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DWSIM:Compound Separator、Recycle Block(操作シンボルの説明その6)

プロセスにおいて、原料の消費効率を上げるために、原料を回収し入口側に戻す操作、リサイクルがあります。

そのプロセスのプロセスシミュレーター上での表現を整理します。

DWSIMの紹介は以下を参照ください。

設定ファイル

取り扱いは、自己責任でお願いします。

課題背景

アンモニアの合成を例にします。

N2 + 3H2 -> 2NH3

N2とH2を反応器に供給し、反応器内で、上の反応が起こるとします。

このとき、反応器の単通過反応率が12%であったとします。

供給した原料の88%は未反応のまま、反応器から出ることになり、原料消費効率が悪いことになります。

反応器出口ガスを冷却してアンモニアを凝縮、分離し、未反応ガスを反応器に戻すことを考えます。

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DWSIMでの設定

物質は、

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物性パッケージは、

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反応器を使うので反応を定義しています。メニューのEdit > Simulation Settingsを選択し、Reactionsタブで以下の設定をしています。

Conversionタイプの反応で、量論式の定義と、転化率を固定で12%としています。

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フロー図の作成に移ります。フローシート上で、以下のフロー図を設定します。

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MIX-01は、Streamを合わせるものです。ここでは、原料供給のMSTR-01と、リサイクルからくるMSTR-04(MSTR-06)を合わせるためにおいています。

混ぜる前後の温度の確認など、混合熱を見たいときなどにも利用できます。

RC-01は、転化率反応器です。以下の記事で紹介しています。

CS-01は、Compound Separator(成分分離機)になります。

これは、現象をモデルしたシンボルではなく、恣意的に成分を分けたいときに利用します。(設定した分離できるかは、熱力学的な根拠はないものです。)

ここでは、反応後のMSTR-03から、NH3だけをMSTR-05に分離し、MSTR-04に残りはいくように指定したいと思います。

設定は以下になります。

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REC-01は、Recycle Blockです。

MSTR-04を反応器に入口に戻せば、リサイクルになるのですが、プロセスシミュレーター上で、閉じた流れ(リサイクル)については、明示する必要があります。

そこで使われるのが、このシンボルになります。

Inletは、MSTR-04で、Outletは新たにStreamを追加してMSTR-06としています。

その他に、計算回数と、収束計算の許容誤差を設定できます。

リサイクル計算がうまく収束すると、MSTR-04とMSTR-06は、一緒の値になります。

言い方を変えると、MSTR-06の値を適当に変えて、MSTR-04と同じ量になる数値が見つかればリサイクル計算の答えであるとなります。

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DWSIMでの計算結果

計算を実行した結果が、以下になります。

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リサイクル計算の収束性は、スタート値がかけ離れていると収束しにくいことがよくあります。

実効時には、以下の図のようにリサイクル計算は切っておいて、適当にMSTR-06の値を入力して、当たりをつけてリサイクルをつなげて自動収束計算をするとしています。

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まとめ

プロセスシミュレーター上でのリサイクル計算の方法について整理しました。

Compound Separator、Recycle Blockについて説明しました。

所感

反応条件などは適当な数値です。反応が進むか予想するGibbs Reactorというモデルもあるので、これについても説明したいと思う。

参考文献

化学工学会 編、基礎化学工学、培風館、P.22

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