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社労士試験 どういった学習方法をとるべきか?

独学?通信?通学?

正直、絶対的な正解はありません。それぞれに良し悪しがありますし、自分に合った学習スタイルというのは本当に人によって異なるからです。

どのスタイルを選ぶにせよ、共通して言えるのは「主体的な学習が必要である」ということです。独学だとあまり意味のない作業だけを積み重ねるなんてことになりがちですし、通信・通学だと受講していること、通学していることで変な達成感だけがあったりして本当にやらなければならないことができていないなんて状態になることもあります。また、通学だと仲間がいることで安心感が生まれてしまい、流されて実力不足のまま本番を迎えるなんてこともあり得ます。

詳しくは後述しますが、生活の状況や自分のタイプに合わせて学習スタイルを選ぶとともに、そもそもの学習の取り組み方自体をしっかり確立しておかなければ、本番でしっかり解答していける、ちゃんと勝負できるだけの実力は身につかないと思います。

最優先は択一50点台を目指すこと

午前中に受験することになる選択式試験も鬼門といえば鬼門ではあります。全科目5問中3問正解しておかないと択一式の受験をする際の精神状態に大きく影響を及ぼしますし、合格発表までの2か月ほど、悶々とした日々を過ごすことになります。ですが、長丁場となる択一式試験で50点以上得点しておかないと、そもそも勝負すらできません。また、「論点思考」をしっかり身につけて学習を進めていけば、択一、選択どちらにも通用する実力が身に付くため、択一式の学習をすることで選択式対策にも自然と繋がっていきます。もちろん選択式を意識した学習もすべきですが、比重としては択一式8割、選択式2割ほどで考えていけばいいと思います。

そして学習の順序についてですが、テキストや講座通りだと労基安衛生→労災→雇用→徴収→労一社一→健保→厚年→国年という順になるのが一般的だと思います。社一が最後に来たり国年が厚年の前に来たりするパターンもありますが、おおむね本試験の記載順にならう形になるのではないでしょうか。

しかし順番通りに学習する必要は全くありません。もちろん順番通りでもいいのですが、しっかり得点することを考えると戦略上、社会保険科目(健保・厚年・国年)に真っ先にとりかかるべきです。この3科目は非常にコスパが良いからです。

択一式では労基安衛が労基7問安衛3問、労災・雇用はそれぞれ3問が徴収、労一社一は5問ずつという構成になっているのに対し、社会保険3科目はそれぞれ10問まるまる1科目という構成になっています。得意科目にすることができれば大きな得点源になり得るのです。労働法科目についても言えることですが、社会保険科目はそれぞれの繋がりが強く、横断整理をすることで効率的に学習を進めやすいという点も、先に取り掛かるべき理由のひとつです。早い時期に実力を伸ばしておけば精神的にも落ち着いた状態で本番を迎えることができます。

もちろんやりやすい方法を選ぶべきなので、どんな順番で学習を進めてもいいと思いますが、社会保険科目には特に力を入れて取り組むとリターンも大きいかと。

「論点は何か」を常に考える

上述した「学習の取り組み方」の確立について詳しく説明します。最近ではTwitter界隈で特に皿回しだとか○○を何回転したとかいうツイートが目立ちます。実際のところどんな取り組み方をしているかというところまで追いかけることはできませんが、多くの方は作業的に進めてしまっているのではないでしょうか。回数を稼ぐこと自体が目的化してしまっているということです。何回も回すうちにどの問題の何問目が〇で何問目は×、解説にはこう書いてあるなんてことまで覚えてしまっている人も多いと思います。それだけの量をこなすことはなかなか出来ることではなく、努力の積み重ねには感服するのですが、その反面学習効果は決して高くないため、残念な気持ちにもなってしまいます。

答えを覚えるレベルまで繰り返し問題演習をやったとしても、本番の初見の問題に対応するのは正直難しいのです。

過去問を改変した問題を出されても、見たことのない問題を出されても、冷静に対応していくためには「論点は何か」を意識して問題演習を行うべきです。

具体例として問題の解き方をひとつ紹介しようと思います。

平成27年 労働基準法 問1 肢C

労働基準法第4条は、賃金について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをすることを禁止しているが、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していない。

この問題を作業的に解いてしまうと

労働基準法第4条は、賃金について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをすることを禁止しているが、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していない。〇か×か?
労働基準法第4条は、賃金について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをすることを禁止しているが、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していないか?

みたいな感じでクローズドクエスチョンに変換し、単純な〇×思考で処理してしまいます。この方法だとどんどん演習を進めることはできますが、自分の頭で考えるという段階を踏んでいないので、全く同じ問題が出題されたときにのみ確実に正解できる知識が身に付きます。いや、実際には忘却してしまうことも考慮すると全く同じ問題だったとしても自信を持って解答できないことになります。これでは初めて見る問題ばかりの本試験で落ち着いて勝負なんてできませんよね。

ではどうするか。

オープンクエスチョン形式に変換して論点を考える、が正解です。

今回の問題だと、「労基法4条は何を禁止しているのか」という形に変換するのです。

そしてその答えも自分で整理します。

労基法4条の趣旨は、わが国における従来の国民経済の封建的構造のため、男子労働者に比較して一般に低位であった女子労働者の社会的、経済的地位の向上を賃金に関する差別待遇の廃止という面から、実現しようとするものである。したがって、賃金以外の労働条件についての差別的取扱いについては法4条違反の問題は生じない。

という解説がありますが、これを一字一句正確に覚える必要はなく、自分でわかりやすい形に加工してしまうのです。

例えば、4条が禁止しているのは女性であることを理由にした賃金差別のみ、逆差別も含む。なんてところでしょうか。

3条との比較、整理がしっかりできているかという観点からの出題もあるので、4条の問題をやるついでに

3条が禁止しているのは何についての差別的取り扱いか?

→国籍、信条、社会的身分についての差別的取り扱いで、限定列挙。

3条で求められているのは何についての均等待遇か?

→賃金、労働時間その他の労働条件

というように、1つの問題でその論点と類似の論点まで学習、整理していくと、論点を押さえることで初見の問題対策になりますし、整理することで学習の効率と質が格段に上がります。

類似点、相違点が多い科目ばかりなので、科目横断的に論点の整理をすることで広い出題範囲もなんとかカバーしていくことが可能です。

これまで作業的な学習しかしていなかった方、一度試してみてはいかがでしょうか?

需要がありそうなら他の問題についても解説記事を書いていこうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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