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EU商会の調査から見る華南の企業

新型コロナウイルス感染症の流行によって世界経済が鈍化し、国際企業の経営負担が激増した。だが中国EU商会の華南分会の調査によると、華南分会の大部分のメンバー企業はサプライチェーンの移転に対し消極的で、中国市場から撤退する意思はないとのことだ。

中国EU商会が6月10日に発表した『2020年中国EU商会企業信頼感調査』によると、2020年に在中業務を拡大する考えがある企業は51%で、2019年から4ポイントダウンした。この年度調査には合計626社の在中欧州企業が参加し、そのうち65%の企業が中国をトップ3の新投資先の一つとしている。

調査に参加した企業のうち、華南地区の企業は94社だ。中国EU商会の華南分会が6月23日に発表したデータによると、調査に参加した企業の83%が引き続き当該地区で業務を展開すると示し、9割近い企業が今後3年は移転の計画はないとした。

中国EU商会の華南分会主席の劉暢氏は次のように述べる。過去3年間で華南に根差して発展することを選んだEU企業の動向には小さな変化が見られたものの、全体的には80%前後で一貫して落ち着いている。

劉暢主席は中国メディアに対してこう述べた。「長年にわたる産業発展を経て、珠江デルタエリアには大量の熟練工や技術者チームが揃っており、かけがえのない競争上の優位性を持っている。ここでは大規模なプロジェクト実施が可能で、豊富な資金を持つ投資者や政府から注目されやすい」

中国EU商会の華南分会のデータによれば、華南地区には合計300社余りのメンバー企業がおり、そのうち55%が製造業、45%がサービス業に携わっている。

過去十数年間で中国の労働力や資源環境などの要素によるコストの上昇に伴い、外資系企業は中国における産業チェーンの配置に調整を加えた。ミドルレンジ・ローエンド製造業の紡績や衣服、靴などの労働集約型産業は行動が最も速く、一部の企業は生産ラインをコストがさらに低い発展途上国へと移転した。この2年間、中米貿易摩擦が続き、グローバルサプライチェーンにも分散化の傾向がはっきりと見られるようになった。

劉暢氏はこう述べた。「新型コロナウイルス感染症のまん延初期からEU企業は多くの会議を開き、サプライチェーン多元化について話し合い、在中産業チェーンの移転にまで話が及び、単一供給源への依存を減らすことでリスクを分散させようとした。だが感染症のまん延が世界規模になり、中国の操業・生産再開が徐々に進むと、外資系企業は中国の防疫効率を再認識し、大多数の欧州企業に中国市場離れは起こらなかった」

劉暢氏が見たところ、感染症によって華南のEU企業は当地に留まり投資を拡大する傾向にあり、サプライチェーン多元化も中国国内で行うようになっているという。

劉暢氏はまた次のように指摘した。「国際企業が産業チェーンを中国から移転するのは容易なことではなく、投資リスクも高い。これまでの一部の企業の経験から、産業チェーンを中国から移転した際の投入産出が理想的なものではないことが明らかだ。中国の工業体系は相対的に成熟しており、裾野産業クラスターは完備され、インフラも整っている。それとともに中国の1人当たりGDPはなお成長の余地があり、内需市場も巨大で、中国市場から離れるのは理性的な選択ではない」

コロナショックの中、華南地区のEU企業の最大の心配事は発注の保障だ。華南地区の多くのEU企業は中国市場に寄与しているだけではなく海外市場にも供給しており、世界経済の情勢に対してより敏感だ。これに対し劉暢氏は、「広東省政府が最近開いた座談会で、当地のEU企業の輸出向け商品の国内販売を推し進めることが提起された」と打ち明けた。

中国日本商会HP2020年7月7日

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