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「Fairy World」を読む(4)

4回目まで来ました。今回もKricheliの世界をお楽しみください。


32番

Ⅲaxmatbi 1st Prize 1965 (FIDE ALBUM 1965-67収録作)

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H#3 2solutions 

初形を見て、c6でのGrimshawからdiscovered check(開き王手)でメイトにする展開はすぐに分かるはず。また、d3の地点は白が守れないため、黒にself-blockしてもらう必要がある。以上を踏まえると、例えば1.Rd1 Bc6 2.Kc4 ? 3.Rd3 Ba4#のような手順が考えられるだろう。では、2手目の白の指し手はいったい何か?まずKとBとPe4は動かせない。Pd4を動かすとBe3の利きが通る。よって白の2手目はRc8!と手待ちするしかない。しかしこれで終わりではない。なぜなら、最後のBa4に対してBxc8とRを取られてしまうからだ。次は黒が工夫する番で、self-blockする駒をRからBに変えれば今度こそメイトとなる。

1.Bf1 Bc6 2.Kc4 Rc8 3.Bd3 Ba4#

2解目も全く同様。Ba8!というtempo moveが出るが、Ra1がa8に利いているため、そのRでd3をself-blockすることになる。

1.Rd1 Rc6 2.Kxe4 Ba8 3.Rd3 Rxf6#

tempo moveの原理自体は単純だが、対照性が美しく傑作と思う。


40番

Feenschach 1st Prize 1966  (FIDE ALBUM 1965-67収録作)

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sh#25

1.c5 2.c4 3.c3 4.c2 5.c1=B 6.Be3 7.Bg1 8.Bh2 9.Bf1 10.Bc4 11.Bf7 12.Kf8 13.Ke8 14.Bc4 15.Bf1 16.Bh3 17.Bg1 18.Bc5 19.Be7 20.Kd8 21.Kc7 22.Bd6 23.Kb6 24.Ka5 25.Kb4 Qa6#

この連載の第一回に、Helpmateのみが収録された作品集と書いたが、sh#が紛れ込んでいた。sh#とは「黒が連続してn手指し、白が1手指してメイトにせよ」という出題形式である。本作は黒のラインを止めて白のラインを止めて…の繰り返し趣向(?)が素晴らしいので、ぜひ作意を並べてみてほしい。Helpではないので軽く紹介だけで済ませます。


次回もお楽しみに〜。


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