Try,everybody! Orthodox12
2020年5月から続いてきたこのシリーズですが、約1年かけてようやく最終回まで来ました。最後はMate in 3を軽く紹介します。
【Try, everybody! 39】
ステイルメイトの形なので、とりあえずはRを動かして戦力を弱めます。1.Rb○ Kg7までが確定ですね。keyにさえ気づければ易しいので考えてみましょう。
1.Rb1!!
1...Kg7 2.Qb7+ Kf6/Kf8/Kh6/Kh8 3.Rb6/h8=Q/h8=Q/Qb2#
高坂:1.Rb1が驚愕の初手。よりによって最も使えない場所にRを引く意味は、2...Kh8に対して3.Qb2を用意する為だったのだ。
実はこのRが邪魔駒。3.Qb2を妨害しないように下段まで引きます。時間差のBristolとでも呼びましょうか。Star-flightはオマケですが、3.h8=Qのダブりは多少気になるところ。まあメインテーマではないので減点は大きくないでしょう。
【Try, everybody! 27-2】
これはとても難しい作品で、出された時には降参しました。なんとなくQやSを動かしたくなるのですが……
1.Kg5!(2.Qf3+ Ke5 3.Qf5#)
1...Bxg2/Be2 2.Qe2+/Qxe2+ Kd5 3.Sxb4#
1...Bd3/Ke5 2.Qe8+ Kd5 3.Se3#
1...Kd5 2.Qf7+ Ke5/Ke4/Kc6 3.Qf5/Qf5/Scd4#
1...Kd3 2.Qd1+ Kc4/Ke4 3.Sa3/Qd4#
1...d5 2.Qh7+ Ke5 3.Qe7#
高坂:Kが自らQの利きを止めるという、驚愕のkey move。threatを含め、2手目のQの移動位置が6種類とボリュームも満点。盤面11枚のMeredithでここまで厚みのある#3が作れるとは、流石は巨匠Shinkmanですね。
盤上でもっとも悪そうな手が正解というのはビックリ。解けた方は相当の解図力だと思います。1...Bxg2/Be2や1...Bd3/Ke5といった変化の構造は微妙な気もしますが、keyに熱量を注ぎ込んだ結果でしょうね。
これでTry,everybody! シリーズの解説を終わります。全作品を紹介したわけではないのですが、HelpmateとOrthodoxを全24回である程度紹介できてまずまず満足しています。高坂さんの詳しい解説があるので、新たに書き加えることもそれほどなかったものの、詰将棋の話も交えつつ楽しく書けて良かったです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。投稿が途切れないよう、今後もプロブレムの記事は書き続けるつもりです。
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