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極光Ⅱの感想を書くだけ(1)

上田吉一氏のフェアリー作品集『極光Ⅱ』を読んでいき、感想を書くだけの記事です。私にはフェアリーピース入りの図面を作る術がないので、出題図は貼りません。正解手順も書きません。書くのは作品番号と感想だけ。ぜひ『極光Ⅱ』を手元に置いてご覧ください。
もしこの名著を買いそびれているという方がいたら、本当に勿体ないので必ず買いましょう。まだ在庫はあるはずです。

なお、本作集は収録作の6〜7割が余詰らしいのですが、私はどれが余詰か知らないので、感想は全て完全作のつもりで書きます。


1番:多分この作品集の中でもっとも有名な作。飛に対する4銀連続合は伝統ルールにもあったはずだが、角に対してはフェアリーでしか無理か?

2番:玉方のと金を連れてくる面白い馬鋸である。余詰消しのためのMadrasiルールは残念。

3番:これは笑ってしまった。確かに詰将棋以前だ。手数を隠して計算問題としても良いのかも。

4番:盤端を右回りするRoyal Grasshopperを追いかける。不規則な入れ替えパズルの傑作。

5番:2131手と手数は長いが、穴が少ないので4番に比べれば易しいらしい。解説に名言があったので引用しておこう。
「メルヘンの世界とフェアリーの世界をドッキングさせることで、夢のような世界が実現する。そして、伝統ルールから自分の頭が解放されるのだ」

6番:超難解作。凄いのはもちろん凄いんだけど、手順の統一感というか、結局何がやりたい作品なのかというところは理解できず。

7番:飛の最遠打に始まり、空中で成桂と飛が運動する。作者曰く、伝統ルールとフェアリー系の間の橋渡し的作品。こういう明快な趣向が大好物だ。

8番:数少ない(?)例題級。

9番:飛の移動を邪魔しない11地点まで先に馬を運んでおく。フェアリー駒の使用を最小限に抑えてあるのが好ましい。伝統ルールの香りがする。

10番:主眼部分は上田さん得意の連取り趣向。序はややこしいが、マドラシが活きている手順なので構成上入れておきたいところなのかも。

11番:Kangarooなんてどう使うのか?と思っていたら銀を呼んでくるのだった。本作のテーマである限定打+合駒は伝統ルールの作品集『極光21』でも多用されており、やはり伝統ルールとフェアリーは切り離さずに鑑賞したい。

12番:Grasshopperを異なる場所でpinしてstalemateに持ち込む。綺麗に纏まった2解で文句の付け所無し。

13番:マキシはよく分からないが、並べていて気持ちが良い手順だ。これだけの配置で限定されるとは。

14番:4香連打。伝統ルールでも可能なテーマだし、特に感心しなかった。

15番:Vizirと金の壮大な入れ替えパズルで6000手超え。ここでも名言が飛び出している。
「手数の巨大化やルールの複雑化は、人間とのコミュニケーションに失敗すると思う。楽しく遊べるのは千手以下であろう」

16番:Grasshopperでの連取りってもう1枚操縦しないといけなくなるのか。言われてみればこれが基本形だが、私のような素人からすると基本形すら充分新鮮である。

17番:手順の対照性は完璧。ツインの設定だけ不満だ。2解に出来ないものだろうか。

18番:初心詰。作品集を読んでいてこういうのがあると嬉しくなる。

19番:23桂1枚で手順をコントロールできるのがオイシイところか。ところで碁石取り遊びとはなんだろう。やったことがない。

20番:駒追加や持駒推理はあまり見たことがないジャンルだ。今後開拓されていくのだろうか?これで唯一解になっているとは感動的で、名作の1つ。最後に上田節を。
「最も美しい図面は白紙である」

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