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パワーストーンとの出会い

年末に縁があって数秘術鑑定してもらい、私に合った石を使ったストラップを手に入れた。私は神秘的な世界も好きな方で、しかもその鑑定がまさしくこれは私であるとの解説が繰り広げられていたので、感動した。夫の鑑定も頼んだがそれも当たっていて、やはりこういう世界は嘘ではない部分があると思う。統計学にあたるのか、詳しくはわからないが、脈脈と受け継がれてきたものを集積し分類しているのだろうか。

しばらくコロナで神社詣の回数も減っていたが、その前は定期的に詣でる神社があり、そこの参道にパワーストーンや置物など神秘的なものを扱うお店があってついでに立ち寄っていた。
そちらはご夫婦で営んでるお店でとても親切で感じが良く、何度も通っていると顔も覚えてくれてお茶なども出してくれるので、ここは手ぶらでは帰れないという意識がいつも薄ら出てくるような場所であった。
年に4、5回は行っていただろうか、それを3年くらいは続けていたと思う。

その中で印象的だったのは
「それ、すごいんですよ」
若いご主人が後ろから私に声をかけてきた。
私が吸い寄せられるように店の一番奥にあるとんがった黒くて光沢がある石の前で立ち止まっていたからだ。矢尻のような黒い石。

「入荷したばかりでね。かなり効きます」

小さいメモが貼ってあり、簡単に解説が書かれてあった。
悪縁をたつ、強力なパワーを持っている
いろんな前向きな文言が書かれているものがほとんどの店内でそれはやはり異質に感じられた。

この頃、私は長年仕事場である同僚によるストレス、そして身内の母に対するストレスにさらされていて、それが一番限界に感じていた時期であったので、これはもしかしたらと思い少々値段も高かったと思うが、買うのが当然のようにも感じられた。本当にこんなものは効くのだろうかと興奮した気持ちを持ちながら決断して購入した。

購入してから数ヶ月経っただろうか、その私を悩ませていた同僚は結婚妊娠という形で退職し、私の前からいなくなった。それと、母はその半年後ぐらいに癌が発覚して治療もいろいろと施したが1年以内に他界したのである。
その石のせいなのかはわからないが、こうも私の人生で悩ませていた人物トップ1位と2位がほぼ同時期にいなくなってしまったのは、衝撃でもあり、やや恐くも感じられた。
自分の意思で縁切りをしたいと思って購入し、実際にそれを引き寄せてしまったという事実、計り知れない力が作用したのではないか。
石という物体を引き金にして起こってしまったことなのか。
それとも単なる偶然か。

私はそれからさらに石のパワーに関しては信用している方だ。
本当にそれが起こるのかはわからないが、それを見る事によって、想起される思念というものの存在が力になる。石は道具に過ぎないのではないかと思う。
それぞれの石によって、いろんな言葉がいい当てはめられている、この石は恋愛がうまくいく、健康長寿になる、金運が良くなるなど。
その願いを思うときに、人生を良くしたいという思いが強ければ強いほど行動に出て叶えられるのではないか。
当時の私のようにどうしようもないストレスにさらされた者にとっても、出会うべくして出会うもの(感情)だったのかもしれない。

去年に久しぶりに神社詣に行き、2年ぶりぐらいに例のお店に立ち寄ったところ、奥様とバイトの男性がいて、いつもの明るいご主人の姿がなかった。お休みなのかなと思っていて、店内を見ていたところ、奥様が何かの話の途中で告げてきた。

「主人、亡くなったんです」

年齢を聞くと私の2、3つ上の年で1年前に癌で亡くなったとのこと。店に来るたびに笑顔で不思議な写真を見せてくれて解説したり、興味のあるものに立ち止まって見ていると自然に声をかけてくれる人だった。扱うものがスピリチュアルな物であるがゆえ、死とは縁遠い感じがしていたので、その隔たりにかなり動揺してしまった。

人間ドッグなどの健診は行ってなかったのだろうか、そんな世俗的なことをすぐに私は思った。でも、神秘的なことに精通していたご主人はもしかしたら死という概念は一般の人とは違うもので捉えて、逝かれたのかなと思い、心の中で手を合わせた。
今は、浄化や心を落ち着けるという意味で私はハート型の黒い石を置いてあります。

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