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地図ラー10 記念特大号を発刊!!

地図ラーの会の機関紙「地図ラー」は、2024年8月10日に記念特大号、なんと第10号を発行する。2019年夏に創刊号を出してから積み重ね、ついに第10号を迎えることができる。趣味の会の同人誌がシリーズを重ねてここまで来たのは、我ながら開渠、いや、快挙だと思う。そうでしょ?そうだよね?

そこで今回、第10号を作るにあたって集まってくれた10人の侍(?)の作品を、1つずつ解説していこうと思う。もちろん、この紹介文を読んでもらって、買っていただこうという魂胆だ。同人誌は一期一会、読みたいと思ったらぜひその気持ちが覚めないうちに購買行動を起こそう。ナンテネ(笑)

【表紙】
地図ラー7は、ウルトラセブン
地図ラー8は、エイトマン
地図ラー9は、サイボーグ009

だったら地図ラー10は…。邪推力が豊かなアナタはもうわかったかな?
そう、あの昭和の大ヒット歌番組、ザ・ベストテンだ。

でも、実はちょっと反省がある。7号8号9号は、表紙と中身がまったく関係ない単なるシャレ。けっこうマジな作品ばかりなのに、表紙だけ見て離脱した人も少なくなかった気がする。だから今回は…、いやまったく反省がないな。10号だから執筆者は10人、10作品、ベストな10作品だけど、あの番組とは無関係だ。でもまぁいいかな。記念号ということがわかれば、わかりづらいか、もう作っちゃったし。
定価は1,500円、ページ数が今までより大幅に増えたので便乗値上げ、ではなく、この内容でこのボリュームならきっとご満足いただけるかと。ここでしか読めないマニアネタが満載なので、ぜひぜひ!!

【巻頭言と祝辞】
巻頭言は会長なのでワタクシが、祝辞は地図ラーの会の立ち上げからずっと贔屓にしてくださっている、東京スリバチ学会の皆川会長にお願いした。僕はもちろんチャラい感じの文章だけど、皆川会長も負けずにチャラい!!表紙、目次、巻頭言、祝辞と、改めて見てみると作品たちと全然マッチしてないな。でも、この文章を読んでいる我慢強いアナタは離脱することなく、ぜひ奥まで進んでいただきたい。

【地名と語源と音韻史 島田 泰子】


島田泰子先生は二松学舎大学文学部の教授。まち歩き仲間、バンド仲間としてご一緒させていただいている。そんなご縁で地図ラー創刊号に寄稿していただき、その作品はその後に学会誌の論文にまで昇華しているとのこと。そのきっかけが地図ラー創刊号だったとは、恐れ多くも感無量ですな。
そんな大御所の特別寄稿は読みごたえバッチリ。今回も、学術誌に載っていてもおかしくない論文。ぜひ読んでいただき、地図活動の無限の広がりを実感していただきたい。難読地名クイズで遊んでるだけじゃない、もっと地名を深く掘り下げたくなる、問題提起でもある。
島田先生は、思考と同じ速さで文章が出てきて、それと同時にテキスト入力ができるという特技の持ち主。だから難解な分析もスピード感あふれる展開であっという間に読めてしまう。しかもズシっと頭に蓄積されるのが凄いぞ。

【千葉スリバチの魅力発見エリアガイド「流山おおたかの森」 稲垣 憲太郎】


創刊号からずっと連載していただいている、千葉スリバチ学会の稲垣会長。2022年に昭文社「千葉凸凹地図」の執筆でご一緒させていただき、同じ千葉を拠点に活動する盟友だ。千葉スリバチ学会は千葉県の北西部、地図ラーの会は南東部、のようなアバウト暗黙の地域分けがあるのかないのか、今回稲垣会長は流山おおたかの森をテーマに書いていただいた。
稲垣会長は同時に「千葉スリバチの達人」という本も出していて、千葉県の色々な地域のガイドを書いているんだけど、その本の中で網羅できなかった場所をシリーズで書いていただいている。6号の北柏、7号のユーカリが丘に次いで今回が第3弾となる。流山おおたかの森は、つくばエクスプレスの開通により急発展。下総台地と江戸川低地の境界でもあり、地形的な魅力も満載のニュータウンだ。

【天の川に星降る交野ヶ原は、ヒッタイトの夢を見るか? アヤ ミカド】


アヤ ミカドさんは、いつも寄稿していただいている川原さえこさんのお友達。ということは、かなりマニアックな方のはず(笑)。ということで10号の執筆者選定の時にご紹介いただき即決したしだい。京都を拠点に、まちガイドや「知図歩き(Generative walk)」、さらに京都で個人展も開催されているバリバリマニアさんだ。
タイトルがシュール過ぎて内容が想像できないと思うけど、大阪府と奈良県の県境近く、天野川という川や星田という地名もある交野市、そして交野ケ原の紹介レポートだ。そして彼女オリジナル、地域の情報を紙1枚に手書きでまとめた交野の「知図」も掲載しているので、これも必見だ。ワクワクしまずぞ。

【学問の神様・菅原道真にまつわる伝承の傾向まとめ 川原 さえこ】


川原さえこさんは地図ラーの会長岡京支部長、以前は東京の平井支部長をお願いしていた小さな巨人、もちろんバリバリマニアさんだ。その探求心は見ていてびっくりするやら呆れるやら…。マニアという言葉はこの人のためにあると言っても過言ではない。
その川原さんが取り組んでいるのが、天神様こと菅原道真の伝承。平安時代を代表する学者で政治家であった菅原道真は、人間から神に昇格して全国に12,000カ所の天満宮の祭神として祀られている。そんな道真の人間時代の行動傾向を各地で分析しているのが本稿だ。尋ねた場所、休憩した場所、地名への影響など多岐にわたる分析を展開している。

【道路元標を訪ねて -船橋市編- 大澤 由佳】


大澤由佳さんは地図ラー7に次いで2度目の登場。駒澤大学文学部地理学科地域文化研究専攻卒業、現在は地図会社に勤務するという生粋の地理地図界の住民だ。会社勤めの傍ら、随筆発表やまち歩きなどを行っていて、ペンネーム「10月うさぎ」で「地理交流広場」への投稿や、東海道歩きのブログもある。
地図ラー10では、前回に引き続き道路元票を訪ねて歩く細かすぎるレポートで、今回は船橋市編だ。残されている石碑と、その成り立ちの解説、今昔マップによる分析など、道路元標を通じて地域への愛着を語る「随筆」は圧巻だ。船橋は特に自分の地元を愛する人が多いので、点在する道路元標をぜひ味わっていただければと思う。

【札幌地形考 ~地名や特産から見る札幌の土地の秘密~ 森 順子】


地理女net代表の森順子さんも地図ラー2度目の登場。前述の大澤さんと同じく駒澤大学文学部地理学科出身、北海道大学大学院で教育学修士を取得され、修了後はテレビ局のアナウンサーから社会人教育を請け負う会社「ハッピーアロー」を設立というスーパーウーマンだ。
森さんの今回のテーマは、彼女が長年拠点としていた札幌の地形考察。札幌は豊平川がつくった扇状地で、伏流水が産業を生み出し、地形ゆえのリンゴやタマネギという特産品が開発され、そこから北海道最大の都市となったというお話。まち歩きでは、2つの扇状地の境界にある崖を見つけ、大都市札幌の成り立ちを学ぶことができる。

【海岸線ドライブin北海道 ~北海道の地図は誰が測量したのか~ 村田 忠次郎】


地図ラーの会灯台部部長、村田忠次郎さんは隔号で海岸線・灯台を旅するレポートを寄稿する灯台マニア。そのルートは地図界の大先輩伊能忠敬が歩いたコースをトレースするというマニアっぷり。
今回は北海道一周弾丸ツアーのレポートで、想像を絶する距離を走破したという。実はこの道中、僕と半日ほど一緒に歩いた。僕は天塩川の源流から河口まで踏破する旅の途中で、海岸線を周る村田さんと天塩川の河口で出会ったのだった。偶然の出会いも旅の醍醐味なんだけど、川と海の唯一の接点である河口、運命的なものを感じるかも、いや、感じないか…(笑)。

【スリバチは谷津から~地図だけで歩いた旅 甲斐 久也】


まち歩き仲間というか大先輩の甲斐久也さんから、ある日地図ラーに寄稿したいというお申し出をいただいた。千葉県野田市を拠点にエネルギッシュに活動する甲斐さん、ご一緒させていただいた野田のフィールドワークでその底知れぬ知識に驚かされた覚えがある。
今回は、甲斐さんの谷津愛が存分に発揮された熱のこもった作品で、みんな大好きな谷津が未来まで維持されることを願いたくなる。後半はカントリーウォークという、歩くことを主眼にした甲斐さん流の楽しみ方だ。ちょっと角度と視点が異なるまち歩きの楽しさに気づくことができる作品になっている。

【両毛スリバチ学会テレンコ部 例幣使街道を征く(その5) 深澤 謙吾】


深澤謙吾さんは、北関東スリバチ学会トチギ分団長という要職にあるナイスガイ。栃木県栃木市の公務員というポジションとスリバチ学会を両立して活動している、ちょっと狛犬に似たイケメンだ。
地図ラー6から始まったレポートは早くも5回目。2018年~2022年にみんなで歩いて踏破した日光例幣使街道歩きの記録をじっくり解説してくれている。日光例幣使街道とは、朝廷から幣帛を奉ずる勅使が徳川家康を祀る日光東照宮の例祭のために参じた時に通った道で、群馬県倉賀野宿から日光東照宮までの120kmを越える長丁場だ。その5回目は深澤さんの地元の栃木宿。思い入れたっぷりの作品に仕上がっている。しかし、いったいいつになったら日光に着くんだろう…。

【大学のソウルフード!① 食は文化なり 東 寿浩】


創刊号から第9号まで「大学の歴史地理学」と題して、全国の大学の立地や土地利用の研究レポートを連載していただいた東さん。その作品は改めて編集して1冊の同人誌として発行する予定。これは楽しみだ。
東さんの本職(?)は出版関係のビジネスマン。まちを歩く機会が多いことから、今回からは食をテーマにした新シリーズがスタートする。大学があるエリアには独特の食文化ある。そのお店の紹介を中心に、食の作法まで踏み込んだ楽しいレポートになっている。はじめの一歩は東京三田の「ラーメン二郎」。慶応義塾大学生や出身者は誰もが1度はお世話になった名店だ。

ということで、長い紹介文はここまで。冊子の発行日は2024年8月10日、デビューは8/11(日)おもしろ同人誌バザール大崎、そして8/12(祝)コミケ。
もちろん、西千葉みどり台の「いとなみ書店2.5」や稲毛「Cafe&Bar COMPASS」でも準備ができしだい販売開始、地図ラーオンラインショップ(https://chibachizu.base.shop/)でも完成しだいご注文いただけるので、オーダーお待ちしております。


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