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夢の国の話


梅雨が明けたばかりの暑い日
海で朝日を見た帰り道に寄ったある古道具屋さんの話

蚊取り線香の匂いが湿度をもって肌にまとわりつく
緊張しながら中に入ると、そこは完璧に異世界だった

小さい窓から覗く緑、どこからか漏れて床に置かれた額縁の隅に落ちた丸い光、無音の空間に響き続ける蝉の声
高い天井をもつそこは室内であり屋外で、まるで時が止まっていた


薄暗い空間に静かに身を寄せる古い家具や道具たちは、ぎゅうぎゅうに並べられて(あるいは積まれて)いるのになんだか伸び伸びしていた

ガラスケースの蓋をそっと開けてみる

大きな扇風機と、値段の書かれた小さなシールだけが現実世界との接点のような気がした


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