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のりたまと太陽

昇る朝陽と沈む夕陽 どっちが好き?

今年も桜が満開になる季節
そして
春菜に会える季節

彼女は、春菜は…
綺麗で、いつもにこにこして
そして、桜のように散っていった

私はいつも春菜にくっついてた
ひっつき虫
ってにこにこ笑いながら言われてた
後ろから ひっつき虫してると
春菜の体は折れてしまいそうなくらい
ほそい…
春菜は昔から心臓の病気で
入退院を繰り返していた
でも 全然病気なんかに見えないくらい
いつも明るくて笑ってた

春菜は家庭教師の先生と大恋愛をして
結婚をした
そして優しいお母さんになった
お母さんになっても
相変わらず 私は春菜に ひっつき虫してた
お母さんになって
少しだけ入退院が多くなる
入院してる時は夜中まで連絡をとってた
本当は春菜は苦しいくて辛いはずなのに
笑わせてくれてたね

退院して少し経ったとき
春菜が 「 私、もう1人赤ちゃんが欲しいの 」
私は 首を横に振った
その時 春菜の体は 春菜の心臓は
かなり限界がきてたから
私は 首を横に振った
「 私のお願い聞いて?? 」
何度も言った
弱っていきながらまた入院して
私は春菜とケンカをした

こんなに話さないのは初めてだ
友達から連絡がきた
「 春菜 妊娠したよ??あなたに会いたがってるよ?? でも出産は難しいんだって
赤ちゃんかお母さんか… なんだって 」
って泣いてた
久しぶりに春菜の声をきく
ケンカなんてなかったように太陽のように
春菜は笑ってた
「 会いたかったよ 」って
私は残酷な事を言った
「 春菜 お願い 赤ちゃん…あきらめて 」
春菜は聞かないふりをして
「 赤ちゃん 女の子かな?男の子かな?産まれたら あそこにもあっちにも行くの 」って
先の話をずっとしてる

そう いつものように にこにこ 笑いながら

「 絶対 」 なんて ないから
私は 春菜も赤ちゃんも どちらも助かるように
また 奇跡 を願いながら
春菜と一緒に過ごした
そして 私はひっつき虫をやめた

春菜のお腹は少しずつふっくらしてきた
お腹の子も動くようになって
性別もわかった きっと女の子

春菜が
入院した

春菜の 細い手を握りながら未来の話をする
「 春菜? この子が産まれたら 桜の木の下で沢山走ろうね 沢山沢山 」
春菜は
「 うん… 走れるかな 」
この頃から 弱音をはかない春菜は
少しだけ 弱音をはくようになった

「 私 この世からいなくなったら神様に
一生懸命生きました そう言えるかな…
まだ 言いたくないよ 」
私は 話を聞いて 手を握る事しかできなかった

だんだん出産の日が近付いてきた時
不思議な事が起きた

その日 私はリビングで寝てしまっていて
突然 春菜の声がした
春菜が私の名前を呼ぶ声
「 大好きだよ 」って

飛び起きて あれ?春菜?
やだな…いやな気持ちのまま
私はまた眠りについた

その日 早朝
春菜の家族と友達から連絡がきた

「 昨夜 帝王切開になり
春菜は亡くなりました
子供は元気な女の子でした
春菜に 女の子だよ 頑張ったね!そう言ったら
うん そう頷いて
急に血圧が下がり 亡くなりました 」 って

春菜 頑張ったね
女の子だって

春菜 昨夜 私に会いにきてくれたんだね
お別れなんてしたくないけど
ちゃんとお別れをいいにきてくれたんだね
私も
「 大好きだよ 」

季節は桜が満開に咲く季節

私は毎年 1人で春菜に会いに行く
桜の木の下に
そして今年も綺麗で満開な桜の木の下で
春菜とお話する
大好きだよ いつか私がこの世を去る時
「 一生懸命生きました 」
そう言えるように
今を一生懸命に笑って生きるね
いつか いつの日か会える日まで…
また来年

ある時 春菜が言った
「 昇る朝陽と沈む夕陽 どっちが好き? 」
私は
「 沈む夕陽 」 と答えた
春菜は
「 私は昇る朝陽 」
どうして?
「 今日と言う日が希望で溢れる1日になりそうだから 」

私は 希望で溢れる朝陽を見ながら
あなたのように
毎日 笑顔で暮らしてます

皆さんの毎日が希望で溢れる毎日でありますように…

亡き友人 春菜へ
ひっつき虫 より

#亡き友人へ #生きる #大好きだよ

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