見出し画像

家紋の輪の話

家紋を描こうと思うとまず避けて通れないのが、この「輪」の存在。
以下に三種類並べてみましたが、全て輪の太さが違うことにお気づきになられたでしょうか。

画像5

左から順に「丸輪」に一本稲を配置した「丸に一本稲」。「中輪」に銀杏を配置した「中輪に一ツ銀杏」。「糸輪」に割折入井筒を配置した「糸輪に割折入井筒」。全部違う太さ、違う種類の輪になります。


輪の種類

で、家紋を描いていると "何かを輪で囲む紋" って結構多いのですが、この輪の太さ(もしくは細さ)の種類が豊富。豊富すぎるんです。

以下、輪の種類とその太さを図にしてみました。

画像2

左から順に、厚輪(あつわ)、二分輪(にぶわ)、太輪(ふとわ)、中太輪(ちゅうぶとわ)、丸輪(まるわ)、中輪(ちゅうわ)、細輪(ほそわ)、糸輪(いとわ)、毛輪(けわ)...。
この図だけでも9種類!

『お、多すぎるよ...(心の声)』

正直この半分くらいで十分じゃ?と思ったりもしますが、家紋を派生させる時に身分の高い人より太くちゃいけないとか、あったのかもしれません。

なお上の図は、調べた結果から太さ(細さ)推測して作っていったものなので、あくまでこんなにあるのか〜くらいに見ていただければ嬉しいのですが、それにしたって輪だけでもバリエーションが多いことだけは確か...。

なお、中輪(ちゅうわ)は「なかわ」、毛輪(けわ)は「もうわ」と読む資料もあるそうです。


輪の基本は丸輪

そんな輪の中で、基本とされる = 一般的に使われる輪を「丸輪」と言います。

標準的な太さの輪を「丸輪」と呼び、紋の直径の一割(女性用なら2.1ミリ)とされており、丸輪の倍のものを「太輪」、半分のものを「中輪」、そのまた半分を「細輪」、さらにその半分を「糸輪」といいます。その他、「雪輪」・「竹輪」「隅切〈スミキ〉り」といった特殊なものもありますが、その家で昔から決っている以外は、丸輪にしておくのが一般的です。ー via. 家紋・紋章・定紋について


実際、輪の太さというのは紋章上絵店によってまちまちなんだそうですが(バランスをみて調整しているのかもしれませんね)、自分が作る上で基準が必要だったので、上のページを参考に紋の直系の10分の1を丸輪の太さとして作成することにしてみました。

以下は、丸輪を基本としてよく使われる輪の一覧です。

画像1

家紋を描くときはこれを頼りに、同じ名称なのに違う太さにならないようにとか、違う名称なのに同じ太さにならないようにとか、注意をしています。


色々な輪

また、輪はシンプルなものを見かけることが多いですが、模様で作られた輪のように可愛いものや(左から順に、藤輪・八重菊輪・変り唐草輪・竹輪)

画像3

二重になってたり、内側だけちょっと変わってたり、丸ではなくなっているものも(左から順に、陰輪・州浜藤輪・光琳梅輪・朧輪)。

画像4

この他にも様々な変わった輪があるようです。


多くの家紋は丸形

ちなみに現在、よく使われる家紋のうち3分の2が丸形
なんですが、昔は輪の家紋というのは少なく、丸形の家紋が出てきたのは戦国時代からなんだそう。(家紋の歴史の話は以下の記事にまとめてみました)

つまり家紋の原型の多くは、丸ではないってことなんでしょうね。

さらに加えていうと、本家から分家へと分かれる時に、その原型を保ったまま家紋を区別させるために変形させる。その変形パターンの一つが「付加」で、そのうちの一つに「外枠」があって、その一つが「輪」という感じ。


どうやって家紋が派生していったんでしょうか。
実際に家紋の家系図みたいなものがあるなら、ぜひみてみたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。 暑くなってきたので冷たい飲み物が美味しいです。