トンパツイーシャンテン押し引きの是非
先日行われた私設リーグで、2戦連続でトンパツ(東1局)に追いかけリーチを打って放銃しました。1戦目は5200点、2戦目は16000点。えぐっ、えぐっ・・・。
はたしてその押し引きが正しかったのか、検証していきたいと思います。
対リーチに対する押し引きについて
みなさまはどう判断されているでしょうか?
「感覚だよ。感覚。行けると思ったら行くし、当たると思ったら止めるんだよ!」
「基本的には局収支や半荘収支で判断しています。期待値ってやつです」
「局収支とか細かいことは考えませんが、筋本数は数えるようにしていますね。自分の手牌価値や場況から〇本まで押すか基準を設けています」
さまざまな方がいらっしゃると思いますが、個人的にはどの方法でも好成績が残せるのであれば問題ないと思っています。人によって得手不得手、合う合わないもあります。
しかし感覚で押し引きを身につけるには、けっこうな経験を要するので、これから麻雀強くなりたいという方は期待値の知識を頭に入れたり、強い人の基準をトレースしていくことをおすすめします。
自分の中での押し引き
最初に押し引きについて考え始めたのはネマタ氏の著書「勝つための現代麻雀技術論」を読んでからでした。その後、麻雀研究家みーにん氏の「統計学のマージャン戦術」を読んだり、同じく麻雀研究家nisi氏のブログやnoteをみたり、押し引きを得意とする醍醐大プロ(最高位戦日本プロ麻雀協会)のHQ麻雀レッスンを受けたり、期待値に関する考え方は一通り頭に入れています。
基準作りという意味では福地誠氏の著書「現代麻雀押し引きの教科書」を読んだり、zeRo氏のブログや著書で基準を学んだりもしました。志倉うに丸氏のYoutube「うに丸麻雀ちゃんねる」でも押し引きについて詳しく解説されています。
レッスンを受けたり、本やブログ、動画に触れなくとも、押し引きがうまい人はたくさんいます。大切なのはインプットだけではなく、自分でしっかり考えたうえで試行錯誤し、実践でアウトプットし続けることだと思っています。
自分はデータをもとにした期待値的な考え方は好きなのですが、毎局毎巡変化していく状況に対応して計算できるだけの脳力(あえて脳)がないので、わかりやすい状況に対して基準を作るための1つの参考材料として使っています。
今回あまり細かい数値は出しません。笑
出そうかと思ったけど、自分で計算したら絶対ボロが出る・・・。
数値を出している部分はみーにん氏の著書「「統計学」のマージャン戦術」を参考にしています。
さて、本題に入りましょう。
今回2つ取り扱いますが、いずれもトンパツ(東1局)です。点数状況や残り局数によって、自身や他家の和了価値が変わりますが、トンパツであればフラットに考えてよいでしょう。
結論を先に述べてしまうと、2つともかなり不利な押しをしてしまったと思い、反省しています・・・。
1戦目(自分:西家 先行リーチ:北家)
5巡目に北家から先制リーチ。
自分はリーチがかかると、1軒に対しては必ず筋本数をカウントをするようにしています。
現状4本(58m47s36s58p)、残り14本。
筋本数をカウントすることで、相手がリャンメンリーチだと仮定した場合に18本ある筋のうち、何本通っているのか、残っているのかを計算することで、おおよその放銃確率を出すことができます。
並行して、河の状況や切り順から、愚形の可能性を考えたり、筋の中でも濃淡をつけていきます。
北家 8m7s6m8p8pリーチ(5巡目 ※手出し3回)
パッと見は変則手にみえますが、この巡目のリーチは配牌から整っていて普通に余剰牌切り出していったらテンパイしたというケースもよくあるので、断定できません。あらゆる可能性を想定していきます。
8p2枚目を手出しでリーチしているので、チートイツの可能性はほぼありません。2巡目でチートイツのテンパイをとらずに888pから待ち牌を引いてリーチしたか、前巡に8pでツモっていたがアガらずに待ち牌を変えてリーチしたということになり、いずれも不自然です。
筋の濃淡については、速いテンパイで手出しが少ないリーチだとあまりアテになりません。
ここで大切なのは自分の手に押し返す価値があるかです。価値がないのであれば、イーシャンテンからでもベタオリを選択したほうが成績は安定すると思います。たとえテンパイしていても価値が低い手であればオリもありえます。
さて、冒頭の牌姿に戻りましょう。
6pを引き、1pもしくは東を切ればイーシャンテンです。現状ダブドラがあり、リーチをすれば最低5200点でマンガンまでみえる手、白ポンでも3900点あります。しかし、未完成ブロック3つはいずれも愚形(カン5m、9m、白)。
オリるとしたら7sが現物、9mが第1打8m切り&自分2枚持ちでややマシそう。白の2枚も放銃率はさほど高くなさそうです。安全牌を保有していない場合は複数枚持っている牌を切るとその局トータルでの放銃率は下がります。シャンポン待ちに当たりにくいという点と、通す筋の本数が少なくなるためです。字牌があれば字牌、端寄りの牌があれば端寄りの牌を選択します。
テンパイ時の押し引きはそれほど難しくありませんが、イーシャンテンでの押し引きはかなり複雑です。
①テンパイするまでに放銃しない
②テンパイをする
➂相手とのめくり合いを制する
という3段階が必要となります。
感覚的に「アガリたい手。5mがネックだけど、5m引き入れて9mと白のシャンポンリーチ打てたら強くない?筋も全然通ってないし、よくわからないからしばらくはまっすぐいこう。残り8筋くらいまでならいけるかな」って思いました。
しかし、テンパイになる受け入れが3種しかなく、リーチに対して戦うにはかなり厳しいイーシャンテンだったと思います。普段はそこまで無理しないのですが、少しかかっていたのでしょう。
イーシャンテンでの押し引きは下記5つのポイントによって、都度判断を変える必要があります。
①イーシャンテンの形
②メンゼン限定か鳴きOKか
➂アガリ時の打点
④巡目
⑤押す牌の危険度
考えることが多いですよね。
麻雀はイーシャンテンからテンパイをするのが一番難しいゲームです。そのためそもそもテンパイをする確率を考えることも重要になってきます。
対リーチの一発目は放銃時失点が高くなるので、放銃率が高い牌を押すときは注意が必要です。
リャンメン待ちと仮定した場合、無筋の牌で放銃する確率は1/14です。しかし愚形を否定する情報は現状ありません。河の状況を注視して愚形の可能性も頭に入れつつの打ち回しとなります。
相手の打点についても考える必要があります。リーチの打点は読みにくいのですが、子のリーチに一発目で放銃すると平均7600点、非一発で放銃すると平均5300点らしいです。一発放銃はけっこう痛い。
見えているドラの枚数によっても調整していきます。この場合は自分がダブドラを持っているので7枚中2枚がみえていることになります。割と一般的な状況かと思います。←感覚
平均という言葉を使いましたが、自分は平均だけで考えるのはあまり好きではありません。笑
6巡目、筋4本通っているときの役牌ションパイでの放銃確率は3%くらい。東は行きましょう。
西はオタ風のションパイです。筋6本通った7巡目のオタ風ションパイも放銃確率3%くらい。行きましょう。
アガリに向かうためにはいよいよ数牌を切らなくてはいけません。
1pか1sか…。通った筋は7本の8巡目無筋19。ともに1枚切れでツーチャンス。どちらも放銃率7%弱くらいでしょうか。
実践ではいちいち細かい計算している余裕はないので、まー筋7本で19牌なら放銃率5~6%かなーってざっくり考えていました。
でもテンパイするかどうかもわからない愚形3種の苦しいイーシャンテンかつマンガンも確定していない手で、放銃率5~6%(自分の感覚)の牌を押していくこと自体がけっこうバーサーカーというか、ベルセルクというか・・・。パワプロだと多分故障しています。←パワプロやっている人ならわかるはず。
次巡5mを引き入れました!
5mが入ったこと自体がけっこう奇跡なのですが、自分はどこか得意気でした。
11巡目、11筋が通り残り7本。自分のテンパイ確率も低くなってきているので、テンパイをせずに無筋3~7牌がきたら、9mを打って回っていたと思います。単純な放銃確率なら白のほうが低いですが、単騎待ち以外は放銃時に1ハンつけてしまい放銃時失点がアガってしまいます。前述したチートイツ否定同様、単騎待ちの可能性はほぼありません。
ここまできたら追いかけリーチでよいと思います。安め5200、高め8000でアガリ牌が見た目4枚残りであれば見合うでしょう。無筋1p自体の危険度もそこそこ高まっていて11%くらいでしょうか。相手の手がリャンメンだと仮定すると単純計算1/7で14.29%。愚形まで考慮に入れると19牌はシャンポンと単騎しかないので放銃確率はぐっと下がります。そのため若干低めに見積もっています。
15%超える牌だと、この瞬間に放銃抽選を受けるのがけっこう微妙なラインです。無筋456牌はアウト、無筋37でかなり15%に近い印象です。
1m3mのシャンポンに刺さりました…。
リーチを打った後に放銃となった結果自体はしかたありませんが、がんばって押してテンパイしてもこういう結末になることもあるので、テンパイするまでにリスクを負いすぎたと思っています。
白は対面さんが下家さんのリーチに対して早めに止めていました。麻雀初めてそれほど時間が経っていないと聞いていますが、センス溢れる打ち手で守備がものすごく丁寧です。もう何十年も麻雀を打っているのではないかと思うくらいバランスがよく、今後めちゃめちゃ強くなるのではと思っています。
2戦目(自分:東家 先行リーチ:西家)
同じメンバーで2戦目。
自分は起家でした。先行リーチ者は先ほどセンス溢れる打ち手と称賛してしまった人です。このリーチをどうみるか。
「知らねー!オレはピンズのイッツーでアガるんだ!天誅だ天誅!」ってなってました。典型的によくないときの自分です。
自分は様々な麻雀に触れ、強者の基本的なセオリーは身につけてきました。しかし自分の麻雀の成績があまりアガらないのは、何らかの要因で集中力が途切れたり、前のめりになりすぎたり、とにかく不安定なのです。
不安定さを少しでも解決するために自分なりの基準を作り、様々なところで設けていますが、それでも自制できなくなる場面があります。1戦目オーラスで逆転され3着、だいぶかかっていたかもしれません。この2戦目はそういう状況でした。
1pは普通に押しました。←
さっきあれだけ筋カウントするって言ったのに、この時は数えてませんでした。どこいった集中力・・・。だいぶ眠かったです。
いちおう後付けで数えると、9本通っています。無筋にも濃淡が出ていて、6mが2巡目に切られており7m8mは通りそう、3sが4巡目。その後が1sで2sは通りそう。内側からカンチャンを落としている(3s→1s)点で好形か手役が絡んでいる?1sがトイツ落とし、2枚目の中が手出しでリーチなのでチートイツを含めた単騎待ちはなさそう。
見れば見るほどヤバイリーチです。ものすごくえぐい可能性があるリーチ。
でもこの時は「赤が見えていないから怖いけど、ドラが南だし、タンピン系に振ってもまあマンガンくらいじゃない?」って感じでラフに進めていきました。自分のバカ。
1pの放銃確率ですが、実質9本+通りそうな無筋3本で12本通っている計算にします。愚形の可能性は今回は低そう。12巡目実質筋12本の無筋19牌は放銃率12%くらいですが、先切りや愚形がないと仮定すると1/6で16.7%です。
大切なのは自分の手がまだ愚形残りのイーシャンテンということです。アガリ率0%の時点で17%の牌を押すのはどう考えても見合っていません・・・。相当まずい。
2mをもってきました。この牌で放銃確率20%ですね。
2mのほうが怖かったので、1mを打ちましたが、こちらも放銃確率20%。
自分で振り返っていて吐きそう・・・。
3mを持ってきて広いイーシャンテン。
しれっと2mを打ちました。実質筋が残り4本でこの2mで放銃確率25%。
イーシャンテンで高確率の放銃抽選だけを受け続けるとは、なんて優しいのでしょう・・・。そもそもテンパイでもこの牌を打つのはかなり厳しいレベルだと思います。
4sを引きテンパイ!(してしまった・・・)
3mを打ってリーチ!
「仕上げてやったぜ!」。自分はどこか得意気でした。対面さんが一発で5pをつかみ親マンいっちょ上がり!のはずだったのです。
3mは筋ですが、早めの6mかつ愚形の可能性が低いので通る可能性が高く、自身も親の3ハンで7700点保証されているため、このリーチ判断自体は問題ないかと思います。
ここに来るまでのリスクの負い方が非常にまずかったなと・・・。
最後のツモ番で3pを引き放銃・・・。三色までついて倍満だって。
最終巡で3pを引いてしまったのはツイてないと思ったのですが、集中して打てていれば避けられたと考えています。
対面さんの思い切りのよいリーチ判断に、自分の判断のまずさが重なって最悪のトンパツスタートとなりました。このゲームはいいところがなくラス。
おわりに
トンパツの押し引きについて、2つご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
1戦目は自分の戦い方的にギリギリ許容できる範囲だと思いますが、2戦目はかなりまずいレベルのイーシャンテン押しをしてしまいました。最悪の結果を引いてしまいましたが、むしろ咎めてくれてありがとうという感じです。
今日はツイてなかったなーで終わらせる方も多いかと思いますが、こうやって振り返ることで自分の課題が見つかることがあります。データや数値を計算すると自分の中で腹落ちしやすいんですよね。
本当は細かく毎巡期待値を計算して出そうと思ったのですが、自分の中で再現性を持てないのでやめました。興味がある方は勉強してみてください。
かといって数字を鵜呑みにするのも危険で、かならずアナログでの判断を含めて行うべきだと思っています。数字を扱うにはセンスが必要です。決して平均をとることがよいことだとは思っていません。上振れや下振れにも幅があり、リスクをどこまで許容するかをしっかり考えていかなくてはいけません。
感覚重視でもよいのですが、再び同じことが起きたときに失敗しないためにも、ある程度の基準は設けておくと失敗はしにくくなると思います。
この結果をふまえ、次節はしっかり麻雀を打っていきたいと思います。
おしまい
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