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無欲の熱力学の偉人 ジョシア ウィラード ギブズ

ジョシア ウィラード ギブズについて紹介します。

生涯独身、無給での教授職と真に研究に人生を捧げた人です。

数学者、物理学者、物理化学者でもあったようです。

ギブズの功績

熱力学の授業を受けた方なら必ず聞いたことのある名前(響き)であるとおもいます。

ギブズの相律とよばれる規則を発表しています。

f = c + 2 - p
f : 自由度
c : 系内の成分数
p : 相の数

自由度:系に対して温度、圧力など任意に指定(操作)することができる示強性変数の数

他にも化学ポテンシャル、相平衡理論の確立に貢献し、ギブズ自由ネルギー、ギブズ-デュエムの式など、随所に名前が採用された重要な式があります。ベクトル解析、統計力学などの教科書、基礎を築いていったとのことです。

その他の話題

1863年、イエール大学で工学の博士号を得た。米国で科学で2番目、工学では初めての博士号であった。

1871年、イエール大学では数理物理学教授に任命され、これは、米国において、最初の数理物理学教授職であったとのこと。ただし論文発表がないために無給での職であった。

1874年(1876年、1878年の2回?)、”不均一な物質の平衡について(On the Equilibrium of Heterogeneous Substances)”を Transactions of the Conneticut Academy of Scienceに発表も、雑誌が世にあまり知られていないことと、難しい内容だったのか、評価を受けれなったようである。
>> ここの年代は、調べきれていません。スミソニアン・ライブラリーには、1874年とあるのでそうしました。


1880年、イエール大学は有給の職を提供した。これは、ギブズ自身がヨーロッパの著名な科学者たちにコピーを多数おくっており、マクスウェル、ファン デル ワールスはその重要性を認めて、ヨーロッパに紹介されたことで評価が上がった結果のためようである。

スミソニアン・ライブラリーに収めらてているギブズの論文のリンクになる。

まとめ

ギブズと彼の貢献(偉大な仕事)について、ごく一部を記載しました。

彼の功績の化学プロセス計算における利用(計算されていること)については、今後、少しずつ具体的な数値を示しながら整理したい。

所感

ギブズの論文を読破したことはないので、いつか読みたいと思う。日本語訳もあるようであるが、原著でがんばりたい。(若い頃、時間がたくさんあった。あのときに興味があればとおもう。)

相平衡の予想は、ギブズの定義したポテンシャルが各相(気、液、固)で等しくなる状態を計算することである。この概念がなければ、化学プロセスのシミュレーションは始まらない。

プロセスシミュレーターの設定において自由度の概念が重要である。DWSIM(という化学プロセスシミュレーターがある)ではCalculation typeという項目で度の示強性変数を入力とするか選択する必要があり、それを繰り返し操作しているとどの変数で指定すると考えている操作を模擬できるかイメージできるようになってくると思う。
(Hysys plantは、まさに自由度を意識して値を入力する形式のプロセスシミュレーターであったと記憶している。DWSIMは逐次計算法による。方程式ソルバーによる方法がHysys Plantで、そのため自由度を意識して入力する必要がある。と記憶している。)

その後、多くの熱力学の研究者が平衡データの測定と、実在状況を表すため、測定データから演繹するためのモデルの構築などが積み上り、今日の計算ができているのだと実感する。

ギブズの功績をもっと伝えたかったが、うまくまとめきれなかった。

彼が無給でも自身の信じる道をすすんだことは、尊敬する。生涯独身ではあったらしい。私にはどちらもできない。。。

本には、気取らない、穏やかな人物、生涯を実家で家族と過ごしたとあるので、タイトル通りの人と勝手におもっています。

参考文献


J. Gmehling, B. Kolbe, M. Klieber and J. Rarey, Chemical thermodynamics for process simulation wiley-VCH, 2012, P.187

千原秀明, 江口太郎, 齋藤一弥 訳, マッカーリ サイモン 物理化学(下)分子論的アプローチ, 東京化学同人, 2000, p.966


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