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5th ISC 2009-Round 1 前編

普段私はチェスプロブレムを鑑賞したり、たまに創作したりしているのだが、今後プロブレム世界大会や解答選手権で解答競技にも出ることにもなるだろうと考えると不安なので、過去問を使って勉強することにした。

今回挑戦したのはInternational Solving Contest(ISC)の2009年分。ちなみにISCは2つのRoundに分かれており各Roundは6問を2時間以内に解くというルールになっているため、最大で4時間解答することになる。結構大変だ。

まずはRound 1を2時間かけて解答した。1つの記事で6問書くのは多いので、前編(1〜3番)と後編(4〜6番)に分けた。解答における私の思考の流れを書いていく。自分も解きたいという人は一旦読むのをやめて、解いてから戻ってきてほしい。思考の推移の違いは参考になるかもしれない。


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1) A. Makanzie, Mirror of American sports 1886, 1. Pr.

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はじめに1番を眺める。#2では状況の理解が大切だ。bKの可動域はd4のみとか、中央に白の駒の利きが重複してるからそのうちどれかを動かしそうだなとか、色々見ておこう。まず考えたのは、これcomplete block(mutate)になっているか?ということだ。complete blockとは黒が何かを動かせばその瞬間1手メイトがある形のことである。もしその形ならば白はtempo moveをすればいいのでとても楽だが、本作はどうだろうか。例えば1...Qb8なら2. Qxa1#、1…Rxf2には2.Qxe3#だが、最強のDefenceと思われる1…Rxf6(この瞬間bKの可動域はd4, d6, f4の3箇所に増える!)に対して1手メイトがない。私はそれに対してQxe3でメイトになれば都合がいいと考えた。そのためにはd6に利かせる必要があるので1.Sb7!。これはthreatを持っていないのだが、何を動かしても1手メイトがあることを確認して解答。解いた感想は「古典的やなぁ」。ちなみに答案を書く際、#2はkeyのみを書けば大丈夫である。ここまで20分くらい(かかりすぎ)。


2) J. Pospisil, Humoristicke listy 1887

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続いて2番。最遠移動でも出るのかな?とか考えつつ、いかにもめんどくさそうなので5分以内でパスを選択。

ちなみに作意は以下。threat以外は2手目がcheckになっているので絶対解けないということもないだろうが、まあ難しい。2.Qd4+の捨駒が見えると筋に入ったという感じだろうか。これもいかにも古典的。
1. Ld8 ! dr. 2. Kb7 (1) dr./d5/Sc4,d7 3. Lb6/Le7/Dc4 #
1. … Sc3 2. Dd4+ (1) Kxd4/Kb5 3. Lb6/Db6 #
1. … axb5 2. Da7+ (1) Kb4/Kc6 3. La5/Dc7 #
1. … Sd2 2. Dxa3+ (1) Kxb5/Kd4 3. La4/Lb6 #
1. … d5 2. Le7+ (1) Kb6 3. Sxd5 #


3) G. Bluhm, Förderungsturnier des DSV 1961, 5. Pr.

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そして3番。これはどうにかなりそうな気がした。高坂さんが紹介されているようなタイプのOrthodoxだろう。初手はRh8(2.Rd8#)の1手で、受けも1…Bh4しかないからとっつきやすい。もしこれを取り返すと2...Sb5という返し技があってダメなので、2.Re8(3.Re4#)とする。このように、長編になるとthreatが1手で詰むことも多く、#3よりは考えやすい。2...f5まで進んで、ここで悩む。手なりで進めるなら3.Re6(4.Rd6#)だが、やはり3...Sb5が強い受けで詰まない。ここで読みを打ち切って別の筋を数十分追いかけた。どれも詰まんなぁと思いながらこの筋に戻ってきて、ついに4.Rd6+!を発見。気持ち良い瞬間!4...Sxd6に5.Sc5(6.Se6#)が最後の決め手で、5...Kxc5に6.Be3#。

3...Sb5のところSc8でもいいのは痛いが詰将棋的な捨駒が気持ち良い作品だった。これは解けて満足という感じだ。解図時間は40分程度(かかりすぎpart2)

ちなみにsolutionにはこう書いてあるが、読み辛いな。
1. Th8 ! Lh4 2. Te8 f5 3. Te6 Sb5,c8 4. Td6+ Sxd6 5. Sc5 (4) Kxc5 6. Le3 #
1. … 2. … 3. … Le7 4. Txe7 Sb5,c8 5. Td7+ (1) Sd6 6. Txd6 #


後編もお楽しみに。


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