AIプロンプト【呪文】は公開すべきか

毎晩毎晩毎晩毎晩毎晩……
朝になるまで呪文を研究して目の下にクマができて
やってることも見た目も古の魔術師のようになってきました

先日、このAIお絵かきを自社が運用中のゲームに取り入れたいという話があった
もちろん撮って出しをそのまま売るなんて下品なことは出来ないので
きちんと加工する環境ありますか?
といった面のコンセンサスを得た上で実用して下さいとお返事

結局つかう事になったわけですが
その打ち合わせの時に

得た知見は余すことなく教えてほしい
呪文も全てもらいたい

と言われた

これについて、受け取る人の印象はまちまちだろうが
私の感覚からすると

「絶対イヤです」

である

もちろん「こんな感じで作りましたよ~」くらいの、
呪文の触りになる部分は納品といっしょに渡してもいいのだけど
夜な夜な研究している内容、命削って作成してる魔術書の内容を
社内の人間だからという理由でタダでもらってやろうという魂胆は
やりがい搾取以外のなんでも無いなと思った次第である


急速に発達してるとはいえ
まだまだAIお絵描きは黎明期だし、術者同士のプロンプト共有は、そのまま界隈の盛り上がりに影響する

有益な情報を秘匿せず広めることで業界は相対的にレベルアップ
マーケットサイズが大きくなって結果として自分も儲かっていく

という構図には大賛成で、日本のビジネスそうなれと思っている派でもある

実際、元素法典を始め
最先端で研究を進める術者たちが新たな技術を公開してくれていて
AIお絵描き界隈は加速度的にパワーアップしている

しかし、今回のように
会社側に研究結果を渡せというのは少し話が違ってくる
会社に渡せるのは技術を使った成果物であって、技術そのものではない

それが趣味であったとしても、努力の成果をギャランティも払わず奪おうとするのは搾取である

日本の科学者が発明した世紀の大発明も、所属の会社所有であって
本人はちょっとしたボーナスしかもらえない
なんて話はたまに聞いたことあるが、まさにその気質だなと思った


付随して、いま各所で立ち上がっているAI絵の投稿サイトにも
少し懐疑的なところがある
きっと純粋な気持ちからやってる人がほとんどだろうが
中には呪文を盗んでやろうという思惑も少なからず混ざってるだろう
(天邪鬼だなぁと思われるのも認める)

AIお絵描きはたしかに凄まじく、誰でもそこそこの絵が出せる
ただ、研究なしに出せるのは“そこそこ”まで
その先に行くにはプロンプト知識だけでなく、その他の設定との関係性
もしくは人力による調整が必要だ

つまり、そこに個性をのせられるか、という戦いが始まる
この個性については、やっぱり秘匿するべきでないかと私は考える

ファイヤー! ブリザド! サンダー!
くらいの魔術なら誰でも扱えるように公開すれば良いし
使う人が増えれば界隈は盛り上がるだろう

ただ、この時点で『界隈を盛り上げる』という目的には割と十分であって
メテオなどの上級魔法は、自分の奥義として秘めておきたい
ましてや究極魔法アルテマまで教えてしまうと
せっかく手に入れたAI絵の個性を流出させることになる

いや、AI絵の個性ってなんだよ……
というご意見はご尤も

しかし、AIを武器にマネタイズを行っていきたいとお考えなら
バコバコと公開してしまうのは思いとどまるべきだと考えている
公開するにしても、それ自体できちんと収益を得るべきだろう
それだって努力して手に入れた立派な誇るべき技術なんだから

もうAIでハイクオリティな“そこそこ”の絵が作れることは十分周知された
放っておいても使う人はどんどん増えるでしょう
加えて、ツールもいっきにレベルアップしていき、今の最先端技術も来年には化石になってるかもしれない

そんな中であっても、振り落とされずAI技術を突き詰めていく気概のある魔術師
特に趣味からビジネスに昇華させたいと考えている諸兄姉におかれましては
ぜひとも、やっとの思いで習得した奥義だけは自分だけの秘密にしてほしい

“そこそこ”のその先で、バチバチやりあいましょう


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