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黎明期のOrthodox傑作選 05

今回は19世紀後半〜20世紀初頭に活躍した、Loydと並び立つスター作家、William Shinkmanを紹介しよう。彼の特徴は何と言っても、初形の美しさである。
Shinkmanを同時期に活躍した天才Loydと比較して、「Loydの天才性は泉が湧き出るのを抑えられないようなもので、対してShinkmanは天才でありながら苦心の才能も併せ持っていた」という評は興味深い。


まず、Shinkmanの初期の作品を3つ見ていただこう。

William A. Shinkman
Dubuque Chess Journal 1871 1st Prize

#20

1.Qb4+ Ka2
2.Qc4+ Ka3
[以下Q鋸]
9.Qf8+ Rxf8
10.gxf8=Q+ Ka2
11.Qf7+ Ka3
[以下Q鋸]
18.Qb4+ Ka2
19.Qb3+ axb3
20.Rxa8#

詰将棋を見ているかのような長編。Q鋸で遠ざかり、新たなQ鋸で近づき、最後はそれを捨て去ってR1枚でメイトだ。


William A. Shinkman
Western Advertiser 1872

#4

1.Rb1
1...e5 2.Bd8 d3 3.Bb6 Kd4 4.Rb4#
1...d3 2.Ba1 e5 3.Rb2 Kd4 4.Rb4#

面白いkey(1.Rb8はBb6の時にラインが切れる)、IndianからDouble checkmateになる変化と、pin-mateになる変化。Shinkman作品には、「この内容をこれだけの配置で!」という驚きが常にあるのだ。


William Shinkman
Huddersfield College Magazine 1877/10 Preis bester Zweizuger

#2

1.Ba4
1...d6/f6/f5/e4/Kxd5
2.Sbc7/Sdc7/Qg8/Qxe4/Bb3#

1.Ba4!が、b5Sの影に隠れる上にd5Sのヒモも外してしまうという優れたkey move。1...Kxd5にはSwitchBack、そして他のメイトも全て美しい。

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