もぎり屋緊太郎

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寫眞小噺 白昼迷宮

どこから話そうか。 私と早瀬の出会いからか? 早瀬が出会った「あの女」のことからか? 順を追ってならば、私と早瀬の出会いからだろうか。 彼と出会ったのは今から十年前、東京のとある下町にある、とある喫茶店でのことあった。 早瀬という男は、背はすらり高く黒々とした髭を蓄えた野人のような男であったが、いつも絣(かすり)の作務衣(さむえ)を着た、それはそれは風変わりな男で、私たちは週に一度その喫茶店に通っては、1杯五百円の珈琲で長い時間を過ごすのが常と言う風であった。 ある初夏

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