシェをオープン当初から支えているのが、田中順子さん(以下、じゅんこさん)です。

人と人がやさしく交わりながら開催が続いている「とみだマルシェ」。マルシェから生まれるつながりはどのようなものなのでしょうか。今回は、マルシェの運営を担当しているじゅんこさんにお話を伺いました。

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千葉を一緒に盛り上げたいと思う人たちで成り立っています

もともとカナダのキャンプ場で働いた経験があったじゅんこさん。千葉にあたらしくキャンプ場ができると聞き、求人に応募したといいます。

「応募するときにホームページをみて、ウシノヒロバは観光で儲けようというのではなく、廃業に追い込まれる危機を救い、社会問題に取り組む施設という印象を強く受けたのを覚えてます。残さないといけないものを継承していこうという価値観の会社ということ、もう一度自然のなかで体を動かしながら働けることに惹かれました。」

過去の経験もあり、てっきりキャンプ場の運営をするものだと思っていたので、まさか自分がマルシェを担当することになるとは思ってもいなかったと話します。

「農業に興味はあったのですが、仕事として第一産業についての知識がほとんどありませんでした。野菜の仕入れや、取引先の農家さんとのやり取りが私にはできるのだろうかと不安でしたね。でもマルシェ担当になったからにはやるしかない。右も左もわからない状態だけれども手探りで、周りの人に相談しながら進めていきました。」

毎週土曜日に開催を続けているとみだマルシェ。運営を続けるためにやらなければいけないことがたくさんあります。マルシェで野菜を販売していただく農家さんと話したり、お客さまのニーズを考えながら野菜を仕入れたり。また、仕入れた野菜をどのように見せるかを考えて売り場づくりを行い、じゅんこさん自身が接客と販売まで日々行っています。

「一番苦戦したのは、新規で契約農家さんを開拓することでした。やはりビジネスなので、聞かれるのは、集客はどのくらい見込めるのか、どのくらいの量を仕入れてくれるのかという点です。普段農家さんが取引しているスーパーさんとウシノヒロバでは規模が全然違うので、少量の野菜で取引してもらうことはなかなか難しいものがありました。その中でも、契約してくださる農家さんは、グリーンツーリズム[※1]として千葉を一緒に盛り上げていこうと共感してくださる方が多いです。少しでも農家さんの売上につながるように、私たちも観光農園としての役割を活かしながら、売り場づくりや接客販売を行っています。」

※1 グリーンツーリズム:「緑豊かな農村地域において、その自然、文化、人々. との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動」と農林水産省が定義する、観光のスタイル。千葉ウシノヒロバは千葉市内陸部のグリーンツーリズムの拠点として、さまざまな活動をしています。

目の前にいる人が持つストーリーをイメージしながら会話をすることを大切にしています

マルシェの担当としては、数字を管理しながら、売上を上げなくてはいけません。売上を上げると言うと「営業して商品を売る」とイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。たしかにその通りなのですが、じゅんこさんは数字を上げるために販売を頑張るのではなく、おしゃべりが好きでたくさん話をした結果が売上につながるというスタイルを大切にしているといいます。

「相手の話を聞き、求めているものが何かをちゃんとキャッチする。そして、求めているものに対しての答えを渡していく。その繰り返しだと思っています。売ろう売ろうとしすぎると、逆に売れないんです。楽しくおしゃべりをしていくなかで、相手の気持ちを引き出して、話を聞いてたらついつい買っちゃったみたいな(笑)。こんな感じで売上につながるような営業を理想に掲げて、お客さまとお話しをしています。」

理想の営業スタイルを実現させるために、目の前のお客さまが発する言葉を一つひとつ受け取り、ニーズを引き出すことを大切にしているそうです。
「たとえばイチオシ商品を設けるとした場合。この商品の一番の推しは何か。お客さまにとってどのような体験ストーリーになれば売れるのか。はじめは何気ない話をするようにしています。例えば、今晩のメニューは決まっていますか?という話から野菜の食べ方を提案していきながら、野菜をおすすめする。こちらが言いたいことではなく相手が求めている答えを渡していく。そんなコミュニケーションをとるようにしています。」

目の前の人と毎回しっかりと向き合って会話するじゅんこさんの周りには、いつもたくさんのお客さまが集まっています。そんな姿をみた周りのスタッフからは、「まるでスナックで話すママのようだね」と話題に。そして、そんなちょっとした話題から、「実際にスナックをやってみたら?」という
話になり、ウシノヒロバにあるキッチンカーを使って「スナックじゅんこ」を実現してみることになったそうです。

「周りの人たちに背中を押してもらい、持ち上げられるようにして、とりあえずやってみようとスタートすることになりました。実際にやってみて、はじめてウシノヒロバに来たお客さまが、「また絶対来ます」とか「定額キャンプにはいります」といってくれるのは嬉しいですね。ほかにも、1人でこられているお客さま同士が会話をしてコミュニティとしてつながっていく様子を目にしたり。そうやって人と人がつながる接点になっている場が生まれているのをみると、挑戦してみてよかったと心から思います。」

コミュニケーションを軸に挑戦をつづけることで、ウシノヒロバが「また行きたくなる場所」になるように

マルシェからスナックへ、コミュニケーションを通して人と人がつながる場を次々に生み出しているじゅんこさん。仕事をするうえで大切にしていることについて聞いてみました。

「できないという線を引かずに、なんでもやりますというスタンスでいるようにしています。ついつい年を重ねると、守りにはいってしまうことがあります。そうならないように、「できません」となるべく言いません。その結果として、ウシノヒロバで働く前までは想像もしなかった世界をたくさん知れて、いろんな経験をさせてもらっているなと思っています。もともと知らないことへの好奇心は強く、なんでもやってみたいと思う性格もあって、ウシノヒロバのなんでも挑戦できる雰囲気は本当にありがたいです。もう一つ大切にしていることは、遊ぶように働いて、働くように遊ぶということ(笑)」

自分の知らないことにどんどん踏み出し、挑戦を楽しむように働いているじゅんこさんは、これからどんな展望を描いているのでしょうか。

「実は、具体的にこれがしたいと思う目標や夢はあまりないんです。ウシノヒロバでは柔軟に何でも対応する役回りなのかなと思っています。なので、ウシノヒロバで「こんなことがしたい」と思う人たちにとって、「私はこの部分で力になれるよ」と足りないところを補うようにして力になれる存在でいたいです。その不足を補うものがコミュニケーションを軸にした何かであるといいなと思います。具体的に何かあるわけではないけれど、逆を言えば何者にでもなれる。以前はやりたいことが明確にあり、実現させていこうとするスタッフをうらやましく思うこともありましたが、今はそんな自分もいいなと思うようになりました。」

じゅんこさんにとってウシノヒロバは、一緒に働くスタッフだけでなくお客さまも含めて、家族があつまる場所のようだと話をしてくれました。

「人の名前と顔を覚えることが特技なんです。一度会ったら忘れません。なので、久々に会った方でも「お久しぶりですね」と声をかけます。家族が家に帰ってきた時の「おかえりなさい」という気持ちを込めて。マルシェやスナックでがっつり話すコミュニケーションだけでなく、日常の何気ない挨拶からも心地よさを感じてもらい、また行きたいなと思う場所にウシノヒロバがなるといいなと思います。」

「スナック順子」を含めた今後のイベントスケジュールはこちら
https://ushinohiroba.com/app/customer/event/events/

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宿泊の予約のほかに、オンラインショップではオリジナル商品などを購入することもできます。

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(執筆:中野綾子、編集:山本文弥)