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Zivko Janevski - Selected Helpmates 11

意味の説明無しに使っているプロブレム用語は、以前にこの連載の中で意味を説明しているものです。気になった用語があれば、マガジン内の過去の記事を探してみてください。もちろんコメント欄で聞いていただいても結構です。

69番

The Independent 1989 (FIDE ALBUM 1989-91収録作)

H#2 3solutions

1.Kg6 Se8 2.Qxf6 Rxf6#
1.Bxf5 Sxf5 2.Ke8 Sd6#
1.Rxg7 fxg7+ 2.Kg8 gxf8=Q#

Meredithの簡潔な初形からcyclic Zilahiが出てくる、愛すべき小品。ちなみに3/4 star-flightにもなっているが解説では触れられていない。3/4 star-flightや3/4 plus-flight、そしてY-patternといったKの3箇所移動には、大した意味がないということなのだろう。

70番

The Problemist 1989 (FIDE ALBUM 1989-91収録作)

H#2 3solutions

1.Bc5 Qa1+ 2.Kb4 Rb8#
1.Rcc5 Bg7+ 2.Kc4 Qa6#
1.Rfc5 Re8 2.Kd4 Bg7#

白の線駒が3枚も利いているc5地点に着手(play on the same square)することにより、後のpinを形成する。もちろん最後はpin-mate。主題が分かりやすく、簡潔な表現に好感が持てる。3解目だけ初手がcheckにならないが、構図上どうすることもできないし、これで良い。

72番

4th Prize Z. Tomic 75 JT 1989 (Mat) (FIDE ALBUM 1989-91収録作)

H#2 4solutions

1.Kxa3 Sxc6 2.Sd4 Bc1#
1.Kxa5 Be3 2.Bf4 Sxc6#
1.Kc5 Sdb5 2.Bd4 Bd6#
1.Kc3 Bc1 2.Sb4 Sxe2#

いかにもstar-flightをしてくださいという初形である。ここでa4Rのラインを見てみよう。遥か彼方のh4Kを睨んでいるわけだが、黒Kが動いた時点でhalf-pinの形になっているところにご注目。つまり、初形でhalf-pinが隠されているmasked half-pinの状態だったのである。(ちなみに、half-pin自体も、masked pinと捉えることが出来る)
さて、メイトにするためには白の2枚ともがa4Rのラインから外れるため、黒の2手目はunpinのために4段目への着手と決まる。ここの手が4解でダブらないのは、ヘルプとして当然の流儀だ。
よく出来た作品だと思う。

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