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DWSIM:気液平衡、Pxy図をよむ、その2

Pxy図の情報について、整理します。2回目です。

DWSIM v6.4.5

逆行凝縮(Retrograde Condensation)、逆行蒸発(Retrograde Vaporation)

以下のグラフは、メタン(1)ーエタン(2)の250K(-23.15度)での等温沸点ー露点曲線になります。

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グラフは、Chemical Thermodynamics for Process simulation (2012), P.182を再描画

メタンの組成が0.64 mole fraction、温度を250Kで、80bar (0, スタート)から圧力を下げていくとします。最初は、すべてがガスの状態にあります。69bar付近まで下がると、液化がはじまります。更に圧力を下げていくと60bar付近で液の量が最大になります。さらに下げると3までは、気液平衡が存在し、また液相は減少していきます。通常の気液平衡の挙動と同じようになります。

C-CCのラインにかかる場所は、圧力が下がると液化が進むように見られるRetrograde Condensation/Vaporizationという現象がみられます。

この域をDWSIMで計算してみると、以下の図になります。気液平衡曲線の描画は以下を参照ください。


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先の図でのC点の組成は、0.62 mole fraction程度です。DWSIMでは、0.62 ~0.675 mole fraction では、Dew pointが発生する圧力が2点あるが、下側の計算結果しか示されていない様です。(計算機で、非線形方程式の解を複数探すのは、答えがどの付近にあるかわかっていれば初期値の設定でできるかもしれないが、いろいろな条件で探せるようにするのは難しそうではあります。)

メタン、エタンの臨界温度を確認してみると、190.56K、305.32Kです。

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臨界温度での、Pxy図を確認するとRetrogradeの状態は出てこない様です。

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まとめ

Pxy図の特徴として、Retrograde Condensation/Vaporizationの発生することがあることを整理しました。

所感

気液平衡図の形から画像診断のように傾向をつかむことができる。これらは発展的な書籍には書かれている。研究者たちの積み上げてきた業績は本当にすごいと思う。

参考文献

J. Gmehling, B. Kolbe, M. Klieber and J. Rarey, Chemical thermodynamics for process simulation wiley-VCH, 2012, P.182

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