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DWSIM:気液平衡曲線

DWSIMでの気液平衡曲線(推算)の確認をする方法を整理します。混合物性としてはまずはこれが見たいとおもうます。ここでは、水とエタノールの気液平衡データの確認を例に説明します。

DWSIM v6.4.5(執筆時)

基本情報の設定

DWSIMを起動し、File >Create Newで新たなシミュレーションを開始します。画面の誘導に従います。

物質の選択をする。EthanolとWaterを選択する。Nextボタンをおします。

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Property Packages の選択画面に移ります。Avaliable Property Packagesのリストより、NRTL、Modified UNIFAC(Dortmund)を選び、AddボタンをおしてAdded Property Packagesに加えます。Nextボタンを押して進みます。

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System of Units で単位系を選択をします。ここではSI単位系で進めます。Finishを押して、基本設定は終了となります。

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Flowsheetの設定

Flowsheet画面に遷移します。Material Streamを一つおきます。

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BinaryEvelope画面

メニューのUtilites > Add Utility を選択します。

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Add Utility画面で、Material Streams > Binary Phase Envelope > MSTR-01を選択し、Add Utilityボタンを押します。

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Binary Envelope1画面が立ち上がります。

Compound 1に指定したものが軸の濃度の基準物質になります。ここでは、       -Compound 1をEthanol、Compound 2をWaterとします。

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-Envelope type の選択ボタンの機能は、以下にります。
-Txy:定圧の露点・沸点曲線を描画。(縦軸が温度T、横軸がEthanol濃度。)
-Pxy:等温の露点・沸点曲線を描画。(縦軸が圧力P、横軸がEthanol濃度。)
-(T)xy:定圧の気液平衡曲線を描画。(縦軸が気相のEthanol濃度、横軸が液相のEthanol濃度)
-(P)xy:等温の気液平衡曲線を描画。(縦軸が気相のEthanol濃度、横軸が液相のEthanol濃度)

-Txy Diagram Options : 気液平衡計算で、液液平衡、固液平衡が含まれることが想定されるときに利用します。

軸の濃度の表示単位は、モルか、重量濃度の切り替えができます。

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-Pressure:定圧計算での圧力を指定
-Temperature :等温計算での温度を指定
-Fraction Range:液相濃度の計算範囲
-Stepcount:計算範囲を何等分して計算するか指定(Defaultは40)
-Property Package:選択した物性計算パッケージのどれで計算をするか指定。
-Compare Models:このチェックボタンをいれると、AddしたProperty Packageすべての比較描画。
-Calculate:このボタンを押して計算を実行、描画。

101325Paの定圧で、NRTL、Modified UNIFACで描画した結果が以下になります。微妙な差が出ています。

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この計算が正しいかは、実測値や、信頼のおけるデータを参照し、比較検討する必要があります。その時には、グラフ上のExp.Dataタブより点データを入力できます。(以下の値は適当な入力値になります。)

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入力後、再描画すると以下のように表示されます。

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計算値はTableタブより表示、クリップボードコピーでき、スプレッドシートなどで扱えます。

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Property Packages:モデルパラメータ確認

推算パラメータの確認は、Edit > Simulation Settingsを選択します。

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Settings 画面が軌道する。Thermodynamicsタブより、Property Packagesが確認できます。NRTLを選択し、下のModelボタンを押します。

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NRTLのパラメータが確認できます。a12, a21, alpha12を調整することで気液平衡計算をチューニングできます。実測データとNRTLのモデル式のパラメータフィッティングを行う必要があります。(別の記事で説明したいと思います。)

以下の画面では、b12, b21, c12, c21が0であるが、a12、a21パラメータは、温度依存性があるとき(データがとれているとき)には、温度の2次関数で表現されます。(a12 = a12 + b12xT + c12xT と計算されていると開発者にきいています。)

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同じく、Modified UNIFACについてもModelパラメータを確認すると以下のようになっています。こちらはグループ寄与法になり、さまざま気液平衡データから、グループパラメータが決定されています。(こちらを修正して使うということは、そうそうはないと考えられます。)

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まとめ

フリーのプロセスシミュレーターであるDWSIMで、気液平衡計算の実施、確認方法を整理しました。

個別の推算法のパラメータの確認、チューニングもできます。

所感

個別の推算法の概要を書いていきたいと思う。一つを整理するのにもかなりの記述量になってしまう。今回のものは、コンパクトにしようとおもったが、多くなってしまった。

まずはシミュレーターの触り方を整理して、徐々に理論背景と、実際的な問題への適用(アプリケーション事例)も整理していきたい。


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海辺のケミカルエンジニア
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