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人生の最期は誰に頼るか

人生の最終章を誰と過ごすか
誰に頼るか、何に頼るか
自分が弱った時に誰と生きていたいか

同じようなことを ぐるぐる考えている。

きょうだいで、そんな話もする

この先、家族皆が全員自立してそれぞれの生活を送っているとは限らないね
どうやって生活を守っていこうか

生活を守るために必要なものはなんだろうと考えると
不動産やお金などの財産のことではなく
いつも気になるのは

どんな人達と、一緒に過ごしていきたいか

資産を蓄えても
その分、貯めた財産が盗られないか、不測の事態で出費が増えないか
などといった心配や不安も、一緒に年々たまっていく。

老後は自己資金の管理と介護保険のことだけ考えていれば安心、
なわけがない。
どうしたら、人の中で老後も過ごせる安全な環境をつくっていけるだろうか

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自分達の身に置き換えてこんな心配をするのは
普段、職場である介護事業所にて、お金をいただいて介護をする相手方と自分との関係を顧みて思うことがあるから

例えば、

事業所、中にいる介護者、利用者と共に生活し、何らかの対人関係を築いていこうとする人は、その人の心身状況によらず、惨めにはみえない
他人に介護を受ける場所だろうが、自分の家だろうが、自分の人生の延長に今の生活があるという意識を、こちらは感じ取ることができる

もちろん毎日、心地よい関係をお互いに保てるわけはなく、
事業所内に生活する者同士、職員も含めて関係性には濃淡がある
喧嘩のような気まずい雰囲気になってしまったり
楽しいことは一緒に分かち合う時間を持ったり
(WBCを一緒に応援するなんて時も)

しかし、そうやって時間の経過と共に、知らない人から、家族じゃないけど近しい人に変わっていく

いなくなると寂しい
何年経っても忘れない
生きている者同士が語る思い出には、いつも名前がのぼるような人になる

このような関係になったというまでには
職員を含めて他者からの働きかけだけではなく、
介護を受ける者自身がその場にいる他者を受けいれ、応答して下さったのだろうと、思う


お互いに節度を保ち
強制されることのない親愛を、互いに示し合える関係とでもいおうか

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職業として介護をする者だから、介護保険制度上相手にとって必要な介護は丁寧にしなければならない

しかし、介護事業所内における人間同士の関係も、外の世界と同じ

関係性を築く気持ちを持っていない人に対して、一方的な嫌々ながらの働きかけでは、そもそも人間同士の関係自体がうまれないだろう
どんなに長い時間一緒に過ごしていても

相手本位の支援をするために、相手を知ろうとするが
相手の憎しみや、相手自身の混乱に、介護者として強制的に向き合わなければならない事で心は追い詰められる

人間として、この人をみなければならない?
この人のために自分の感情を使わなければならない?

そんな時は、相手を人間としてではなく
金銭でつながった、介護「対象」(物でもない)として受け入れることになる。

虐待をしないために、相手を自分の思い通りに支配しようとする気持ちを許さない

そのために、「対象」として見つめる、
やっとそばにいることができる
身体介護をすることができる

介護報酬の対価に、愛は含まれないのだから、間違いだとはいえない
契約に則ったことをしているだけ
そもそも、家族の介護負担の軽減が目的

そう思いながら、介護をしている自分も虚しさを感じている

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もし、この人が、自分の本当の家族だったら
悲しくなるだろうが
少なくとも相手を人間としてみることができるだろう

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自分だったら

どんな状態になったとしても
せめて人間として相手に自分のことを考えてほしいと思う

でも、介護をする時だけ、お金を払ってお願いする関係で
なおかつ相手の気持ちを考えない振る舞いをするなら
「対象」としてみられてしまうことを含め
こちらの振る舞いに応じた対応を介護者からもされるだろう

それでいいだろうか

自分がどんなに衰えた状態にあるかということが惨めなのではなく
そもそも金銭報酬が発生する「対象」としてしか認識されていないことの方が惨めだ

この世に人間として生きている間は
人間として周囲の人と過ごしたいし
頼りたいし、頼られたい

それがない人は、生きていくためのお金の心配がなかったとしても
やはり惨めな存在だと思う

この惨めさは介護保険制度によって解決されるのか

今のところ、納得はしていない


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