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せい です。 小学2、3年生の頃から物語を書いていましたが、社会人になって自分に色々な…

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せい です。 小学2、3年生の頃から物語を書いていましたが、社会人になって自分に色々な言い訳をして書くのをやめてしまいました。が、突如スイッチが入りまた書き始めました。応援してね💕 Twitterでは素のわたし全開です。たまに裏話もつぶやいてます。 せい@chikosay1

最近の記事

【小説】Cross Hearts 1

〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅳ〜 休み時間だった。 衣替えが行われたばかりの、もうすぐ梅雨に入ろうかという季節の─── だが、その日はまだ陽光降りそそぎ、空も抜けるように青い、まさしく初夏と呼ぶにふさわしい日だった。 教室内のざわめきも、いつもと変わりなかった。 彼もいつもと同じように、教室の南端の窓際の自分の席でひとり、黙って教室の喧騒に身をゆだねていた。 その彼が、何気なく窓の外に視線を転じた。ちょうどその時─── それは空から降ってきた。 白と濃いグレーが識別

    • 【小説】俺たちのあおはるストーリー ’s 逸話 1

      あ…。 寝ちゃって…た? 意識が浮上して来て、でもまだ瞼が開けられるほどではなくて…。 手のひらの下の熱を感じる。 さっきまでの行為に、この手のひらの下の熱の主と目が合ってしまった時のことを考える。 起きてる?それとも寝てる? 僕たち、しちゃった…んだよな。 セックス。 意識が下半身にいく。わずかに違和感があるような、ないような…。 どんな顔すればいい?どんな顔される? 何話せばいい? あー、なんか僕、変な声出ちゃってたような気がする。 うわ!めっちゃ、恥ずい。 どうしよう?

      • 初の近況報告、とチラ見せ

        こんにちは、せい です。 ここでは、いつも小説を投稿していて、日常のアレコレはずっとアメブロのほうに投稿していました。 今、色々バタバタしておりまして、小説を書きたいと思いつつも、落ち着いて書けない状況を自ら創ってしまっております。 いや、書いてもいいんですよ。全ては自分が決めたことなので(苦笑) 自分で、( 落ち着くまでは… )と制限をかけてるだけなので…。 で、やっぱり、ブワーッとシーンが浮かんで来る時ってのがあったりして、( うぉーっ!書きてぇ〜!!)ってなったりす

        • 【小説】Start up! 14

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 二つ並べて敷かれた布団のひとつにすわり、佑がスマホの画面を見ている。 「なあ、龍司」 佑が画面を見たまま、龍司に話しかけてきた。 「ん?」 「こういう…」 佑はスマホの画面を龍司に向け、 「ダンスの種類?カテゴリー?って言うのか、なんで分けんの?」 そう聞いてきた。 画面を見ると、同じ曲で違うダンサーがHIPHOP、JAZZ、社交ダンスのラテン、バレエとそれぞれの振り付けで踊っている動画のようだ。 「これは踊りの違いを見せるための動

        【小説】Cross Hearts 1

          【小説】Start up! 13

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 音をたてないように静かに玄関に入り、廊下を進んだ。 奥の和室へと伸びる廊下に差し掛かったところで、佑と真澄の姿が視界の隅に入った。 咄嗟に体を引き、龍司は角に身を潜めた。 喧嘩───? ほんの一瞬視界に入った二人は近い位置で相対していて、真澄が佑のほおを両手ではさみ、佑がその真澄の腕に手を掛けて、少し激しい口調で言いあっていた。 おそらく眠っているだろう勇也を気づかって声を抑えているのだろう。話の内容までは届かないが、激しさだけは伝

          【小説】Start up! 13

          【小説】Start up! 12

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 大学ノートを見ながら、佑はシャープペンの後ろをノートの紙面にずっとたたき続けていた。 その音は同じ部屋で執筆作業をしている勇也にも当然聞こえている。 「佑くん…」 勇也が控え目な音量で呼び掛ける。 それでも佑のシャープペンの後ろの音はやまない。 「たっくん!」 いつにない勇也の強い声に、佑が顔を上げる。 「……あ、はい?」 佑が全く無自覚なのを認識して、 「コーヒーでも淹れようか」 勇也は苦笑しながらそう声を掛けた。 勇也の書斎か

          【小説】Start up! 12

          【小説】Start up! 11

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 次に田上家を訪れた春休みに、勇也が佑のために色々と揃えてくれようとした中、ベッドは丁重に断っていた。 それが正解だったと思える。何故なら、今の佑には部屋の床のスペースが広いほうが有り難かったからだ。 大きな動きは出来ないが、夜、カーテンを開け、ベランダに面した掃き出し窓のガラスに写る姿を確かめながら佑は毎日自主練を繰り返した。 そして、昨日から龍司が一週間の予定で、この田上家にやって来た。佑とダンスの合わせの練習をするためだ。 龍司

          【小説】Start up! 11

          【小説】Start up! 10

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 “スリー”のタイミングで佑が軽く床を蹴ると同時に、龍司が佑の体を自分の頭よりも高い位置まで一気に持ち上げ、ゆっくりと回転しながら、その高さを徐々に下げる。 床を蹴ると言っても跳躍と言うより、実際には上に伸び上がるような感じではある。 持ち上げられた佑は首と背を反らせ、片膝を曲げた姿勢をキープする。 高さが下がり、龍司の肩の位置で、その肩に佑の体を乗せるような状態で腰に当てられていた手が素早く体に回される。 その間もゆっくりと回転しな

          【小説】Start up! 10

          【小説】Start up! 9

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 「あれ?中野が一人なんて珍しいじゃん」 聞き覚えのある声に、佑は振り返る。 昼休み。食堂の隣に併設された購買は混雑していた。 「渋谷」 一年生の時に同じクラスだった渋谷が立っていた。 「なんか久しぶりって感じだな」 渋谷はそう言って近づいて来た。 二年になって、佑と渋谷はクラスが別になった。渋谷は通学組で、佑は四月からずっとダンスに時間を充てていたこともあって、渋谷との接点はなくなっていた。 「ノート?」 渋谷が佑が手にしている、今

          【小説】Start up! 9

          【小説】Start up! 8

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 透が声を上げたその時、廊下を走って来る複数の足音が聞こえた。 「佑ッ!」 戸口に真澄の姿。その後ろには原と力也の姿があった。 真澄が相手に射抜くような視線を向けたまま無表情に入って来る。その後ろに原も続く。 相手が一歩後退り、佑の襟をつかんでいた手を放した。 「尾高くん、スマホ」 「え?」 佑の冷静な声に透が握り締めていたスマホを見た。 「この人が写り込んでるの、消して」 「あ…、ああ、はいっ」 透はすぐにスマホを操作する。 「あ…

          【小説】Start up! 8

          【小説】Start up! 7

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 休み時間。窓ぎわの席。 イヤホンをして音楽ソースで音楽を聴きながら、目を閉じ、時々わずかに手を動かし、足先を動かしている生徒がいた。 佑だ。 完全に自分の世界に入っている。 そして、時々自分の髪に両手を入れて、頭を抱えている。 周りの人間はもう承知していた。 あれは次に向けての葛藤だと……。 「龍司ぃ…」 佑が練習の最後、スタジオの床に倒れ込みながら龍司を呼ぶ。 「どしたの?たっくん」 龍司は慌てて佑の横にひざをついた。 佑が寝返

          【小説】Start up! 7

          【小説】Start up! 6

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 (怖い人だ) 透は撤収作業をしながら思った。 気の強さで言えば、もしかしたら“キング”よりもはるかに…。 そして、あの美しさと色気─── “プリンス”が言っていたように、透も電気が走ったような感覚を覚えた。 撤収作業を手伝ってくれている“キング”をそっと見る。 (あの人は、クイーンとクラスが一緒で、寮も同室で…) 「で…ッ」 「手が止まってる」 背中をどつかれて、透は後ろを振り向いた。 「松岡先輩…」 「なんだ?中野の色香に当てられ

          【小説】Start up! 6

          【小説】Start up! 5 のおまけ

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 佑は寮に戻ると先に風呂に入った。 風呂から上がり洗面所から出たところで、ちょうど真澄が戻って来た。 “お先”と声をかけたが、真澄は佑をちらりと見ただけで無言だった。そのいつもとは異なる態度に佑の頭の中にクエスチョンマークが飛び交ったが、入れ違いに風呂に向かう真澄に、その時は問うこともせずそのままにしてしまった。 洗濯物をカゴに押し込み、一階にあるランドリールームに向かう。 ランドリールームは三つある寮に一ヶ所ずつあり、洗濯乾燥機が三

          【小説】Start up! 5 のおまけ

          【小説】Start up! 5

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 「そう言えば…」 昼休み。 本校舎裏の、木や低い植え込みに囲まれた中に、ポッカリと拓けた場所。芝生が植えられたその場所で、龍司がそう切り出す。 「ダンスサークルが出来るみたいだよ」 「へえ。たっくんと竹内に刺激されたのかな?」 購買で買ったジュースを手に、力也は興味津々でそう言った。一方、佑は、 「そうなんだ」 抑揚のない声でそう言い、全く興味が無さそうだった。佑のすぐ横にすわる真澄も同様だ。 「あれ?たっくんのところに誰も来てない

          【小説】Start up! 5

          【小説】Start up! 4

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 「またこれ見てんの?」 後ろから声をかけると、透はビクッとして振り向いた。 「松岡先輩」 写真部の部室のテーブルに、透は体育祭の時のアルバムを広げて見入っていた。 「だって、綺麗じゃないですか」 透は後夜祭の、佑と龍司のダンスシーンを撮った写真を見つめた。 「それを撮った俺の腕も、もっと褒めてほしいもんだなぁ」 松岡はテーブルを挟んだ透の斜め前のイスにすわりながらそう言った。 「あ、も、もちろんです。先輩の腕すごいです」 慌ててそう

          【小説】Start up! 4

          【小説】Start up! 3

          〜俺たちのあおはるストーリー ’s Ⅲ〜 「佑」 呼ばれて教室後方の入り口を見ると、原が立っていた。人差し指をチョイチョイと動かして、佑を呼ぶ。 佑は真澄を気にしながらも原のところに歩いた。 一学年上の原と真澄は以前から因縁の間柄と聞いている。 去年、佑が転校して来て間もない頃、その絡みで佑と原は一悶着あった。そのあと原が佑をかけて真澄に宣戦布告、などということもあった。 それ以降、どこまでが本気なのかはわからなかったが、原は佑にちょっかいを出してくる。佑も原に対して、最初

          【小説】Start up! 3