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Zivko Janevski - Selected Helpmates 04

この作品集は発表時期順に作品が並んでおり、だんだん新しくなっていきます。21世紀に入るまでにあと200作以上見ないといけません。大変だぁ。


25番

Marjan Kovacevicと共作

2nd Honorable Mention Schach-Echo 1982 (FIDE ALBUM 1980-82収録作)

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H#2 b)Kd5→e6

a) 1.Bxb7 Rxb7 2.Kc6 Rb6#
b) 1.Rxb7+ Bxb7 2.Kd7 Bc8# 

解くのはとても易しかっただろう。作者の狙いは紛れにある。a)で1.Bb5 ?? 2.Kc6 Sxd8# そしてb)で1.Rde7 ?? 2.Kd7 Sc5#というのがその紛れで、いずれも白の初手に手待ち(tempo move)が成立せず失敗する。このような、意図的にテーマと関連付けられた紛れをthematic tryと呼ぶ。本作の場合はtempoの問題が絡んだthematic tryが2つあるので、thematic tempo triesと言ったところ。

この狙いはTempo moveを許せないため、白の勢力を弱くしておかなければならない。創作側としては少し厄介である。


27番

1st Commendation Mat 1982 Version

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H#2 2solutions

1.Qf8 Sb3+ 2.Rf6 Se1#
1.Qh2 Se1+ 2.Bg3 Sb3# 

R-S、B-Sのbattery+half-pinという形は既に紹介した3番や21番と同じだ。この作者の当時のお気に入りなのだろう。当然ながら内容はそれぞれ異なっている。

本作は1解目の1.Qf8!が意外な手だ。その意味付けは、2.Rf6としてRをpinさせることで、その裏にあるQの利きも一緒に無効化できるというもの。ヘルプならではの手筋という気もするが、詰将棋への応用も可能かもしれない。最終的にはBもRもpinされてのdouble pin-mate。そして、2解目は1.Qh2!となるのだが、これは大して不思議な気がしない。後にpinされるBの裏に入れて利きを無効化しているため意味付けは同じとも言えるのだが・・・。対照的に作るだけなら1解目を1.Qg6(h6)で2.Rf6とするのが普通だと思う。しかしそれよりも、1.Qf8のラインから外れる感覚を、2解目でも演出できる方法は無かったのか、そちらを考えてみたい。

ちなみに白の手が、同じ手を順序を変えて指すという、所謂exchange of movesになっているのも弱いところだ。


31番

1st Prize Mat 1983 Version (FIDE ALBUM 1983-85)

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H#2 2solutions

1.Rc6 Sxd6 2.Kxd6 Sf7#
1.Bb4 Sxc4+ 2.Kxc4 Sd2#

2枚のSがpinされた初形。まずはR/Bを動かすことでself-blockしながらunpinする。そしてunpinされたSで残ったline pieceを外すのだが、これもまたunpinになっている。最後は残った方のSを使ってのメイト。同種駒によるZilahiである。白の配置がまさに最小限で美しい。


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