見出し画像

5th ISC 2009-Round 2 前編

遅ればせながら2009年のチェスの解答選手権、Round 2を解いた感想を書く。Round 2も出題数は6問、制限時間は2時間。

この記事では前半の3問を扱う。全てOrthodoxなので安心してください(?)。

画像1


(7) O. Wielgos Die Schwalbe 1962

画像2

まずはMate in 2から。私はいつもここから解き始めるが、自分の得意なところから解けばいいと思う。この7番は黒Kが完全包囲されている形。どうせ古典的なやつでしょという読みで、flight-giving keyを考える。flight-giving keyとは、黒のキングにあえて逃げ道を与えるような手のこと。詰ませる上で一見不利に思えるため、昔のorthodoxでよく用いられていた。一番最初に思い付いたのが1.Se2! (2.Sxg3#)で、これはSf3を捨てる意味になっているためいかにも「それっぽい」手だ。しかし、1...Kxf3なら2.Sc3#だが1…Bxf4で案外メイトが見つからない。次に思いつくのは1.Sf5 (2.Sxg3#)。これもf4にflightを与えつつ、捨駒になっている。1...Bxf4は2.d3#、1...gxf5は2.Qc4とそれぞれの場所でself-blockになってメイト。まあこれは正解やろうなということで次に行った。ここまでで10分くらい。


(8) V. Sichev, Memorial Nabokova 1994

画像3

とりあえず1.Ra8 (2.Rf8#)を考えてみた。しかしこれには1…Rc6とされると2.Rf8 Rf6 3.Rxf6にKxe5があって不詰。まあ、こういうshort threatを持つkey moveには無いわなと思いつつ、ほなどうすねんと言うところがよく分からなかった。案外手が広く、15分くらいで白旗。

解答は以下。※()内は部分点

1. Sbd2! dr. 2. Txe4+ (0,5) Kf5 3. Txf3 #
1. … Txd2 2. Ta8 (1) Sg3 3. fxg3 #
1. … Tc3 2. Td5 (1) – 3. Lh6 #
1. … Lc3 2. Sc4 (1) – 3. Lh6 #
1. … e3 2. Taxe3 (1) dxe3 3. fxe3 #
1. … d3 2. Txe4+ (0,5) Kf5 3. Se3 #

keyとthreatが全然おもろくないので解き辛かった(失礼)。しかしよく考えると、Ra8は配置上出るに決まった手なので、c2Rの利きが逸れる変化が付くこのkeyは見えても良かった気がする。


(9)  V. Pachman  Schach 1959 2nd Prize

画像4

黒Kは完全包囲されているので考えやすそうな形。パッと見では、1.Bc8 Qxc8 2.Sb4や、1.Sb4 Qxb4 2.Bc8 Qb7 3.Bxb7のような筋が見えた。この時にQから白Kにcheckがかかってしまうので初手はKを動かすしかないと気付く。Kh5とKh4は無いとして、1.Kg3はありそうだが、1...Qd6とかの変化を考えるのが面倒そう。1.Kh3 (2.Sb4 Qxb4 3.Bc8 Qb7 4.Bxb7#)としてみる。1...Qh8+ 2.Kg3まで確定。ここで黒はc5とc8を守る必要があるので2...Qf8と戻るしかない。これで白Kへの逆王手がかからなくなったので、3.Bc8から詰みとなる。鑑賞者としてはなんだかなぁという気分。解答者としては10分以内で解けてよかった。

一応紛れも載せておこう。

1. Kg3? Dd6+!
1. Kg5? Dc5+ 2. Kh4 Sxa4

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?