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イモづる読書【その44?】書いてみせます・・初めての短編小説! ・・『丹下左膳』から『魔像』・・「新版大岡政談」さらに講談『大岡政談』へ

すっかりご無沙汰の『イモづる読書』です。
このところ、『コテンと眠るための読書』シリーズで記事を書いてきました。

このあたりでよくとりあげた作者は、林不忘です。

本名は、長谷川 海太郎(はせがわ かいたろう)。
ペンネームは、林不忘(はやし ふぼう)、牧逸馬(まき いつま)、谷譲次(たに じょうじ)の3つを使い分けています。
そのうち、林不忘は時代小説です。
釘抜藤吉捕物覚書』、『早耳三次捕物聞書』、『丹下左膳』と「コテンと眠るための読書」をつづけています。

あんなこんなで、林不忘にはまっています。
『丹下左膳』が「新版大岡政談」からのスピンオフと知り、

「新版大岡政談」からもう一つの『魔像』を読んでいます。

これが面白い!あるいは興味(おも)しろい!
ご存知「大岡越前」ですが・・・・・
小説やテレビドラマではだいたい「大岡越前」です。
「大岡政談」とわざわざ断っているのは、「講談」系だからです【シランケド】
「講談」ということで、語り口が面白いのです。

話はとびますが、「講談」の口調といえば古風ですが、現代風で参考になるのが、井上ひさしの『戯作者銘々伝』の「馬場文耕」です。

元の『大岡政談』(講談)は、こんな調子です。
これは『大岡政談』の中で一番人気の『天一坊』の出だしです。

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林不忘は、まさに古典的な講談調の語り口と、井上ひさしの現代的講談調の語り口の中間にあります。

講談本が電子書籍になって身近になりました。
『講談名作文庫』シリーズは、講談社から昭和29年に刊行された『講談全集』の文庫版選集です。
電子書籍版では現代表記に改めてあります。

ちなみに紙の本では、
1970年頃上梓の『定本講談名作全集』(講談社)ではこんな具合です。

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上記の『大岡政談・天一坊』は、同系のものです。
神田伯龍です。
実はこの「神田伯龍」は初代は「伯山は天一坊で蔵を建て」の伯山の師匠筋にあたり、三代目の伯龍なら、「伯山は天一坊で蔵を建て」の伯山の弟子です。
この稿は、評判の師匠の台本を弟子がまとめたとしてもいいかも【シランケド】

また、わざわざ「講談本の大岡政談ではありません」と断ってあるのは、
夕陽亭文庫』シリーズがあります。
これは、帝国文庫版のような気がします。【シランケド】

このように講談の台本は、それぞれの演者に、また、流派に、時代に翻弄され・・当然、「著作権保護法」がありませんし、それよりもなによりも、聴衆に直に語りますから、聴衆の反応を直に受けて、変化していきます。
これは魅力ですね【うん、ほんまやで】

このような生きもののような講談を書き起こし、さらに「定本」と冠にした講談社の『定本講談名作全集』の意気込みに感服します。

残念ながら、『定本講談名作全集』は絶版です。
図書館を探しまくると出会えます・・・7巻+別巻 全8巻・・・
一巻がそれぞれ700ページ程度あって、さらに2段組・・・【うん、ほんまやで】

こんなあんなで、前述の電子書籍化はありがたい・・・・
これぞデジタルアーカイブの本領でしょう・・・・

現代の講談は、テレビドラマの「水戸黄門」「大岡越前」「遠山の金さん」
「鼠小僧」・・・挙げればキリのないくらいあります。

司馬遼史観と呼ばれているように、時代小説が「史実」にどんどん近づいていく様子なのに、はちゃめちゃな物語が懐かしい今日このごろです。


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