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「Fairy World」を読む(8)

「Fairy World」は全部で179作収録。今回で60番台に入ったのでようやく3分の1です。長い戦いになりそう。読者の方も気長に付き合ってくださるとありがたいです。コメントなどいただけると励みになります。


60番

Boletim da UBP  2nd Prize 1967

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H#2 b)Rg8→g2

ツインの設定を見たところ、a)はR-Sのバッテリーを、b)はB-Sのバッテリーを使う方が効率が良さそう。a)から考えてみよう。黒はQをどこかに動かしてKe3とし、白がSe2とするメイトを目指すが、いつも通り白のもう1手が問題になる。Kg2やRh4は作意が成立しない、Bは動かすとbRがg3に利いてしまう、Sも動かすと詰まない。一見詰みがないようだが、1.Qg5!が妙手。これがRg8のラインを切る手になっているところに注目である。それによって白は1...Bxh6が指せ、最後はpin-mate。

a) 1.Qg5 Bxh6 2.Ke3 Se2#

b)はa)との関連性を考えれば解けるはず。黒はSをどこかに動かしてから2.Bd5と壁駒を入れ替えることで、2...Sfe4#の詰みに導くことができる。問題はやはり白の初手だが、動かせそうな駒がRしかないのと、bSの動かす先が1通りになることを考えれば辿り着けるだろう。

b) 1.Sf4 Rh4 2.Bd5 Sfe4#

a)でのみKが動くなど、2つの手順の構成には違うところがあるのに、テーマは統一されている作品。こういう作り方をするのは作家の視点では不思議である。私には見えない世界を見ているのだろう。b)がpin-mateになっていないのは気になるところ。


67番

Sinfonie Scacchistiche  1967

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H#2 b)Bd6→Sd6

a) 1.Bb4 Se3 2.Rd3 c4#
b) 1.Sc4 c3 2.Rg6 Sd4#

白の初手は動かなかった方の白の駒をpinする手になっている。黒は2手目でそれをunpinするのだが、今度は黒の動かなかった方の駒がwBによってpinされて、mateに至る。双方のhalf-pinが織りなすpin-unpinの連鎖反応と、model-pinmateの詰上りが魅力的。


少しギアを上げないと来年中に終わらないかも……


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