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ストーリー創作・・短編小説を書くための類語辞書・・・トラウマ類語辞典


『トラウマ類語辞典』は「心の闇」類語辞典・・・

フィルムアート社の類語辞典シリーズの『トラウマ類語辞典』です。
内容が重く、読むのも「つらい」・・・しかし、キャラクター設定でさけてとおれない・・・部類の書籍です。【うん、ほんまやで】

本書では、「トラウマ」=「心の傷」と定義しています。

SAVE THE CAT!』では、「心の闇」。
ブレイク・スナイダー・ビート・シート15の、 12番目「 心の暗闇(75~85)」
・・・主人公は深く考え、心の奥底を探る。・・・
構成的には、「ジャンピングボード」にあたる部分で、フィナーレにむけて飛躍するための身をかがめて沈み込んで(沈みこみが深ければ深いほど、次の飛躍(第二ターニングポイント)高く感じられます。ここでいきなり、「 心の暗闇」が出てくるわけにはいかず、冒頭の「オープニング・イメージ」「テーマの提示」「セットアップ」で、はっきりと「心の傷」をモチーフとして、また伏線を張り巡らせて置くことになります。
その点、
ストーリーの解剖学』では「亡霊」といった部分【シランケド】
「ストーリー構造の22段階の道程」の二番目「亡霊とストーリー•ワールド」
の「亡霊」です。
いわゆる「バックストーリー」(『ストーリーの解剖学』では「バックストーリー」という言葉は広範囲なので使わない)の中の、
「観客が興味を持つのはその本質的な部分」を「亡霊」と呼んでいます。

ストーリーには2種類の亡霊がある。ひとつ目の最もよくある亡霊は、現在の主人公に今でも憑りついている過去にあった出來事のことだ。この種の亡霊は、主人公の心理的弱点や道徳的弱点の源泉となることの多い、いまだ癒えていない傷である。これはまた、ストーリーを作り始める以前に主人公の自然な成長の過去を遡るためのツールにもなる。だからこそ、亡霊はストーリーの基礎土台としてとても大きな位置を占めていると言えるだろう。
また、この種の亡霊を主人公の内にいるラィバルと捉えることもできる。主人公に行動することを躊躇させる大きな恐怖心がそれだ。構造的には、亡霊は反欲求として機能する。欲求が主人公を前進させるものであるのに対し、亡霊は主人公を後退させるものだからだ。            『ストーリーの解剖学』より

『ストーリーの解剖学』の「亡霊」は、『SAVE THE CAT!』「オープニング・イメージ」「テーマの提示」「セットアップ」にあたる部分の冒頭に登場です。

「ストーリー構造の22段階の道程」の二番目「亡霊」として、明記してあります。
『SAVE THE CAT!』のブレイク・スナイダー・ビート・シート15では、三番目の「セットアップ」にあたる部分です【シランケド】


『トラウマ類語辞典』は、90ページに及ぶ解説

はじめに
書き手のためのセルフケア

フィクションの鏡:人生と心の奥を映し出す

心の傷とは何か

悪役の旅路

キャラクターの心の傷をめぐるブレインストーミング

根深い痛み:心の傷に影響を与える要素

行動を通じて心の傷を写し出す

避けるべき問題

筆者から最後に

以上の解説が90ページにわたる解説があります。

・・・簡単には払いのけられない、忘れ去ることのできない精神的トラウトラウマに苦しんでいる。このタイプのトラウマをここでは心の傷と呼ぶ。
・・・キャラクターの背景的な過去の出来事も理解しておく必要がある。
・・・最悪なのはトラウマの中に潜む偽りである(これは、誤信念または誤信とも言われる)。
・・・誰もが心に深く根差した道徳的信念を持っている


事例の項目(本文)は、大括りとして
◇犯罪被害のトラウマ

◇障害や損傷によるトラウマ
◇失敗や間違いによるトラウマ

◇社会の不正や人生の苦難によるトラウマ

◇誤った信頼と裏切りのトラウマ

◇幼少期のトラウマ
◇予期せぬ出来事によるトラウマ
に分類され、そのカテゴリーに「事例」があります。

「事例」(項目)は、それぞれ
〈具体的な状況〉
〈この事例で損なわれる欲求〉
〈キャラクターに生じる思い込み〉
〈キャラクターが抱く不安〉
〈行動基準の変化〉
〈この事例が形作るキャラクターの人格〉
   ポジティブな人格
   ネガティブな人格
〈トラウマを悪化させる引き金となる出来事〉
〈トラウマに向き合う/克服する場面〉

以上の項目の「類語辞典」になっています。
注目は、〈キャラクターに生じる思い込み〉です。

また、〈この事例が形作るキャラクターの人格〉では、「ポジティブな人格」と
「ネガティブな人格」に分けてあります。
このことからでも、「性格類語辞典」(ポジティブ・ネガティブ)との併読がいいようです【うん、ほんまやで】
同一著者だから当たり前のようですが、『トラウマ類語辞典』の〈この事例が形作るキャラクターの人格〉「ポジティブな人格」「ネガティブな人格」と、
性格類語辞典」(ポジティブ・ネガティブ)とは内容が統一されていますって。

まとめ この書籍は「取扱注意」です。

1「はじめに」を飛ばして読まないように、必ず読みましょう。
著作の2人は作家で、「心理学者ではない」を頭に入れておきましょう。

本書で扱う内容は、現実に当てはめるためのものではなく、あくまでも、物語のキャラクターをより一層深く理解し、過去のトラウマの影響を受けた彼らがどのような道を選んでいくのかを知るために書かれている。


2 必読は、「書き手のためのセルフケア」です。

・安心できる場所で本書を利用する
・執筆作業後は、ひと休みしてから次のことをする
・必要なだけ休憩をとる
・信頼できる人に待機してもらう
・自分自身の過去の何かに触れてしまい、不快な感情がどっと押し寄せてくる
・気持ちが苦しくなってきたら、散歩に出る、飼い猫を抱く、好きなものを食べるなど、気分転換を図ること。
・執筆中、孤独感に襲われたときにも、うまく切り抜けられるはずだ。

書いてて・・・「ゲッボ!」となったことや、グッタリしたり、ドット肩が重くなったり・・・急に寂しくなったり・・・した経験のある方、ない方、気をつけて!

付録はPDFフィルムアート社の公式サイトからダウンロードできます。
付録A:心の傷・フローチャート

付録B:キャラクター・アーク進行ツール

付録C:人気ストーリーに描かれる心の傷

付録D:背景としてのトラウマをめぐるプロファイル・ツール

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