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DWSIM: Specification Block、Controller Block(操作シンボルの説明その5)

以下の記事で、塩素製造プロセスの反応工程を例にして転化率反応器の説明を整理しました。

供給ガスは、2種類で、供給ガス間のバランスは、量論式と過剰率で関係付けられました。製造量を変更した時には、供給ガス両方の修正が必要となります。

このような時に、製造量に応じた探索作業を実施するときに毎回値を計算して入力しなおすのは手間であるので自動計算する方法の紹介をします。

DWSIM:v6.4.8(執筆時)

DWSIMの紹介は以下になります。

設定ファイル

条件設定

プロセスの検討条件は、

ディーコン法での塩素製造を検討します。乾燥した塩化水素ガスと空気を触媒層に流通させて反応させことを考えます。量論式は以下の通りです。

4HCl + O2 -> 2H2O + 2Cl2

塩素の目標製造量を1,000kg/hrとします。酸素は、量論比に対して35%過剰での供給で、塩化水素ガスの反応率を60%にとれるとします。その時の原料、空気量、反応器前後でのバランスを確認してみます。

空気の組成は、酸素 21 mol%、窒素 79mol%とします。

でした。

Compounds、Property package、フロー図などの設定は、前回と同じです。

Flowsheet画面の下のタブより、Logical Opsタブを選択します。Controller Block、Specification Blockがあります。それぞれ一つずつ、Flowsheet上に置きます。

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設定が完了した後のフロー図は以下のようになります。

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Specification Block(SPEC-01)を選択して設定画面を開きます。

供給ガスの関係は、HClのモル流量 x kmol/hrに対して、必要な空気量 y kmol/hrは、酸素濃度は、21%で、量論比より、HClの0.25倍、かつ、過剰率を35%とするので、

y = x * 0.25 * (1 + 0.35) / 0.21 kmol/hr

となります。この関係を以下のように表現することができます。

ここで、フロー図上では、HCl供給ガスは、MSTR-01に、供給酸素は、MSTR-02としていました。

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次に、欲しい生産量に対して供給ガスを調整する必要があります。

ここも自動化できると、いろいろ検討する際に便利になります。

Controller Blockをクリックして、設定画面を開きます。

Manipulated Object(操作する量)は、供給塩素ガス量です。MSTR-01の供給量(モル流量でも、質量流量でも問題ありません。)を指定します。

Controlled Objectは、製造量を目的量にしたいので、MSTR-04のCl2の質量流量を指定しています。

Parameters欄において

Convergence/Solve with Flowsheet Solverにチェックを入れると、フローシートの計算時に、目的値になるように探索計算が動きます。

Set-Pointに目標値を入力します。

Toleranceは、収束の許容誤差です。

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以下は、Cl2を1,000kg/hrとした時のバランスです。

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Set-Pointを1,500kg/hrにした時の結果です。(静止画面なので、わかりませんが、値を探すために、繰り返し計算が実行され、いろいろ値が動きます。)

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まとめ

Specification BlockとController Blockの使い方を整理しました。

Specification Blockは、比例配分にしたいときに利用すると便利です。

Controller Blockは、ある量を目的値になるように操作量を変化させて答えを探してくれます。

所感

プロセスシミュレーター上で関係が表現できると、Sensitivity Analysis機能を使って、ケーススタディがしやすくなるので、シミュレーター上で表現するメリットがぐっと上がると思う。

参考文献

化学工学会 編、基礎化学工学、培風館、P.19

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