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正藍染

千葉あやのさんの正藍染を調べていて、2019年2月No.303広報くりはらの記事を見つけました。宮城県の栗原市に日本最古の染色方法「正藍染」と文字地区の魅力を紹介する施設があります。

【特集】
日本最古の染色技法 正藍染(しょうあいぞめ)
くりはらの手仕事
 栗駒文字地区の千葉家に伝わる「正藍染」は、自ら種をまいて栽培した藍を使って、染めまでの工程を一貫して手仕事で行っている点が特徴で、かつての農村で、自給生活が続いていた頃の染色文化を、今に伝えています。
 今月は、日本最古の染色技法で宮城県指定無形文化財に指定されている正藍染を紹介します。
【特集】日本最古の染色技法 正藍染 くりはらの手仕事
藍染の歴史
 藍染は、中国大陸から伝わった草木染の一つで、平安時代には、すでに今に伝わる染色技術に近いものでした。やがて鎌倉時代には、模様染めに変わり、日本各地で盛んに用いられていましたが、海外からの化学染料や原料などの物流が盛んになったことや染色技術と製織技術の発展に伴う衣料の量産時代を迎え、一気に衰退していきました。
 そのような中、東北地方の農村では、大正末期から昭和初期頃にかけて、この染色技法を使って染める家庭がいくつか残っていたと言われています。栗駒文字地区でも、明治から大正期にかけては、藍染を行う家庭は20軒ほどありました。しかし、時代の変化の波が押し寄せ、昭和20年代には、2軒を残すのみとなってしまいました。
藍染技術を後世に
 昭和20年代、白石郷土工藝研究所研究員の佐藤 忠太郎氏が藍染の実態調査を行ったことで、東京国立博物館染織室長だった山辺 知行氏が文字に伝わる藍染について知りました。山辺氏は、当時、藍染を辞めようと考えていた2軒に対し、染色史上貴重な藍染技術の保存の必要性を訴え、2年もの間、文字に訪れては熱心に藍染技術を後世に残すよう勧めました。残念ながら、後継者がいなかった1軒は、やむなく継承を断念。残る千葉家のあやのさんは、熱心に口説く山辺さんの思いと、娘のよしのさんや千葉家に嫁いだまつ さんが、共に藍染の作業に係わっていたこともあり、貴重な染色技術を後世に残す決意を固めたのです。
正藍染と藍染の違い
 現在、各地で見られる藍染は、染水(せんすい)を作るための蒅(すくも)と呼ばれる原料を、専門に作っている藍師から仕入れています。その蒅を水がめに入れ、加熱しながら染水を作る藍建(あいだて)を行い染めています。また、刈り取った藍の葉に薬品を加え、化学反応により染水に変化をさせて、染める物などもあります。いずれも、これらの染色方法は、天候などに左右されること無く、1年を通していつでも染めることができるため、現在の藍染の主流となっています。一方、熱や薬品を加えることなく、自然の温度で藍を発酵させ、全て手作業で染め抜く千葉家の藍染は、日本最古の技術「正藍染」として、昭和30年に国の重要無形文化財に指定されました。
正藍染の特徴
 藍建に熱や薬品を加えて藍の発酵を促す藍染と違い、自然の温度で発酵させた藍を使用して染め上げる正藍染は、気温が高くなる初夏の6月から7月までのごくわずかな期間しか染めることができません。この正藍染で染めた染め物は、色落ちもなく、他の物と一緒に洗濯しても色移りもしません。また、紫外線から肌を守り、防虫効果など、優れた効果もあります。

千葉あやのさんが人間国宝になられたのは、山辺先生の推薦があったからでした。先生の染色に対する情熱伝わったことがわかり、ひっそりと続けられていた正藍染が今でも続いていることが素晴らしいと思います。


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