(没)フォルテとレッドアイのお話

本文の前半は、「誰がために銃は鳴く」というタイトルでフォルテと漫画に出てきた老兵との関係を膨らませた話。未完。 この前半でマリアを通してレッドアイとフォルテの因縁の伏線を埋め、後半のアクション映画的な話で回収する予定だったが、断念。

トランスバール皇国の中心から遠く離れた星系。夜の幕が覆いながらも、まばらな街灯しかつかない街に、今日も乾いた銃声が鳴り響く。
ここに点在する街の住民は、時折聞こえる激しい銃声を聞こえても、まるで日常の一部かのように声の方向から離れては、ひたすらと日々の営みに専念していた。

「なああんた!あんたって元軍人なんだろう!?」

そんなどこか廃れきった街の片隅に、一人の少女が片腕の老人にしがみついていた。

「お願いだ!あたしに銃の扱い方を…戦い方教えてくれ!」

怪我を負い、包帯に巻かれながらも彼女は必死に男の手を掴んでは訴える。その男の手には、一丁の拳銃が握り締められていた。

「その銃が…欲しい…っ」
「…なぜだ?」

少女の懇願の言葉に対し、男は問うた。その女性、赤髪の女性は凄んだ眼差しで見つめ。答える。

「そんなの…決まってるっ」

【誰がために銃は鳴く】

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「フォルテっ!こっちだよ、早くっ!」

数日前の同じ街にて、およそ年頃の少女らしくない姿の、浮浪者のような少女が、同じ襤褸を着ていた他数名の子供とともに街を走っていた。

「ちょっと、マリア!あんたたち!そんなに早く走るんじゃない!」

そんな子供達を追って、彼女達よりもやや年長に見える赤髪の少女もまた街を駆けていた。彼女達は暫らくの間、互いを追っては逃げて、この乾いた街に笑い声という潤いをもたらしていた。

やがて日が暮れ始め、数少なく機能する街灯がジジッと鳴いては明かりをついてゆく。遊び疲れた彼女達は次々と大の字で倒れ、徐々に輝き出す夜空を見上げていた。

「はぁ…はぁ…ははは、今回は僕達の勝ちだね、フォルテ。」「へへへ、フォルテも負ける時があるんだなあ。」「よく言うよ、あんた達が先走りしてたからじゃないか。そんなのノーカウントだ、ノーカウント。」

息が上がりながらも、フォルテと呼ばれる少女と、マリアや他の子供達は笑みを浮かべては、夜を灯す満天の星空を見上げていた。皮肉にも半壊した街の街灯システムが、このような美しい星空を害することなくしていた。

「いつ見ても綺麗な星空だなぁ…。」「そうだね…なんだか今日は一段と美しく見えるね。」マリアの言葉にフォルテが答える。「僕はあまり好きじゃないよ…。こういう中途半端に明るい時に限って、いきなりあれが」

子供の一人が言葉を紡ぐより先に、遠方にパパパと小さいながら大量の銃声が響き、彼女達はがばっと起きて声の方向を向くが、銃声は徐々に少なくなり、やがて再び静寂が訪れる。

「ほら、このように"やつら"が互いを潰すのに戦い始めるんだ。」「あいつらも飽きないよね。もう何年戦い続けているのさ。」「さあ…俺が生まれてからずっと戦い続けていたもんな…。」

内戦。皇国の中心から遠く離れたこの惑星は、貿易ネットワークから外れているため、人々は星そのものの資源に頼らざるを得なかった。最初はそれなりに裕福な生活が送られたが、資源の減少とともに余裕が無くなり、やがて有限の資源を求めて人々は争いを始めた。惑星に設置されている皇国軍も、中央からの支配力が弱いがために実質形骸化しており、賄賂による罪の見過ごしが横行し、数多くの軍閥が領土を占有するために終わりなき戦争を繰返してきた。

子供達が言葉を交わす中、マリアはやや不安そうにフォルテを見つめ、フォルテはそんな彼女をなだめるように言う。

「大丈夫、だいぶ遠いところから聞こえるから、"家"には届かないよ。」「そうだね…それに”家”には"大人達"がいるしねっ。」フォルテの言葉に、マリアは安心して微笑む。

長きに渡る内戦は、数多くのところで爪痕を残していた。フォルテ達が"住む"この町も、軍閥の紛争により多くの人々の命が奪われ、彼女達のような戦争孤児は、惑星の至るところにいる。だが運よくも、数少ない良識の"大人"が、そんな子供達を集めて"家"のようなコミュニティを作っていた。彼女達が"家"と称する場所もその一つだ。生活は依然として苦しくも、フォルテ達はそこで皆と、彼女らなりの生き方で生き抜いてきた。

「…ねえフォルテ、もしもだけど、この星から戦争がなくなったら、フォルテは何かしたいことある?」「あたし?」マリアの問いに少し戸惑いながらも考えるフォルテ。「あまり考えたことないなあ。…マリアは何かしたいことあるのかい?」「あるよっ、私、いつかお料理屋さんになりたいっ。」
マリアの目には、いつか実現するかは分からない、夢の輝きに満ちていた。「ほら、覚えてる?大人のサラが私の誕生日に作ってくれた小さなケーキ。あれとっても美味しくて、幸せの味がするんだよっ。私もいつかあのような幸せを作って、皆に幸せをおすそ分けしたいんだっ。」

喜々と夢を語るマリアを見て、フォルテもまた微笑む。生きるだけでも精一杯なこの星で、何かの夢を抱くことは、ある意味砂漠のオアシス以上に貴重で、尊いものだ。願わくばそんな彼女の夢が成就するのを見届けてあげたいと、フォルテは思う。

「ならあたしの夢は、マリアの夢をかなえることだね。いつか力をつけて、この星のくだらない戦争を終わらせて、君がその夢がかなえるような星にしてやるさ。」「えへへ、ありがとう、フォルテっ。もしそうなったら最初に作ったケーキはまずフォルテにあげないとねっ。」多少照れながら、尊い微笑みを浮かべるマリア。他の子達もまた、同じ星空を見上げては、それぞれの会話を楽しんでいた。仄暗く陰湿そうなこの街で曇らせた心を、夢という灯火で照らすように。

パパパン…

再び、どこかから銃声が鳴り響く。だがさっきと何かが違うのを、その場全員が感じ取った。

「…な、なあ…今の声…。」「ああ、なんか近くないか…?」まるでその銃声が彼女達の中で反響してるかのように、数名の子供達がざわつき始める。「フォルテ?これって…。」不穏の空気が回りを覆い始め、フォルテもまたそれを感じ取っては、マリアの手を握る。

「み、みんなっ、大変だ…っ!」暫らく経つと、突如一人の子供が彼女達のところへと走り込んできた。「トーマス!?どうしたんだ?何かあったのかっ?」その子の元へ子供達が集めて、フォルテが彼をなだめては問いかける。

「はぁ、はぁ…っ。い、"家"が…"家"が軍閥の奴らに襲われてるんだ…っ!」「な、なんだってっ!"大人"達は!?サムやリリー、ヘンリー達はどうしたんだ!?いつもなら彼らが軍閥を追い払っていたんだろっ?」「み、皆やられたんだ…っ、何か知らないうちにヘンリーがいきなり撃たれて、他の”大人”達も一瞬でやられてしまって、もう何がなんだか…っ、うう…っ。」息も上がって、涙ぐむトーマスは"家"で起こったことを必死に伝える。

「"家"の皆は必死に逃げ出そうとしたけど、逃げ遅れた仲間が何名か捕まってしまって…っ、僕もなんとか逃げ出したけど、あいつらがしつこく追ってきて…っ」「そ、そんな…っ、どうしようっ、"大人"達がいないと、オレ達はもう…っ」「み、みんな捕まってしまうの…っ!?」子供達に溜め込んだ不安が恐怖となって瞬く間に彼らを支配してしまう。ある子はひたすらオロオロし、ある子は既に泣き出していた。

「みんな落ち着くんだっ!!!」

フォルテのとびきり大きな一喝の声が、瞬時に子供達を黙らせた。

「とにかくここから逃げよう!ここに留まればあいつら捕まってしまう!」「で、でもどこへ逃げればいいのっ?」不安そうにマリアは問う。「前に大人達に"隠れ家"を教えてもらっただろう?まずはそこへ逃げようっ!それからの事はあとで考えるんだ!」

フォルテの言葉とともに、子供達は必死に走り出す。先ほどまでに静まり返った街に、徐々に銃声と悲鳴が響き渡り始めた。軍閥たちがここ一帯の住民から資源や子供を略奪し始めている。水や食料は言わずもなが大事な物資であるし、子供は労力、販売、少年兵にするなど、この星ではある意味貴重な"物資"でもある。彼らがフォルテ達の"家"を襲撃したのも、それが原因の一つだった。
暗い街のあちこちから、人々の、子供達の悲鳴や軍閥たちの怒鳴りが響き、マリア達はただ不安と涙を堪えながら一生延命は知り続けた。

「マリア、まだ大丈夫かっ!?」「う、うん…ま、まだだいじょう…」「おいっ!ここにもガキがいるぞ!」後ろから銃やライフルを携えた男達が、彼女達を見かけると大声で仲間に呼びかける。
「う、うわあああ!」一部の子供達は半ばパニックになり、ただひたすらと走り続け…「ガキどもっ!止まれっ!」先回りした男の一人がいきなり飛び出して子供の一人を掴んでしまうっ。

「わああぁぁ!」「このガキっ、おとなしく…っ」
「おりゃあっ!」「ぐぁっ!?」
次の言葉を出すよりも先に、強烈な衝撃が男の頭にぶつかるっ!フォルテが手当たりに石一つ持ち上げ、目一杯の力で男に殴りつけていたっ。

「フォ、フォルテ…っ」「ほらぼっとしてないで、早く逃げるんだビリーっ!」倒れた彼を立たせ、追ってくる男達から必死に逃げようと走り続け…

「フォ、フォルテ…ッ、私もう、走れ…っ」「しっかりするんだマリアっ!"隠れ家"はもうすぐ…っ」マリアの手を引いては、振り向いて彼女を励ますフォルテは…更に後ろにある、彼女達を追う男の群の中に、彼女と似たような"赤色"が見えた気がした。その、自分と同い年と思われる赤髪の少年から、何か投げ出された。"それ"はまるでスローモーションがかかったように、ゆっくりと自分達に近づき…

「きゃああっ!!」「うわぁっ!?」ふくらはぎに強い痛みを感じ、まずマリアが転げ、続いてフォルテも走った勢いのせいでマリア以上に盛大に転がってしまい、彼女から距離が開いてしまった。

「このガキめッ!てこずらせやがって!」「きゃあああ!フォルテ!」倒れたマリアを男たちが乱暴に掴んでは引張る。「マリアっ!」「!だめだフォルテ!」マリアを助けようとするフォルテを、他の子供達が制止し、じたばたとしているマリアは男達と激しくもみ合い…他の子達の制止を振りほどき、フォルテが男達に突っ込もうと…

…その後のことは、フォルテも良く覚えていない。周りを取り巻く怒鳴り声、殺伐とした銃声、血が流れ出る感触、一目散に逃げ回る子供達…

「…くそ、噛み付いてきやがった…」「…見せしめに…」「先に帰れ…俺は…ガキを…」

冷たくなってゆく四肢に、"死"を思わせる味が舌と口に充満してゆく。おぼろげな目が最後に捉えたのは、先ほど石で殴った男が、無機質な銃を自分に向ける景色。「クソめが…」

そして銃声が、フォルテの意識を閉ざした。

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どれぐらいたってから目が覚めたのだろう。そこは、かつて教えられた"隠れ家"で、"大人"達が皆忙しく立ち回って、怪我した大人、子供達の世話をしていた。元の"家"から逃げ出した数少ない子供達は、泣きながらフォルテに事の顛末を訴える。

襲撃が落ち着いたあと、子供達が"大人"を連れてフォルテを探したら、重傷で倒れてる彼女を見つけてここに運んだそうだ。
ーその隣には、眉間に一発銃撃を受けた、例の男の死体が横たわっていたそうだが、今のフォルテには大して重要な事ではなかった。

彼らの話によると、この一帯を守っていた数多くの"大人"が、軍閥の襲撃により亡くなり、大勢の子供が囚われてしまい、そしてマリアは、手足を縛られ、近くの井戸の中で見つかってしまった。他につかまった子供達への見せしめのためなのだろうか。

先日夢を語ったばかりだが、その次の瞬間何もかもが無残に踏みじられた。この星では大して珍しいことでもない、ありふれた出来事。だが、フォルテにとってこの日は"ありふれた出来事"ではなかった。泣きじゃくる子供達の傍らに、彼女は手を力強く握る。焼けるほど痛む傷口が、寧ろ糧となってるよう、今の彼女が抱く感情を強く燻り、その目には固い決意が宿る。その日から、彼女は変わった。

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その夜、傷が治ってないにも関わらず、フォルテは"隠れ家"を抜き出し、マリアを失った時と同じ夜空を見上げていた。…同じ夜空であるはずなのに、何故か前よりも少し、物寂しさを感じる星空。だが彼女の表情に曇りは無く、固い何かをその内に秘めているのを感じる。

パァン!

唐突に、やや離れた場所から銃声が響いた。フォルテはしかし、即座に隠れるのではなく、寧ろそれを求めるかのように必死と声の方向へと走ってゆく。

声の源へ辿ると、そこには片手の老人が一人。遠方には恐らくゴロツキかと思われる人が走り去っていった。大方、この老人に強盗か何かかますつもりが逆に追い払ってしまったのだろう。だがそれよりも、フォルテは老人が手にする黒く鈍く光る、一丁の拳銃に目を向けていた。そして老人が着る古びたコートには、殆どかすんで見えなくなっているが、昔見かけた皇国軍の模様が入ってるのを、彼女は見逃さなかった。

「…ん?お前…」

自分を見つめるフォルテに気付き、老人は振り返る。たとえ年老いても、その顔つきには数々の場数を踏んできた痕跡が刻まれているのが分かる。

「なああんた!あんたって元軍人なんだろう!?」

困惑した目で自分を見ていることも構いなく、フォルテは走り寄って片腕の老人にしがみついていた。

「お願いだ!あたしに銃の扱い方を…戦い方教えてくれ!」

老人は答えず、ただ目の前の少女を見つめては、手に持った銃をゆっくりと彼女の前に向ける。

「この銃が欲しいのか…?」「ああ、その銃が…欲しい…っ」「…なぜだ?」

少女の懇願の言葉に対し、男は問うた。その女性、赤髪の女性は凄んだ眼差しで見つめ。答える。

「そんなの…決まってるっ」

心の奥に秘めた決意を、確固たる言葉として、フォルテは答えた。

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「なあ頼む!あたしに教えてくれよ!銃の扱い方を!」

「やなこったな!」

心底からうんざりとしてる老人は、フォルテを引き離そうと早歩きするが、フォルテもまた決して逃すまいと必死に追いついてくる。

「まったく、さっきのやんちゃな強盗の坊やもそうだが、いきなりガキ一人が銃を教えて欲しいって言ってくるわ、この街は変人しかいねぇのか!?」

それから暫らく、老人とフォルテは見るに奇妙な追いかけっこが続いた。老人が草むらに隠ればフォルテもまた突っ込んで老人を掴もうとし、庭の壁を飛び越えて撒こうとすると、フォルテがとたんに傍の積み箱を土台にして乗り越え、人混みの中に紛れようとすれば、周りの地形を巧妙に利用して高所から自分を見つけては執拗に追ってくる。



以降はフォルテとレッドアイを主役にアクション映画的な展開で考えたお話のプロット。未完。 フォルテとシヴァのクローン絡みは漫画の短編、および漫画独自設定からヒントを得たもの。 後個人的にフォルテとレッドアイとガチバトルさせたくて考えた話。


・物語は、シャトルの上で昔のマリアが殺された時の記憶の回想から始まる。(タクトへの呼び方は司令官殿)

・途中で補給した星で、フォルテは補給品と自分の銃の弾薬や新しい銃を引き取るためにある街へ行き、そこから貨物機兼乗客機(コンビ機)の豪華シャトルで、エルシオールが停泊している宇宙港へ向かっていた。

・その道中、フォルテは同乗していた一人の子供と交流するが、途中で親と称する男が関わるなと非難しながら分かれた。

・子供はシヴァ皇子のクローン。科学者の男が死んだ息子のためにクローン関連のロストテクノロジーを研究しており、かつて恩のあったエオニア皇子から、前にエルシオールで取ったシヴァ皇子のデータを元に彼のクローンを作るよう密かに作っていたが、その途中で情が移り、彼を連れて亡命しようとしていた。(クローン製作は1週間。)

・この時、1つのステルス戦闘機(リセルヴァがパイロット?)からレッドアイが乗客機へと乗り移る。亡命しようとする研究者の始末とクローン体の回収、そしてノアからの依頼である、乗客機に搭載されているロストテクノロジーの木偶(ドール)の奪取のために来た。

・フォルテは昔のマリアの夢を見ては目覚め、その時乗客機が星特有の長時間イオン乱流に入り、シールドを張る頃だった。

・気晴らしに歩くフォルテは再び子供と出会って会話する。クローンとして生まれて間もないため、会話が稚拙で困ったフォルテは共に「父上」を探すようになる。レッドアイは木偶回収のためのウィルスを端末から通してインプットした後、ターゲットを探すように行動する。

・レッドアイが研究者の男性を見つけ、クローンの行方を問い詰めている最中、ばったりとフォルテと会い、激しい銃撃戦が繰り広げられる。(レッドアイは最新式のレーザー銃)これを機に研究者はクローンを連れて脱走する。この戦闘でレッドアイはフォルテの跳弾を避けるために足を挫けてしまう。

・銃撃戦の最中、電気回線にヒットして短時間のシールドショートが発生し、それが原因でウィルスによるハッキングに異常がきたし木偶が目覚めて暴走をし始める。

・警備員までも現場に到着し、フォルテの援護に入るが、暴走木偶の乱入により場面は混乱する。木偶にはレーザー銃が効かず、フォルテが使う物理弾だけが、木偶の関節部などへダメージを通すことができた。

・フォルテとレッドアイはこの騒動より分断、一部木偶がキャビンへと侵入して殺戮を繰り広げる。フォルテは急いでキャビンへと戻り、木偶と戦いを繰り広げる最中、スタッフと共にブラストドアを閉じて木偶たちを分断させる。

・旅客機の機長が救難コールを出し、その知らせを知ったタクトらはフォルテと連絡を取って現状を把握し、まだ経験の浅い空港の安全スタッフらと協力して臨時対策本部を構築する。ヴァニラとミントにはアルモらと共に旅客機への連絡と状況確認、蘭花とミルフィーユにはイオンストームで運用できる救援機の調達。

・科学者の男は子供と共に人気の無い通路へと連れて、子供に自分の罪を告白し、彼に自由に生きて欲しいと願う。そして木偶の襲撃に会い命を落とし、子供は通気ダクトを通して逃げることになる。

・フォルテとスタッフ、乗客とコクピット近くセクターで篭城する。飛行場との連絡はつくが、イオンストームが強力なためデータ送信量や品質はそこまで良くない。タクト達は、もう少しすればイオンストームが一部晴れた地域に出るため、そこを脱出ポイントにすると連絡。レッドアイの話をフォルテから聞いたタクトは、ミントに飛行機に関することを財団の情報網や空港スタッフから詳しく調べるようにお願いする。機長はイオンストームにおけるデリケートな操作のため脱出ポイントに出てから脱出すると告げる。フォルテはスタッフ最下層にある脱出用ポッドを目指し、彼らと協力して乗客を護衛しながら下層へと向かう。

・同時にレッドアイも黒き月と連絡を取り、木偶の暴走の件によりそちらを断念するも、クローンの確保は継続することとなり、リセルヴァから無茶するなといわれる。

・脱出ポットでスタッフと共に乗客を脱出させるフォルテ。(その時イオンストームの進行方向により脱出ポイントは救助隊がすぐに向かうことができる)再び連絡してきたタクトが状況を確認したところ、正体不明の男とシヴァ皇子そっくりの子供のことが見かけないのを思い出し、タクトに伝える。それを不審に思ったタクトはミントに乗客関係の調査を頼み込む。

・乗客全員を脱出させたフォルテは先ほどの例の子供を見かけず、止まるかどうか考えた途中に、機体が大きく傾いてフォルテは脱出のチャンスを逃す。

・通気ダクト(電気回路の隙間?)を通してコクピットに乗り込んだ木偶が機長とスタッフを殺害。乗客機のナビゲーションシステムに異常が発生し、航路が大都会への直撃ソースへと変更される。

・その時レッドアイは貨物室にいて、木偶対策として積荷にあるフォルテのコレクションを漁っていた。火薬と旧式の銃の手触りが、彼のかつての記憶を呼び覚まし、かつて自分をかばって爆発に巻き込まれて死んだ友人のことを思い出す(力なきものは戦場で死ぬと傭兵頭から教われ、自分もその苦しみから逃れようと、彼への情念を無自覚に否定して隠していた)。そして今回の保険としての「戦闘薬ドラッグ(仮)」の注射瓶を見つめる。事前の準備の時、これに関する話をカミュとして、美しくない死に方はするなといわれる。

・ようやく目が覚めたフォルテは、タクトから航路変更の要求を受け、コクピットへ向かうよう指示する。途中フォルテはダクトの中で隠れていた例の子供を見つかり、おびえる子供を見てシヴァとは似つかわしくないと思いながら、二人でとりあえずコックピットを目指すようにする。

・タクトはランファとミルフィーユは空港スタッフと共に一機の磁気ストーム対応支援機を用意したが、旅客機があまりにも嵐の深いところにあるため、嵐の縁側で旅客機がでるのを待つしかない。それでも支援機を先にポイントへと向かわせて待機させる。

・同時にミントから、乗客の中からとある男のデータが、前科ありの男性科学者と一致することを見つかり、かつて男が月の御子で禁止されたクローン関係の研究をし、白き月から追放されたことが明らかになった。ヴァニラによるデータ検索で、木偶は彼が主導する非法ロストテクノロジー発掘研究機関によるもので、元は作業用としてのものをエオニアに献上する予定だと推測する。ミントには、この都市における男の隠し家を探すことをお願いする。

・フォルテは子供と会話をし、自分には名前がなく(搭乗のための偽名と書類はある)、本当は都市についてから父さんから名前を教えることになるが、それも適わずにいた。自分は記憶があって1週間しかなく、父との記憶以外は何もないと言い、フォルテは子供がクローンではないかと憶測する。

・途中で木偶一体と遭遇するも、フォルテは銃で華麗に関節部だけを打ち抜き、瞬時に木偶を制圧せしめる。

・彼女はフォルテを見て、羨ましいと吐露するとともに何故この状態で強くいられると尋ねる。フォルテは、強いのではなく、そうならなければならないと答え、彼女はただ困惑するだけ。彼女は自分は何もないといい、フォルテは彼女と一緒に無事脱出することを指きりで約束し、「これでもう何もない訳じゃない」と告げる。

・コクピットに到着した二人は中の惨状に戸惑いながらも、何か有用な情報があるかどうか確認し、子供は死体を見て同じく惨死した父のことを思い出して涙を流す。フォルテはそんな彼女を激励する時、フォルテへタクトが連絡が入り、とりあえず飛行機を指示とおり、イオンストームから抜けて救出ポイントでもある人気の無い海へ落ちるようコースを設定する。

・ミントからタクトとフォルテ両方に通信が入り、男の隠し家でクローン関連のデータが見つかり、それがシヴァ皇子のクローンであること、エオニアからの依頼で作っていたこと、そして今研究しているクローンの寿命がわずか半年しかいないことを伝える。同時にその動機が、亡くなった息子をクローンで蘇らせることも知った。通信をきるとき、ミントが小さく、子供のことを考えない迷惑な親であると毒づく。

・タクトがフォルテらに、機関室近くにスタッフ用の脱出ポッドがあると伝え、そこで嵐を抜けたら脱出するよう伝える。だが通信をきって振り返ったら、レッドアイが子供を捕まえて武装解除するように脅す。フォルテは彼の気をそらすために、彼が皇子のクローンなのかと真相を暴いて揺さぶる。

・レッドアイからその子を利用して白き月の封印を解くことや、博士が息子を完全に復活させるために記憶までも完全にコピーできる技術を求めていたことを知り、子供は自分は今でもそんな記憶がないと不安がる、自分が本当に何もないものだと語り、フォルテはそうじゃないと励ますと、レッドアイは戦場での情は死につながると言うと、なら君に情は無いのかいと問われ、僅かに顔の表情が変わり、それを見抜いたフォルテは、レッドアイとの傭兵同士の会話が始まる。

・フォルテを射殺する瞬間、再び船体に大きな揺れが起こり、それをきっかけに二人の戦闘が始まる。やがて格闘戦に入り、レッドアイはなぜか昔の戦場のことを思い出して徐々にあせり始める(かつて自分に傷を負わせたのがフォルテであるため、だがそのことは二人とも知らない)。

・互角の戦いだったが、先ほどの跳弾による足の不調が祟り、徐々に劣勢に落ちてゆくレッドアイ。やがて押されたレッドアイは、フォルテからのあんたも情が、大事なものがあるだろと言われ、それを否定するために戦闘薬ドラッグを投与し、フォルテを圧倒する。

・だが途中で子供の呼び声がフォルテとレッドアイともにかつてのマリアのことを想起させ、その隙を付けてレッドアイが押され、強烈な一撃と共にバルコニーから落ちて気を失う。

・先ほどの震動の原因が、エネルギーを求める木偶が機関部に集まり、クロノストリングエンジンが損害と過負荷により暴走気味であることを、ヴァニラの分析により判明した。木偶の量が多く、後方にある脱出ポッドまでたどり着くのは難しいとタクトは思うが、ヴァニラが研究所から入手したデータにより木偶のエネルギー周波数を得ており、遠隔操作でエンジンの出力設定をいじり、あとは実行信号をエンジンに送れば、エンジン暴走を止められ、同時にエネルギーの急激変化によるパルスによって全ての木偶をショートさせることができると告げる。だが設定は送られても、実際の執行はマニュアルで行わないといけない。フォルテ送られた図面を元に作戦を考え、その用意のために自分の荷物がしまわれたカーゴ室へと向かった。

・昏睡状態のレッドアイに、戦闘薬の副作用が発作。鎮静剤を探すも先ほどの落下によってアンプルが砕けているのに気付き、強烈な副作用が彼にフォルテのビジョンと傷を負ったときのビジョンが重ね、彼は雄たけびをあげた。

・貨物室から自分の装備を取り出して武装するフォルテは子供とともにエンジン室へ。フォルテが囮となって木偶をひきつけ、シヴァクローンはヴァニラに励まされて勇気を出し、無事マニュアル操作を遂行できた。

・ほっとしたところに暴走したレッドアイが襲来。圧倒されるフォルテだが、朦朧とした意識の中でマリアの幻覚を見て、自分はフォルテを恨んでおらず、寧ろ誰よりも大好きな姉御分のフォルテを守れたことが嬉しいと伝える。そして同じように思う今の大事な人たち、ミルフィーユ達を悲しませないでと伝えた。それでフォルテは吹っ切れてレッドアイに逆襲する。

・フォルテの必死の反撃で大ダメージを受けるレッドアイ。戦闘薬の反動で強烈な痛みを感じる中、フォルテに君だって守りたいものあるだろと聞かれ、レッドアイが絶叫して否定する。そんなことを認めたら、小さい頃守れなかった友人の事実に押しつぶされるから。

・フォルテのアッパーカットがさく裂して吹き飛ばされるレッドアイ。気を失う前に最後に見た光景は、カミュやリセルヴァ達の姿だった。

・いよいよ脱出ポッドに到着するフォルテとクローンだが、ポッドは外からマニュアルで切り離すしかなく、クローンはフォルテをポッドに入れて自分だけ残った。崩れる自分の手を見せ、どうせここまでの命と告げるとともに、短い間ながらも生きることを教えてくれたフォルテに礼を言い、彼女を脱出させるとシャトルとともに消え去った。

・シャトルの残骸から落ちたレッドアイはリセルヴァが回収。彼のことを毒づきながらも心配する。レッドアイはフォルテの言葉を思い出しながらカミュの通信を聞いて、ただ小さく微笑むと「美しくない死に方はしないさ」と答え、帰還した。

・無事タクト達と合流したフォルテはエルシオールで、老兵、マリア、そしてクローンのことを思い出すと、ミルフィーユ達が心配そうに見舞いに来て、彼女もまたただ小さく笑っては、タクト達と楽しく食事を始めた。

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