第8期コーディネーター養成講座 受講生の声

10月から5名の受講生の皆さんと共に、コーディネーター養成講座を2週間1回のペースで学んでいます。受講生の皆さんは、建築設計、福祉、医療、居住支援などの分野で実務をされている多様な顔ぶれとなっています。
第一ステップ「コミュニティデザインについて学ぶ」をテーマにした講座4回について、受講された皆さんの感想をご紹介します。

1日目:コミュニティデザインの思想とは?


Q1:コミュニティデザインの目指す物について、自分が共感することはありましたか?

■感想■
コミュニティデザインは、一方的ではなく、双方が産み出すもの。コーディネーターは、安心して話し合いが出来る場を、フラットな場を保つ事を守るのが仕事。場の力を信じる事など共感した。多様性があるから、バランスが取れる。主体は住民。日本は、歳をとったら、家族が面倒見る、見られなければ行政が何とかしてくれるという価値観があり、権利を主張する社会構造があるように思う。そんな中で、主体性を産み出す為には、自分自身もフラットで俯瞰できる力が、必要。そのためには、自分の偏りそうな癖を自覚する必要があると改めて感じた。

Q2: 基本的人権や民主主義、社会的公正さ、ということは今の日本でも大きく揺らいでいるのではと思いますが、自分の経験や仕事のなかで、そういうことについて考えたことはありますか?

■感想■
これまでは、資本主義と民主主義がある程度のところでバランスが取れていたと思います。それが民主主義が機能不全に陥り、資本主義が極限に向かう中で、そのバランスが崩れている状態が今だと思っています。自分を取り戻し、自分を満たしていくこと、旧来型の組織形態から自律分散型組織への移行などがこれからキーになってくるのではないかと想像しています。そこには、基本的人権というものがとても重要になってくると感じます。

2日目:コミュニティデザインの技術とは?

■感想1■
この第2回の講座は、話し合いの手法としての『ワークショップ(WS)』について学びました。
これまでワークショップに参加した経験はありましたが、形式的なもので効果があったとは思えないものでした。今回の講座を受けたことで、効果がないと思った理由が理解できました。
ワークショップとは、1回で効果が出るものではなく、ワークショップによる話し合いを身体等も使って、何度も行うことで、理解を深化させていくプロセスなのだと学びました。本来のワークショップを理解し実践することで、少数意見と多数意見は同等であり、それぞれが両立する最善の方法を模索することで、「創造的解決」が可能かもしれないということに、大変可能性を感じました。
ぜひ本物のワークショップのスキルを身につけたいと思います。
宿題の自分を振り返るでは、参加者5人の「環境的な自伝」を知ることができました。
幼少のころに育った「自然との関わり」のなかに、素敵な思い出があることが、5人共に共通していると気付きました。

■感想2■
ワークショップの仕方、進め方を改めて確認できました。
ずっと、住民対象に何度も行っていましたがどこかでまとめよう、こちらの思いでまとめようとしていたように感じます。どこかでこちらの思いを押し付けていたように感じます。目標、決める事は必要ですが、どのようにしていくか(プロセス)は、参加者が決めていくことを改めて感じました。
ファシリテーショングラフィックは、みんなが話したことをメモし見えるようにしていくことで話し合いの目標が参加者全員で見えて答えが早くまとまりやすい事が分かった。
ワークショップで反対意見、私はみんなと違う!は大事にしたい意見として次回も参加をしてもらえるようすることが大切!を学べた。
いろんな人がいていろんな意見があって、目先のことだけで話し合うのではなく広い視野を持って話し合う事を学べた。
最後の『自分を振り返る』では、何を大事にしているのかまで話せなかった。
ひとつわかったことは、とても大切に育てられていたこと。
そして、話し合いでは伝えられなかったことは、学生時代(高校生ごろかな)にたくさんの人に出会えたこと、身体に障がいを持った方や心に障がいを持った方、我が子を亡くした家族やその母親、引きこもりの子や学校に行けなくなってしまった子、そんな方たちを支えてきている方々、この出会いが今の私を育ててくれたなと思います。人との出会いを大切にしています。

■感想3■
◇WSとはなにか、WSの可能性
・最初からうまくいく訳ではなく、同じことを繰り返しながら少しずつ理解しあい、進化していくこと、時間がかかって大変だけどそれが「話し合うということ」というワークショップの基本と意義が確認できました。
「めんどくさいことに未来がある」というのは、「まちのもり本町田」などコレクティブハウスのお話を伺って感じたことでした。
ですが、多くの人は面倒なことは避けたいと思うでしょうから、コーディネーターの役割は重要ですね。
◇自分を振り返る
・他の参加者の人となりを知ることができました。
・自分がどういう人物で何を大切にしているか、背骨を持つことがコーディネーターとして立つときに重要ということも興味深かったです。

3日目:コミュニケーションの本質〜価値観を語り合うWS体験

■感想1■
第3回の講座では、「自分の価値観」と「社会を変えていく価値観」について考えました。
それぞれの価値観を言葉で伝えあうという経験は初めてでしたので、大変新鮮な学びとなりました。
価値観という言葉には「感情」と「思考」が含まれると思うのですが、自分の中に冷静で論理的な思考の部分と、起伏のある感情の部分を話している中で感じていました。
私の場合は、「これはおかしいと思うこと」に対して感情が動くのだということが認識できました。そしてその感情と思考が一致した時に、言葉や行動に出ていることも分かりました。
今回のワークでは、コーディネーターとしてコミュニティデザインを実践する際に拠り所となる価値観・信条を言葉にできた点が、大きな収穫でした。
【私が選んだ社会を変える3価値観・信条】
11:小さな変化が重なって大きな結果を生み出す。
19:公共住宅政については問題があると思う。
30:デザイン・プロセスは出来上がったもの自体よりも重要である。

■感想2■
今回のワークで自分を客観的に捉えることができました。参加者みなさんの考え方をお聞きし、色々な捉え方があって面白かったです。実体験から得られた価値観のお話しはとても説得力があり、勉強になりました。
対話の重要性を認識するとともに、安心して対話ができる環境の場をつくることが大切だと感じました。受容、共感的理解、自己一致という傾聴の根底にある部分を理解し話し合いの場に参加することができれば、対話のしやすい環境ができるのではないかと思いました。

4日目:ワークショップの技術と可能性~コレクティブハウス立ち上げプロセスから学ぶ

■感想■
・「結果として大変そうにみえるけど、そうでもない」というお話でしたが、「大変そうだな!」というのが、正直な感想でした。コレクティブハウスに興味がある私でもそう思うので、関係者を巻き込むのは大変そうです。
・WSに参加するすべての人が判断できる様な情報を伝えることは大切で、手間はかかるけど結果として理解が深まり時間を短縮できるという話が印象に残りました。
・設計の役割もコーディネーター、設計打ち合わせもワークショップ的な要素があり、またコミュニティづくりと違う要素もあり、深く考えてみたい。
 事業収益や相続対策だけではなく、大家さんの暮らしも豊かになる賃貸住宅の設計に活かしたいと思います。
・Projectや事業主、参加者によっても違うので正攻法というのはなさそうです。
 「やってみないとわからない。やってみる!!」

■感想2■
(コレクティブハウスの立ち上げのために)30回のWS、ここまで対話を重ねているのかというところが率直な感想です。一方で、自主運営をしていくということを想像すると逆によくこれで収まっているなという感じもします。住まいというハード的な部分をどうデザインするか、暮らし方というソフト面をその空間にどのように落とし込んでいくか等々、決定すべき事項はとても多いと思います。アイディアを集め、整理して、その中から誰もが納得する形を選択していく。WS参加者自らがその決断を行えるように調整していくコーディネータの役割の重要性を感じました。
(以下)イメージです。

子どもが補助輪のない自転車に初めて乗るときの親の対応。
①転ばないようにしっかりとバランスをとりながら前に進むために押し続ける。
②自分で進めるようになってくるとバランスを崩す時だけサポートしてあげる。
③不安があるので支えているふりをする。
④自信をもって自分でバランスをとって進んでいけるようになったら何もしない。

WS参加者とコーディネーターを考えたとき、このようなことを想像しました。





これから第二ステップ「コーディネートとソーシャルワーク」にうつり、いよいよ1月からは受講生の皆さんがそれぞれ持っている課題をテーマに、演習に入っていきます。


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