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Uri Avner作品集を読んでみる 1-1

先日発売されたUri Avnerの作品集『Close Encounters with The Chess Pieces』を購入したので、少しずつ感想を書いていこうと思う。

まず読者の方には、この本を手元に置いておくことをオススメしたい。様々なジャンルのチェスプロブレムが1ページにつき1作、合計157作並ぶ本作品集は、英語の解説が豊富な上に文字の大きさがちょうど良く、とても読みやすい。作品の質については言うまでもないだろう。プロパラに購入方法が載っているはずなので、ぜひぜひ。

ここで、作者を簡単に紹介する。
Uri Avner(1941〜2014)はイスラエル出身の創作GMで、World Federation for Chess Composition(WFCC)の会長を務めていたことで特に有名だ。得意分野はセルフメイトとフェアリー、そしてオーソドックスやヘルプメイトも多く作っている。

前置きはこの辺にして読み始めよう!

作品のページまでに前書きや他の作家が寄せた文章などがあるのだが、ここは省略させてもらう。英語を読むのは苦手だからだ(笑)。
いきなり作品のページへ。


2番

Israel Ring Tourney 1955-56 1st Prize

#3

1.Sc5! (2.Rd3+ exd3 3.Qe3# 2...Kxc5 3.Q,Rd5#)

1...Rxa3 2.Qd5+ cxd5 3.Se6#
1...Rh3 2.Qe5+ fxe5 3.Se6#
1...Be2 3.Qxe4+ fxe4 3.Se6#
1...Qg5 2.Qd6+ exd6 3.Se6#

1...f4 2.Rxe4+ Kxc5 d4#

Avnerが14歳の時の作品。
threatを受けるvariation(変化)のうち、上3つはe6への間接的な利きを消してしまう手になっているため、Qのsacrifice(捨て駒)が成立する。4つ目の1...Qg5は、白Kへの睨みが消えることによって2.Qd6+!が指せる仕組みだ(捉え方によっては3つ目の変化もこちらに属する)。以上のように、異なる4地点へQを捨てるのが本作のテーマ。そのQを取る駒が全てPというのも統一感がある。
一段空けて書いたのは、同手数なので変化としてカウントされるもののテーマとは関係のないラインだ。こういった変化は少ないほうが良いと個人的に思っているが、プロブレミスト的にどうなのかは分からない。


この作品集は年代順に作品が並んでいるため、前から順に解説していくとルールがバラバラになってしまう。そういうわけで、しばらくはオーソドックスだけを纏めて紹介していくことにしたい。
ちなみに、私はヘルプ以外のルールに関する知識が殆ど無いので、解説でおかしな点や気になった点があればコメントで教えていただけるとありがたい。

次回以降もお楽しみに。

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