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ヴェーラ先生の誕生日

10月1日は、ヴェーラ・ゴルナスターエワ先生の誕生日です。
ヴェーラ先生は、2002年のチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で優勝した上原彩子さんの先生です。

1994年にNHKで放送された貴重な映像はこちらから。

ヴェーラ先生のレッスン風景はここから。通訳がついているので、よく分かります。


上原さんのチャイコフスキー国際コンクールでの演奏映像はこちらから。

こちらからヴェーラ先生の演奏を聴くこともできます。

ロシア語ですが、ヴェーラ先生の映像を見ることもできます。


ヴェーラ先生の本は日本語に訳されています。それは、こちら。

私は、「コンサートの後の二時間」のもとになったロシア語の本を探して、2018年4月から5月はモスクワ市内をうろうろ歩きました。古本巡りをしているときに、偶然出会った人の弟さんがモスクワ音楽院の教授でその本があるか訊いてあげると言われましたが、結局見つからず。
ヴェーラ先生の娘さんに、義母から連絡してもらったけれども、手に入らず。

そのため、レーニン国立図書館に通うことにしました。

レーニン図書館で検索したら、偶然にも新しい本が出ているのを見つけました。それがこれです。

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この本は、90年代に出た昔の本と違って、中はカラー写真もあり、紙質もとてもいい本でした。

長くなりましたが、この本探しの旅の話です。
2019年3月にレーニン図書館で見てすぐに、この本が欲しくなりました。
そのため、図書館をすぐに出て、モスクワ市内の大きな本屋さんをその日のうちに数件回りました。ところが、ありません。出版年はそれほど古くないのに、見つかりません。日本だと人気が出た本は、2刷、3刷と増版しますが、ロシア連邦の場合は、1度作った分を売り切れば、それで終わりということがほとんどです。

それでも、どうしても欲しくなっている私は、その翌日、出版社を訪ねることにしました。出版社の入り口はカードキーが必要で、部外者は自由に入れません。警備員さんとやりとりをしているうちに、どこからか、キルギスタンの出前の人が現れ、その人が、私の片言をロシア語を聞いて、間違いを訂正して警備員さんに通訳してくれました。何とか出版社の人が入り口に来てくれましたが、在庫はありませんでした。
この後、モスクワ市内にありそうなところを順番に回ることにしました。地下鉄で行ってもいいけれども、モスクワ地下鉄は深いので、地下に潜って、地上に出てというのに結構時間がかかります。
歩いて行ける距離でもあるからと、歩くことにしました。

まずは、グリンカ記念楽器博物館。ここのお土産コーナーに本が置いていないかを見ようと思いました。到着すると、男性が声をかけてきます。本を探していることを言うと、ここにはないけれども、ネットで見てあげると、ネットで調べ始めました。本屋さんのネットは昨夜すべて見てなかったのを知っているから、ないよと思いながらも、この世話焼きはロシア連邦ならではです。

結局なく、次に目指すは、チャイコフスキーコンサートホール。ロビーにお土産売り場がないかな?と思ったけれども、よく考えたら、公演の時に開くだけで昼間には開いていませんでした。

そのまま歩いて、楽譜の出版社。おばちゃんに訊くと、「ヴェーラ・ゴルナスターエワは、古いからないよ。」と言われました。2017年の本なのに、古いとは・・・

チャイコフスキーの博物館も近いからと寄ってみるも、お土産コーナーにありません。

そして、よく行く楽譜屋さんも見ましたが、ありません。

ここまで来たから、モスクワ音楽院へも行きました。しかし、公演時にお土産コーナーが開くだけで昼間は開いていません。それでも、諦めきれずに、警備員に図書館へ行きたいというと、案内してくれました。図書館で本を訪ねると、あるんだけれども、今工事中で本を出せないと言われました。たしかに、あちこち工事をしているし、最近、火事もあったし、仕方がないと思いました。そもそも学生でない私が利用できたとは思えませんが、偶然にも中に入れました。

結局、レーニン図書館で見るしかないかと6,4㎞歩いた放浪の旅は終わりました。

家に帰って、また調べます。レーニン図書館以外の図書館に所蔵していれば、借りられると思ったからです。

そして、ソルジェニーツィンの名の図書館に所蔵されていることが分かり、翌日出かけました。
図書館に行きたいと警備員に言っても、レストランだと思って、間違ってきたと思われ、なかなか案内してくれません。私は以前にも博物館に来たことがあるし、間違っていないと伝えて、やっとコートを預けて図書館に入れました。しかし、この図書館は貸し出しをしていなくて、館内での閲覧のみと言われました。館内での閲覧なら、レーニン図書館と同じなので、早々に退散しました。

結局、レーニン図書館で閲覧するしかないと思い、通って、書き写すことにしました。昼間は、レーニン図書館で書き写して、夜は翻訳作業という日々が続きました。

そうしているうちに、チャイコフスキー国際コンクールが始まり、モスクワ音楽院内の売店を見ることができました。しかし、ありませんでした。

9月にコンサートがあって、モスクワ音楽院に行ったときに、売店でやっとこの本を見つけました。迷わずにすぐに購入。ヴェーラ先生の誕生日が近い時期だったから売店にあったと思いますが、1冊だけで、私の後に来た人も欲しかったけれども、買えませんでした。

というわけで、1年半にわたって、ヴェーラ先生の本を求めてモスクワ市内で探した旅は終わりました。

私も1度でいいから、ヴェーラ先生のレッスンを受けたかったなあと思います。


毎年、この時期はヴェーラ先生の教え子などがコンサートを開いていて、コロナの今年もいくつか開催されるようです。


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