Try,everybody! Orthodox01

今回からOrthodoxに入っていきます。Helpでは黒から動かしましたが、Orthodoxは白先。例えばmate in two(#2)なら、白黒白で詰みです。これは伝統ルールの3手詰と同じですね。ただし王手義務はありません。

まず1作見ていただくことにしましょう。

【Try, everybody! 13】

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最初は利きの確認です。例えば、Qc2+はSxc2で逃れます。詰将棋の感覚で言うとRa2+のような開き王手も試してみたくなるでしょう。しかしこれもBb2で詰みません。

ここで重要なのは、少なくとも短手数では、白の初手(key move)がcheckであることは滅多にないということです。

また、詰将棋と同様に、殆どの作品には何か狙いがあります。現代のOrthodoxは全体の構成(パターン)が狙いのことが多いですが、上のような古い作品ではkeyの意外性・妙手感が狙いのこともよくあります。

この作品では、bKが完全に包囲されていますね。こういう時は、あえてbKに移動先を与えてしまう不利感のある手がkeyになることが往々にしてあります。具体的には、Rを見捨てる1.Bb4のような手。これは何も無謀なことをしているのではありません。なぜかというとこの手は、黒がもし何もしなければ、2.Qa1で詰ませることが出来るからです。このような詰めろをかけている状態を、2.Qa1のthreatが付いている、と言います。

では1.Bb4に対する黒の手を考えます。ここで重要なのは、黒の2手目は白の狙う2.Qa1を防ぐ手でなければならないということです。それ以外の手は受けとして意味がないので、変化としてカウントされません。そのような手は3つしかありません。1つは1...Kxb2で、これは2.Qa3で詰みです。2つ目は1...Sc2で、こちらも2.Qxc2として詰み。最後は1...Bxb2ですが、これだけが詰みません。1.Bb4に代えて1.Bc5とすれば、1...Bxb2に対して2.Be3と指せますがこれも2...Qxe3と取られてしまいます。そこで……

1.Bf8!(2.Qa1#)
1...Kxb2/Bxb2/Sc2
2.Qa3/Bxh6/Qxc2#

高坂:初手Bf8の最遠移動が、狙いの一手。1...Bxb2に対する2.Bxh6が、その意味付けになっています。妙手一発型の構成というのは現在では廃れてしまいましたが、こういう手が持つsense of wonderはやはりパズルの原点です。

詰将棋でもお馴染みの最遠移動でしたね。慣れてくると、右上の配置から作意を推測できるようになってきます。


それでは、次回解説する作品を貼っておきます。

【Try, everybody! 17】

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今度は、黒にKしか動ける駒がありません。その代わり、Kにはb8、d8、d6と3つも移動先があります。普通ならばwQを前線に運びたいところですが………予想外のkey moveを見つけてください。


最初なので色々書きました。私自身がOrthodoxを苦手にしており、創作もしたことがない素人なので、間違い等ありましたら教えてください。

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