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アダプティブラーニングは本当に最強なんだろうか?

アダプティブラーニングとは、日本語訳するなら「その人の能力、習熟度、学習スタイル、適性に合わせた学習」。(いきなり蛇足だけど、超バズワードで広い意味を持つ言葉である「AI」と組み合わさって「AI学習」と呼ばれることも多いけど、抽象度上がりすぎで、なんか煙に巻かれている感を感じてしまうのは僕だけだろうか笑)

このアダプティブラーニング、何にAdapt(適応させる)かによって、さまざまな解釈があるので難しいけど、仕事や界隈の人たちとの会話でよく出てくるのは「苦手分野の克服」だったり「学習内容の定着」という意味でのアダプティブであることがほとんど。

まずは「自分は何が分かっていないのか?」を学習者自身に理解してもらい、その上で苦手分野を克服していくための演習を個々の学習者に合わせてカスタマイズして提供する。すでに分かっているところも含めて、長い時間をかけて復習したり、そもそも面倒だから復習しない、というケースと比べると圧倒的に合理的だし、効率的。アダプティブラーニング最強じゃん。

❑ アダプティブ=苦手を効率的につぶす仕組み?

ただ、最近気になっているのは、学習内容だけがアダプティブになっている(上の例で言うと苦手分野だけが学ぶべき内容として提示される)状態は、学習者にとって地獄なんじゃないか…ということ。

もしかしたら「あなたはここが分かっていません」とわざわざ指摘されなくても、学習者本人は自覚しているかもしれない。
本人的には成長を実感出来ていて問題が解けた!という達成感が少なからずあったかもしれない。

そんな学習者に、自分ができなかったところだけ、正解率の低かった分野だけに機械的に集中攻撃を食らわせる…
僕にはどうしても「傷口に塩をぬりたくっている絵」にしか見えない。

苦手分野を集中的につぶすことが最短距離だし、もっとも効率的なのはわかる。でもやりすぎじゃないですか。僕だったら、泣きわめいて逃げ出します。もちろん二度と帰ってきません(笑)
最短距離だと思ってやったことも、学習がそれ以上続かなければ無意味だし、むしろマイナスにすらなりうる。学校や企業研修など、ある程度強制力のある学習環境ならまだしも、e-learingでそれをやってしまうとすぐに脱落するのが目に見えていますよね…。

❑ アダプティブが「学び続ける」ことの足かせにならないために

そうならないために、学習内容だけでなくさまざまな要素で学習者に寄り添った学習体験が必要なのではないか…とぼんやりと考えています。

学習方法を最適化する
・Inputの方法が悪かった(教えてくれて先生との相性が悪かった)
・習熟度が低かった(定着を待たずにいきなり難易度の高い実践的な問題に映ってしまった)
などがあると思うので、inputの方法や問題のレベル感を見直す必要があったのではないか?と思う。

学習量を最適化する
・苦手分野の復習はできるだけ短い時間で終わらせる
・集中的に苦手分野だけを出さない(ある程度ばらけさせる)

「苦手」「嫌」だけでなく「得意」「好き」に最適化する
「苦手」を目の前に積まれると嫌気がさすと僕なら思う。それよりもまずは好きなこと、得意なことを伸ばすところにも時間をかけてあげて良いのでは?と思う。

SLAM DUNKで豊玉高校の前監督さんが言ってました。

「高校バスケで教えられることなんて限られている。オフェンス8 ディフェンス2 それで良い。そのほうがバスケを好きになってくれる」

まさにこれだと思います。
苦手を潰すことは大事ですし、苦手だからやらないというのは良くない、でも苦手を克服するために助走が必要なんじゃないでしょうか…。

❑ まとめ

先述の通り、(僕の周りだけなのかもしれませんが)アダプティブラーニングは苦手克服の文脈で語られることが多いです。でも、それだけじゃなく、もっと広く捉えてさまざまなものが個別最適の形にして、学習が楽しく長く続けられる学習の仕組みを作っていきたいと思うわけです。



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