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[2023/03/18]本日の日記「ミラーイメージ」

ユニフォーマーズでマスクスの力を手に入れ、ブラックアウトの仲間たちをユニフォーマーズへと引き入れようとするウララに対峙するユウユ。

ウララの真意を確かめるため、そして正体不明の組織ユニフォーマーズのことを知るべく、ユウユは新たな戦いに身を投じる。


思えば、ちょうど前シーズンも10話がウララとユウユのマッチアップだったんですよね。

あの時と、実は構図そのものは変わっていない。

ミレイやライカとの交流を通して、「強くなりたい」と思うようになったことで、ファイトに焦りを覚えるウララと、そんなウララを宥めるかのようなユウユの優しいファイトだった。

あの時もウララは自分を見失っていたし、ユウユはそんなウララを諭すのではなく、受け入れて道を示した。

それはユウユの優しさがあったからこそだ。

だから今回も変わらない。

変わり果ててしまったウララ相手に、今のウララを間違っていると断ずるのではなく、今の強さに至るまでの努力を讃え、その上で彼女から失われてしまったアイデンティティを説く。

ユニフォーマーズが掲げる強さと、デラックスでユウユとライカが見つけた答えは、決して平行線ではない。

何故なら、誰もが「強くなりたい」と思い、在り方を探すものだからだ。

ユニフォーマーズのように統一された正解を追い求めることも、ブラックアウトのように各々が自由に好きなことを目指すのも、トウヤのようにただひたすら主体性のない強さを求め続けることも、何一つ間違いではない。

ただ一つ、間違っているとしたら。

それは「その考えだけが正しい」と思ってしまうことだ。

どんなものにも良さがある。

たった一つしか素晴らしいものがないのなら、そこに選択肢は存在しない。

特にヴァンガードはカードゲーム。

自分が握るデッキにも、さまざまな理由があるだろう。

「このカードが強いから」、「このデッキの動きが楽しいから」、「このカードのキャラクターが好きだから」。

どんな理由でも、そのデッキを選ぶことは正しい。

正しいから、唯一の正解は存在しない。

だからこそ、「本来の自分自身」を捨ててしまったウララに、ユウユは全力で向き合っていった。

この様が、あまりにも昨今の情勢における某新興カルトのそれに近い。

「私はユニフォーマーズで変わることができた」「だからあなたもユニフォーマーズになってほしい」

こんな言葉は勧誘でしか聞いたことがないし、ユウユはウララ自身のことを一切否定していないにも関わらず「どうして認めてくれないんですか!?」「強くなった私を否定しないで」と突き放す。

マジでカルトのそれなんですよね。

しかもタチが悪いのが、「自分がなりたいものってこんなのだっけ?」と疑問に思った時に「まだ私が弱いんだ、もっと強くなれば楽しくなるはず」とすぐに気持ちを切り替えてしまう。

マインドコントロールに近いものがある。怖過ぎる。

強いだけだ、とユウユがはっきり口にした後のペルソナライドのターンも恐怖が過ぎる。


そして、そんなウララを解き放ったのが『武装鏡鳴 ミラズヴェルリーナ』。

4月7日に発売予定のブースターパック『仮面竜奏』で登場する新たなクロスオーバードレス。

自分を捨て、力に取り込まれている「マスクス」を相手取るにあたり、ヴェルリーナが形取った武器は鏡。

鏡は虚像。なれど真を映し出す。

ユウユはウララに、ミラズヴェルリーナを通して、「今、本当に自分自身が心の底からやりたかったことをしているのか?」と問う。

鏡のイメージで、ウララは『自分が助けを求める姿』を目にするが、何と叫んでいるのかわからない。

さらに、気づけば鏡にはユニフォーマーズのAIであるギィの姿が映り、自分の姿はどこにも無くなっていた。

カードの音を聞き、ファイターの心を音で感じ取ることができるウララの個性は、ユニフォーマーズの強さには必要のないもの。

ユニフォーマーズの強さを手に入れた代わりに、その本来の個性を失ったばかりか、その強さも画一的なものであり、「自分が強くなった」わけではない。

そのことに鏡のイメージを通して気づいたウララは絶望するが、とある「おまじない」を思い出す。

耳を塞ぎ、自分に耳を傾ける。

これはかつてナダツグ=ダンジがミレイに、ミレイがウララに教えた「自分を見失わないためのおまじない」。

耳を塞ぎ、自分が聴きたかった音を思い出す。

そうして目の前に映ったのは、奇しくも同じマッチアップ、Will+Dress Season1 第10話「響き合う音色(シンフォニー)」での、ユウユとウララのファイトであった。

誰かと音を重ねるようなファイトがしたい。デラックス決勝戦でのユウユとライカのような、心の底で、より深い精神の繋がりでぶつかり合うような、そんなファイトを自分もやってみたい。

そうしてウララは自分の願いと想いを取り戻し、ファイトが再開する。

最後、「ヴェルリーナ・エクスペクター」のアタックで3点を受けてウララは敗北するが、その6点目、ウララは「満開の大行進 リアノーン」の音を感じ取り、「まだ私と一緒にいてくれるの?」と涙を流しながら、6点目のダメージを受け入れる。

こうしてウララは自分を取り戻し、ユウユはユニフォーマーズに啖呵を切ってみせた。


このウララが自分を取り戻すくだり、本当に構成の魅せる技というか、アニメーションでの表現が素晴らしくて何度も見返してしまう。

よく自分を見つめ直すメタファーとなる鏡がモチーフのミラズヴェルリーナ。

鏡には助けを求める自分の姿が映るが、音を感じ取ることができるはずのウララの『何言ってるか聞こえないよ』。

その鏡にはユニフォーマーズの象徴となるギィが映り、ウララ自身が存在しないこと。

絶望したウララが不意に思い出すミレイのおまじない。

ウララが思い出す、同じ対戦カードで感じた心の違い。

自分を思い出した瞬間に流れたウララの入場曲「Future will come」。

「強くなりたかった」というウララの言葉に「ウララさんはずっと強いよ」と屈託のない笑顔で語るユウユ。

そしてフィニッシュカードである、オーバードレスのドレス元のパワーを得る=自分の積み重ねつべ手が力となる「ヴェルリーナ・エクスペクター」。

全てがアニメだからこそ、ヴァンガードという作品だからこそ描けるもので、心の底で感動した。


何よりも一番良かったのは6点目のダメージ。

これは遡ること10年前、初期のヴァンガードアニメからのあるあるで、6点目は切り札カードになりがちというものがある。

今回も例に漏れずそのあるあるを踏襲したのだが、実はこの6点目に切り札があることに意味を持たせたシーンは多くない。

なんならほぼないに等しいと言ってもいいだろう。

音を感じ取り、「まだ私と一緒にいてくれるの?」と溢したウララがめくった6点目のダメージは「満開の大行進 リアノーン」。

自分がユニフォーマーズによって自分を見失った末に手にした力「隷属の葬列 リアノーン・マスクス」ではなく、「満開の大行進 リアノーン」だったのだ。

これはウララが自分を取り戻したことに他ならず、マスクスそのものも否定しない。

マスクスの効果は、マスクスになる前の自分の姿を除外する。龍樹(ユニドーマーズ)の力を使うために、これまでの自分(ヴァンガード)を捨てるカードだ。

このファイトと前回のトマリとのファイトで、ウララは自分が大切にしていたもの、これまでのウララの経験そのもの、自分で選んだ相棒であるリアノーンまで捨ててしまっていたのに、その捨てたリアノーン自身は、まだウララと共に戦いたいと応えてくれた。

どれだけ自分を捨てた気になっても、心の奥底、最初の願いまでは捨てることはできない。

自分を捨ててまで強くなりたいと願ったのもまた、自分の願い。

自分の願いが生きている以上、カードはそれに応えてくれる。

そんなメッセージのようで、今までで一番「6点目のダメージ」に寄り添ってくれたのが嬉しかった。

マジで面白いです、Will+Dress。

本当に見てほしい。

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