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双子座の君。行き場のない気持ち

少し前まで私は不倫に対して
否定も肯定もしない派だった。

そのずっと前は
不倫したら地獄に堕ちるという
誰かが言った言葉を信じていた。

今は、やはり不倫は良くないと思う。
それはされる側の気持ちが少しわかったから。
少し、というのは
私が不倫しても良いとか言い出して
夫が実行したのだから 
普通の不倫に比べたら随分とましだと思うから。(それでもしない人もいるだろうけど)

不倫される側は辛かった。
想像以上に辛かった。
不倫は、やはり周りの人を傷つけてしまうから。

誰だってそうだと思う。(一般的には)
不倫は悪い事だとわかっているし
誰も好き好んで不倫をしようとは
思わない。

それでも
人を好きになってしまう事はある。

だから
わかってもらえない人には
わかってもらわなくても良いけど
私のこの恋の記録が
ただの不倫とか、婚外恋愛の話だとは
思わないで欲しい。
実際不倫はしていない。

***

(前回の続き)

2014年の事。
私は
このままでは、いけないと思い始めた。
自己犠牲の毎日。
人の為にと奔走する毎日。
悲しみや、苦しみを閉じ込めたまま。
気付かないフリを続けて。

でも何をどうしたら良いのか
わからなかった。

下の娘は、幸い学校が楽しいと言っていた。
幼稚園より楽しいと。
ホッと、した。上の娘が荒れていて
怖がる事も多かったので
いつ影響が出るかと心配したが
下の娘は明るく元気だった。

学校の話もよくしてくれた。
友達や先生の事。

先生は 怖い時もあるみたいけれど 優しいらしい。 でも 今思えば、娘がその頃よく言ってた。
「それ、先生も同じ事言ってた」とか。
「先生と同じ!」とか、
「先生と同じニオイが する」とか。
その時は なんとも思ってなかったから
「ふぅん、そうなの。」と 思ったけれど。

***



あの雷の日

そして、 6月のこと。
その頃はゲリラ豪雨が多くて、その日も ちょうど下校時間に 雷が鳴り出した。
私も娘も雷が病的に苦手で。 少しましなうちに迎えに行き 連れて帰ろうとした。 
学校に着くと  雨は本降りで もう雷も酷くなり帰れないので 子ども達は教室待機になった。
玄関先で 保護者が迎えに来た人から
引き渡すような形になった。
私は気を使いすぎる所があり 玄関に先生の姿が見えても 遠慮して 「子どもを迎えに来ました」とは
言い出せなかった。
先生は バタバタ他の保護者の対応に 追われていたので。 少し様子を見ていた。
そのうち先生は教室に消えていった。
他の先生に声を掛けて 子どもを呼んでもらおうとした。 その時 娘が先生と降りてきた。
「 え?先生気付いていたの?」
私自慢じゃないけど 存在感薄いし
まだそんなに会ってないし 、今回は素っぴんだし。

後で思った事。

「 よく私に気付いてくれたね。
  よく見つけてくれたね。 」

私は嬉しかったのだと思う。 私のインナーチャイルドが 飛び跳ねる程 喜んでいた。

そして 夏が過ぎ、秋になる頃 私は夢を見た。
私は昔から 予知夢みたいなものを見たりしていた。 夢をよく記憶していたりもする。 昔、阪神大震災の前日に 橋とかが壊れていたり いろんな道が 大渋滞している夢を見た。 空は灰色だった。 その次の日 阪神大震災がおきた。
なので なんでもない夢もあるけれど たまに、そんな夢も見る。

私は先生の夢を見た。 2日連続で。
何か逃げていたり 隠れていたり、 火事とか戦争とか? 火のような物も見えた。 もう何年か経つから 少し曖昧にはなってきたけど。 先生が娘を膝に乗せて 何か話していた。

そして…
断片的にしか覚えてないので どういう流れか知らないけれど ……(恥ずかしいので書けない。)

でもそこにロマンチックさは 欠片もなかった。
なんで、そんな夢を見るのか。 嫌になった。 私は夫を愛していたし 勿論夫婦生活も普通にあった。 決して欲求不満なんかでは なかった。
なんで あんな夢を見たのか。 自分が嫌だった。
特に好きなタイプでもないし。 どちらかと言うと苦手なタイプ。 まぁ、ただの夢だし、と 気にしないようにしていた。

でもね。 やっぱり気付いてしまった。
たぶん私 、先生が好きなんだと。
でも 好きになってはいけないの。
私は夫を愛している。
先生も結婚してるし 、かわいい赤ちゃんだっている。 歳だって、随分下だし。
そして 先生なんだもの!

***

期間限定の恋。神様も許してくれるかな。

私は決めた。 あと少し、あと5ヶ月だけ。 あと5ヶ月でクラスが替わり 担任も替わる。
それまでは自分の気持ちに正直にいよう。

もう少し、あと5ヶ月くらいなら
神様も許してくれるかな。
あと5ヶ月。
私は、先生が好きなんだと
そう想う事を自分に許した。

そう
期間限定の恋。

そしたら 凄く心が軽くなって。
久しぶりに感じるトキメキ。
夫のことも愛してるし トキメキもある。
でも また違うトキメキ。 毎日楽しかった。
ある時は 娘がドリルを学校に忘れて 放課後に取りに行った。 何故か私も教室へ。 私と娘と先生。
3人で教室に行き、ドリルを取ってまた降りてきた。 途中階段の所で先生の肩に 羽を見つける。
真っ白な羽。 フワフワの。
私は天使の羽だと思った。
その羽を
肩についてる羽をとり 先生に何故か手渡した。
ドキドキした。 目と目が合い 指先が軽く触れた。
ショートしそうだった。 それだけで 幸せだった。
それだけで幸せだったのに。


アイドルみたいなもの。

私には、特別なアイドル。


見てるだけで幸せ。


勿論夫の事も好きだけど。
先生も好き。


そんな日々が続いた。

***

娘は、よく話す子で
学校の事いろいろ教えてくれた。
先生の話も沢山してくれた。

相変わらず
ママ、先生と同じ事言った!とか
それ先生と同じ!とか。
嬉しいことも言ってくれて
離れていても、同じ空間にいるような
そんな錯覚も。

みんなにそうなんだろうけど、
とてもマメな先生だった。
連絡事項あれば
とても詳しく丁寧に長文で書いてくれる。
子どもの心配もしてくれる。

後々に思うけれど
まぁ、あんなに熱心な先生には
会った事がない。
先生の仕事量って
凄く多くて、大変なのに
あの長文をいつ書いてるのかな。
本当に有難かったし、尊敬した。



見た目はクールで少し怖い。
なのに仕事に対する熱量が半端ない。
すごく、熱い人なんだと思った。
そのギャップが、あかんのよ。

どんどん惹かれてしまった。

こんなこともあった。
何回も言うけれど
私は存在感がないのです。
それなのに
いつも見つけてくれる。

こちらが
気付かないフリしていても。

たぶんこの人
私と似てるかも、と何回も思った。

HSPかもしれない。
細かいことに良く気付く。
きっと繊細な人なのだろう。


少し挙動不審な所とかも
似ている。

ますます惹かれてしまった。




冬位から
娘の体調が少し不調になり
先生から電話があって
学校に迎えに行ったり
家にお休み連絡を届けてくれたり。

先生に会いたいな、と
ふと思ったら
電話がかかってきた事もあった。
勿論娘の事で、だけど。

***

お別れが近付いて。

期間限定の期限が近づいた。
もう3月。

毎年クラスも先生も替わる。
もうすぐお別れ。
そうだ、写真を撮ろう。

その頃
先生から電話があり

娘が風邪ひいていて休んでて
たまっていた書類があるので

週末土曜日に
寄ります、との事だった。

娘は、その時はもう元気になっていて。

その時に
もう少しで、1年生も終わるので
写真を撮っても良いですか?と
聞いてみた。

OKだった!


調子に乗って、先生の年齢を聞いてみた。
娘情報では、35歳。



その時の会話が面白くて。

「先生、おいくつなんですか?」

「僕は誕生日が来たら32歳です。」

「誕生日はいつですか?」

「○月○日です。」

あっさりと誕生日を知った。

普通に
「僕は31歳です。」で良いのに。

わざわざ教えてくださった。

ちょっと嬉しい。


でもでも、若すぎる……

11歳も年下とか、ありえない。


でもアイドルだから、ありえるか。


そして
いよいよ終業式の日が来た。

私は、嬉しかった。
淋しさと嬉しさ。

実は上の娘(その頃はまだ男の子)は
小1の頃は、母子登校だった。
毎日ほぼ一緒に登校して
1日学校で過ごした。
周りからは暇人とか、過保護とか
思われていたかもしれない。

子どもの為に必死だった。
でも
やはり疲れていた。
若かったから出来たのかな。
今はとても無理。

そんな事があったので
娘が学校が楽しいと
毎日通ってくれて、
周りの友達や先生達に感謝の気持ちで
いっぱいだった。


最後の日
私は少しだけ先生と話した。

その頃その学校の卒業生が
俳優になり、
有名なドラマに出ているときいて
先生にもきいてみた。

緊張して
全く関係ない話をしてしまう。
私は、馬鹿だ。

先生は、知らないと言ってて
ドラマも見ないらしい。

私と同じだ。
私もドラマとか一切見ない。
なんならテレビも見ない。

理由は
「ドラマとか続き物は続きが気になるから
だったら最初から見ない。」そう。

それも私と同じだ…。

最後なのに
訳のわからない話をした。


でも
この会話にも、実は
深い意味が、込められている。
それはきっとお互い気づいている。




もう先生とはお別れなのです。
たぶんもう話す事もない。

期間限定だけど。
期間限定だと思っていたけど。

先生は私にとってアイドルだから
だから大丈夫。
まだ次で3年目だし
異動もないだろうし。
遠くから見てるだけなら
良いよね。


先生ありがとう。
さようなら。




***

運命のイタズラ

そんな頃
離任式がある、その前日に
暫く連絡とってなかった友達から
連絡があった。

内容は
「○○先生異動らしいよ。」

え?ありえない。
よっぽど何かやらかしたとか
それか、本人が希望したとか?
それでなかったら
ありえない。

しかも
その友達とも夏くらいから
やり取りしてないし
私の気持ちも勿論知らないし。

なのに何故知らせてくれたのかな。
不思議な感じ。

でも有難いな。
知らせてくれて。

それなら、本当にさよならだもの。
知らない間に
いなくなられるより
一言お礼を伝えてお別れしよう。

そう思って私は
先生に、手紙を書いた。

勿論誰かに読まれるかもしれないし
注意を払いつつ

それでも
感謝の気持ちと尊敬と
ほんの少し好意が伝わる、
そんな手紙を書いた。



離任式の日。
娘にその手紙を持たせた。
娘にも先生さよならだって、と伝えると
手紙を書く!というので
その手紙も一緒に。


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