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Uri Avner作品集を読んでみる 1-5

21世紀の作品に突入。変化が複雑なので気合を入れて鑑賞しましょう。ここまでくると私が教えて欲しいくらいです(笑)。


96番

Arieh Grinblatと共作
The Problemist 2001 1st Prize

#3

1...dxe6 2.Re5+ dxe5 3.Qxe6#
1...Sxd1, Sc4 2.Bc4+ Kxe4 3.Qb1#
1...Bc6 2.Rd4+ cxd4 3.Qxd4#

まず、見るべきset playは以上の3つだ。他の変化も確認しておこう。h5はSg5以下メイト。c4もRd4まで。唯一詰まないのが、R~である。つまり、これを#2にするためのkey moveが必要。それがQc7!の手待ちだ。

1.Qc7! waiting
1...dxe6 2.Bc4+ Kxe4 3.Qh7#
1...Sxd1, Sc4 2.Rd4+ cxd4 3.Qc4#
1...Bc6 2.Re5+ dxe5 3.Qxe5#
※テーマ部分

1...Sxd3 2.Kxe3 (3.Rxd3#) c4 3.Rd4, Qxc4#
1...h5 2.Sg5 (3.Bc4#) Sxd3 3.Rxd3#
1...gxf3+ 2.Kxf3 (3.Bc4#) Sxd3 3.Rxd3#
※黒先の場合と同じになる変化

1...R~ 2.Re5+ dxe5 3.Qxd7#  
※新たにメイトになる変化


変化を追うだけで一苦労なので、テーマを構成する大事なところだけを抜き出す。


1...dxe6(a) 2.Re5+(A) dxe5 3.Qxe6#
1...Sxd1, Sc4(b) 2.Bc4+(B) Kxe4 3.Qb1#
1...Bc6(c) 2.Rd4+(C) cxd4 3.Qxd4#

1.Qc7! waiting
1...dxe6(a) 2.Bc4+(B) Kxe4 3.Qh7#
1...Sxd1, Sc4(b) 2.Rd4+(C) cxd4 3.Qc4#
1...Bc6(c) 2.Re5+(A) dxe5 3.Qxe5#


set playと本手順を比較してみると、変化に対する白の2手目がcycleになっていることが分かる。これをLacny themeと呼ぶ。

Lacny theme:Cyclic shift of 3 or more mates (continuations) in 2 phases. 

本作は2×3のLacnyである。ちなみに、tryなどのもう1相を用いて3×3でcycleを展開するcomplete Lacnyも存在する。
主要な部分のB2(黒2手目)がPで統一されているのと、Qの最終手が全て別地点になっているのが良い。

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