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All you need is laugh

 昨年の9月5日に発売された「ここに」。そのカップリングの一つが、「All you need is laugh」だった。

 作詞作曲は関ジャニ∞の中でもよく曲作りを行っている、錦戸くんと安田くん。そしてこの曲と共に、その制作風景が収められた得点映像がついてきた。ツアーのリハの映像と共に流れてくるお洒落サウンドと、「All you need is laugh」というリフ、あんまり音楽のことは専門的に語れないけれど、全てがかっこよくて、そこからしばらく延々とインストバージョンを聴きまくった。
メンバーがこんなにかっこいい曲を作ったということで、とにかくそのかっこよさを語る言葉を探しに、twitterで検索をしまくった。(よくやる)賞賛のツイートはたくさんあった。音楽的な切り口で語っているツイートもたくさん。けど、そうではない意見もたくさんあって、その中でも一番気になったのは「錦戸の独断場」であったという意見。「錦戸は自分のかっこいい像がはっきりしてるからその実現のためには手段を選ばないんだろう」みたいな意見すらあった。歌割とか、曲の好みのことも色々あったけど、まあそこは好みだしな、と思ってスルーは出来た。でもこの「独断場」ってことにすごく違和感を覚えた。私は全くそう思わなかったから。

 そういう意見が出てきた原因は例の制作過程が収められた映像。これが、「スクラップアンドビルド」という切り口で書かれたから、そういう意見が多くなったと、私は思っている。この映像をまとめると
1丸山くんから次のシングルのカップリングとして大阪をアピールする曲を作るよう大阪観光局から依頼されたことがつたえられる
2全員で「歌詞」への案を出していく。
3曲作りの担当が錦戸くん、安田くんに決まる
4ギターで音を合わせながら曲自体のイメージを膨らませる
5錦戸くんがPCで音源を作ってくる
6全体に聞かせる場が持たれる
こんな感じ。

 3から4の間がおそらく非難の対象になっている、「スクラップアンドビルド」の部分。3の段階では、安田くんが作ってきたメロディに対して錦戸くんがギターを弾きながら、サビの部分をセッションしている。(個人的にはここの時点でのAll you need is laughがビートルズバージョンのAll you need is loveからメロディを持ってきていそうなことに興奮した)シンコペーションの感じとかも二人で話し合っている様子が伝わってきて、とても良い。うん。良い。で、3から4の間、錦戸くんは自分のパソコンで曲を作って来た。本人も、「大幅に変更してんけど」と言っていた通り、3で話し合われていた雰囲気とは違って、リズミカルなギターがチャカチャカ鳴り響く曲になっていた。ここ。ここの部分。ここの部分が、「スクラップアンドビルド」だ、と映像の中では言ってるんだろう。し、ここの部分が、「錦戸の独断場」と言われているんだろう。確かに、前の段階で作られたメロディではなくなっていたし、5の時点では、2で出し合った「A to Z」や「OSAKA」という要素もなくなっている。
 安田くんが「この部分が自分で作った」と後からフォローをしていたし、曲のほとんどの部分がヨナ抜きのまんまだし、みたいなね、そういうことも言えるんだけど。実際twitterでそんなことをツイートしては大暴れしてたんだけど。
これ、お仕事に置き換えて考えてみて欲しい。特にチームで何か仕事をするっていうタイミング。仕事の依頼がくるじゃない(1)。みんなでイメージやゴールをすり合わせるじゃない(2)。担当者がそれぞれのタスクをしてたたき台を作るじゃない(3)。叩いた上でもう一回練り直すじゃない(4)。で、承認のプロセスがあるじゃない(5)。そんで、リリースするじゃない。すっごい積み上げで仕事してない?って思うんですよね。その段階を、ひとっつも妥協せずに、真剣に話し合いながら生まれた曲が「All you need is laugh」だと思うんですよ。

関ジャニ∞って、ちょっと前のライブDVDに、共作してる映像が残ってます。JUKE BOXの、罰ゲームのやつで。多分、あんなノリを期待したから、でもそうではなかったから、これは「共作なのか」ってところに疑問を抱くんだと思うんだけど、あれは罰ゲームとして作ったもので。こっちは「シングル」として「リリース」が決まっていたもので。妥協してでも良いから前者みたいなものが欲しかった、っていうのは彼らにとても失礼な気がしている。

 まあ何が言いたかったかって、あの映像があったことによって、あの曲に、なんか色々なバイアスをかけて聞いた人がたくさんいたんだろうなあ、っていうことが、ものすごく残念だっていうこと。せっかく作った「曲」が「曲」としてちゃんと聞いてもらえなかったことが、とても悲しい、ということ。私は制作過程はもっと見たいと思うけれど、こんなことになるなら今後一切公開しなくていいんじゃない、とすら思う。
 来月発売する新曲、crystal、作詞作曲が明らかになっていません。制作過程も見えていない。バンドである、っていうことだけ明らかになったけど。で、結構かっこいいよね、っていう声を見かける。すごく良いと思う。誰が作ったものかが見えないことで、この曲を何のバイアスもかけずに「曲」として聞いている人がたくさんいる。
 関ジャニ∞だけに関わらず、ジャニーズ、まああとは大きな括りで言えばアイドルの「曲」って、結構「誰が作ったのか」が重視されがち。誰が提供した、だとか。でもそれって実は結構「曲」が損してることがたくさんあるのかも、と思ってしまいましたまる。なっが。思いがあふれたよ。