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「Fairy World」を読む(21)

今回で連載は終わりです(ただしおまけが2つほど続きます)。トリにふさわしい傑作が登場しますよ!


172番

Boletim da UBP  3rd Prize 1981

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H#2 4solutions

1.Rb2 Qe4 2.Rb5 Rc6#
1.Re5 Qb4+ 2.Kd5 Rd6#
1.Re6 Rf5+ 2.Kd6 Rd5#
1.Kd4 Qd5+ 2.Ke3 Rf3#

この初形からechoの詰上りが4つ。ちなみに、初形が盤上5枚以下のものをTanagraと呼ぶ。


174番

Ideal Mate Review  1st Prize 1983 (FIDE ALBUM 1983-85収録作)

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H#4 b)Rotate 180

端正な初形に加えて、盤を180度回転させよという少し珍しいツインの形式だ。まずは(a)図から見てみよう。

a) 1.Rd6 Kf4 2.Ra6! Kf5 3.Kc6 Ke6 4.Rb6 Rc8# 

これだけの配置でwKのルートが限定されているし、Rのtempo moveも入って良い感じ。

(b)図

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(b)の図面はこうなる。ここで考えたいのは、盤を180度回転させたら何が変わるのか?ということだ。チェスの駒は上下にも左右にも対称性が非常に強いため、180度回したときに違いが生じる駒はたった1つ、Pしかない。この図からa)の手順を再現しようとするとそれが分かる。最終手Rf1をPに取られてしまうのだ!そういうわけで、b)の作意は以下。

b) 1.Rf2 Rh1 2.Bd1! Ke6 3.Kf3 Kf5 4.Be2 Rh3#

なんと、今度はBがtempo move! これだけの配置で2種類のtempo moveが表現されているのは驚きだ。また、ツインでEcho mates、そしてIdeal matesにもなっている。a)でこの手順を再現しようとすると、最後のRh3をPに取られてしまうことも確認しておこう。

それにしても、b)でBがe6に利いていることによって白の手順前後を防いでいるあたりは上手く行き過ぎている。Helpmateの神様からの贈り物のような作品。


長かった連載もこれで一旦区切りです。読んでいただきありがとうございました。ただし、正誤表などの付録が2つ続きます。


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