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「Fairy World」を読む(16)

このシリーズも徐々に終盤に差し掛かって来ましたね。


130番

Šahs/Шахматы (Rīga)  1st Prize 1972 (FIDE ALBUM 1971-73収録作)

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H#2 2solutions

1.Bxf7 Sd5 2.Kf2 Bh4#
1.Qxe7 Se4+ 2.Kh4 Rf4#

白の線駒を取ることでbKがそのラインに入ることが出来て、最後はmodel mates。黒の手順前後を発生させない仕組みに注目されたし。


132番

Sinfonie Scacchistiche  2nd Prize 1973

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H#2 2solutions

Bを動かしてdiscovered checkでメイトにするのが普通だろう。そうなると抑えるべき地点はb2である。Bc3と開けばb2は抑えられるが今度はb3に逃げ道が出来る。いずれにせよ黒の協力が必要だ。

まずはb2を黒にself-blockしてもらうことを考えよう。もちろん、Re6がRa6を睨んでいるのも解消しなければならないので、大体の手順はこんな感じになる。1.Bb2 ?? 2.Re? Bxd2# さて、問題となるのは白の初手だ。やはりここでも、作者得意のtempo moveが要求されている。Kは動けないし、Ra6とBa5はBatteryを構成する最も重要な駒。b4と突くのもありえないので、残る駒はRd3だけだ。Rc3?では最終手(Bxd2)が指せなくなることを踏まえると、Re3!というtempo moveが出現することが確定する。それによってQf1がa6まで利いてくるので、bRの移動先も確定(dual avoidance)した。黒の手順前後も同時に解消されることになる。

1.Re2 Re3! 2.Bb2 Bxd2# 

今度はBc3までのメイトを目指して、b3地点を黒にself-blockしてもらおう。それ自体はRxb3で簡単に実現出来そうだ。しかし、いきなりRxb3ではwKへのcheckがかかってしまう。ということで先にRe4としておくのが、Ra6への利きを消しつつBa8のラインも切れる都合の良い手に見えるだろう。だが、ここで気になることが1つある。Re4〜Rxb3とするのと、Reb6〜Rxb3とするのは一体何が違うのか?一見同じことのようだが、その差は白の初手によって明らかになる。こちらの解でも白はtempo moveを要求されているのだ。Reb6〜Rxb3とする順では白にtempo moveが存在しないのに対して、Re4〜Rxb3の場合はそれが1つだけ存在する!

1.Re4 Rxa7! 2.Rxb3 Bc3#

白の手と黒の手の絡み合い方が楽しめる良問。


133番

Novi Temi  1st-2nd Prize 1973

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H#2 2solutions 

1.Re4 Kb1 2.Rd4+ d3#
1.Re5 Rc2 2.Rf5+ d4#

Pを動かして開き王手でメイトくらいしか見えない形。まず、右上から左下への斜めのライン2つを切らないと詰まない。そしてwPを突くことで止められるラインは1本なので、もう1本は黒が自分で止めることになる。e8Rの利きも厄介なのでこの駒を使ってラインを切る。ただ、切り方は色々ありそうでよく分からない。一旦白の手のほうを考えてみよう。白はいつも通りtempo moveが要求されていることが分かるはずだ。詰み形を保ったまま動かせる駒は初形で動けないKとRのみ。そして、これらを動かすことを可能にするbRの動きはそれぞれ1通りに決まる。最後はcross checkでメイト。

白の配置の効率の良さに感心させられる佳作。



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