「Fairy World」を読む(9)
今回はKricheliお得意のテーマを用いた2作です。
69番
Приокская правда 1st Prize 1968 (FIDE ALBUM 1968-1970収録作)
H#2 2solutions
1.Se1 Qc8 2.hxg5 Sf6#
1.Sd2 gxh6 2.Se4 Sf4#
取る駒と取られる駒が入れ替わる、所謂Reciprocal captureを双方tempoでやろうというアイデア。センスが良くて羨ましいなぁ。
(追記)
本作の本当の狙いを完全に見落としていた。
1.Se1 Qc2 2.?? Sf4# (hxg5は手待ちにならない!)
1.Sd4 ?? 2.Se6 Sf6# (gxh6は手待ちにならない!)
こういうのに気付けないのが自分の駄目なところだ。つまりKrikheli themeの作例になっていて、(14)の120番の解説を書いているときに気が付いたもの。詳しくはそちらをご覧ください。
70番
Probleemblad 2nd Prize 1968 (FIDE ALBUM 1968-70収録作)
H#2 2solutions
1.Se2 Rb3 2.axb3 Kf3#
1.Se6 Bb2 2.axb2 Ke5#
ロイヤルバッテリーが目立つ形。最終的な目標であるKf3やKe5は線駒のラインを切ってしまう手なので、先に線駒を反対側に持っていきたい。普通から行くと1...Rxa3や1…Ba1としてやれば良いのだが、それでは黒の2手目に困ってしまう。そこで黒に手待ちをさせるために1…Rb3、1…Bb2とあえて手前に着地して取らせるのが妙手となる。
ちなみに、この作には大きな問題点が1つある。プロブレムをよく見ているとこういうのは一目で気がつくようになるのだが、その問題点とは自明成駒(Bc6)!解説はロシア語なのでその点に触れているのかよく分からない上に、50年以上前の作品なのでそれがどれほど減点要素だったのかも分からない。手順はまずまずなので修正してほしかったなぁ。修正図ありませんかね?
次回もお楽しみに。
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