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-18度、寒さを忘れる。

ここにたどり着くまでの工程が、本当に億劫だ。自分で運転するわけではないし、眠くなったらそのまま助手席で居眠りしてしまったりして、連れて行ってくれる人には本当に申し訳ないとは思うのだが。

まず布団から抜け出すのに苦労する。

暖房が利いているとはいえ、あたたかいパジャマを脱ぐのが嫌だ。

いそいでヒートテックやら分厚い靴下を2枚履き、裏起毛デニムとダウンパンツとアウトドア用パンツを着込む。服を着るだけで大仕事だ。そしてまだ外は夜明け前で真っ暗。キンキンに冷え込んだ帯広の街をあとにして、大津海岸へむかう。ネックウォーマーで首も回らない。あぁほんとうに窮屈で億劫だ。

でもこの光景を目にすると、寒さも眠気もすっかり忘れてしまう。

波の上に立ち上る気嵐。夜明け間近の空がやさしいパステルカラーに染まる。それをなんとか写真にとらえようと、ファインダーをのぞいてみるけれど、目で見るそれが、ファインダーではとらえられない。

冷え切ったカメラをはげましながら、この光と空気を捉えられてますように、と祈る気持ちでシャッターを切る。

夢中になって寒さも忘れる。

ふと一息ついたとき、つま先が冷たく痛いほど痺れているのに気づく。あわてて歩き回ったり、その場でジャンプしたり。使い切りカイロはこんなとき役にたたない、自分の内側から温めるのにかぎる。

そうやって、ぴょこぴょこはねながら撮った写真だ。

起きるのはつらいし、手足は痺れるほど冷たくなる。
でもまた来年来たい、これを見たい、そう思わずにはいられない時間と光景。

年々、駐車場も整備されて、今年は仮設の売店もできてた。
ぜひ冬の豊頃町、大津海岸おすすめです。訪れてみてください。

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