見出し画像

Zivko Janevski - Selected Helpmates 14

今日で遂に100番まで来ました。この作品集のH#2は417問もあるのでまだ3合目にも到達していないのですが、ここら辺でとりあえず休憩したいと思います。また気が向いたら再開しますね。続きが読みたいという方はコメントしていただけると励みになります。「こんな連載をやってほしい!」という意見ももちろん歓迎です。


94番

1st Commendation Kotelec 1991 Version

H#2 2solutions

1.Rxd6+ Sd5 2.Kxd5 Sb6#
1.Qxd6+ Bd3+ 2.Kxd3 Se5#

白Rを取る手はcheckにもなっていて、それを防ぐ捨駒が入るのがちょっぴり良い感じ。
易し過ぎたか、あまり評価されていない。


98番

2nd Prize Mat-Pat 1990-91 Version (FIDE ALBUM 1989-91収録作)

H#2 2solutions

1.Qxc8 Qxc6+ 2.Kxc6 Se7#
1.Qxb8 Qxd6+ 2.Kxd6 Rd1#

白Qのunpinのために黒Qを動かす必要がある。その移動先の限定に働いているのが、Feather Mechanismと呼ばれるもの。それが一体何なのかをプロブレム用語辞典で調べてみよう。

In a helpmate twomover the black Queen stands on the intersection of two white lines, and must move to let one or the other white line moving piece through. However, the black King needs later to move to a square onto one of these lines. Therefore the black Queen must keep the respective square free for her King, and the only way to do it is by capturing one of White’s linepieces.

少し長いが、難しいことは書いていないので日本語での説明は省略する。98番の手順と照らし合わせると理解しやすいはずだ。
どちらの解でもb1Rとg6Sの両方がメイトに働くことで上手く纏まった。こういうのも一応ODT。


100番

3rd Honorable Mention Schweizerische Schachzeitung 1991

H#2 2solutions

1.Bh4 Bf8 2.Sf5 Rb6#
1.Bf3 Rg4 2.Sh5 Bd2#

ここまで連載を読んでこられた方には、この初形ならRg4やBf8という手が出てくるはずだ、という嗅覚が身に付いているのではないだろうか。それらはいずれも、黒Kと白の線駒の間に黒の駒が3枚挟まった、所謂third-pinの形を作る手。いかにもそれっぽいのだ。
というわけで、白Rもしくは白Bをunpinしてやる手から始まる。平凡な1.Rg3等ではthird-pinをほぐすのが間に合わないため、1.Bh4という風にthird-pinを壊しつつunpinするのが作意だ。これで1...Bf8が指せてhalf-pinの形が完成。つまり作意表面にはthird-pinが現れないわけで、解説ではこれをincomplete third-pinと表現している。あとは2.Sf5でもう一方のラインもunpinしてあげてのpin-mate。さて2解目は……。
こちらは1.Bf3と直接的なpin外しから入る。横のラインでhalf-pinを作って、最後はやはりpin-mate。完璧なODTだ。

力作な割にそれほど評価されていないが、1解目と2解目における黒の初手のunpinのやり方の違いが影響したのだろう。その原因はe4Bとh3Rの役割の違いにある。e4Bのほうはthird-pinを構成するピースになっているのに対してh3Rは舞台の外にいるため、手順の対比に限界があるのだ。ただこの作者でもこれ以上の図が得られなかったということは、よほど難しい狙いなのだろう。私は本作の意欲的なアイデアを高く評価している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?