4-1 貴女にとって最も危ない男とはこの ~小説「女主人と下僕」~敗戦奴隷に堕ちた若者の出世艶譚~
マーヤの家。
その家は堅牢な石造りであったが、上級市民の住まいとしては、かなり地味で簡素な外観のやや街はずれの一軒家であった。上級市民の洒落た邸宅というよりは、避暑地の簡素な別荘とか、田舎の裕福な土地持ちの農家の家のような外見だった。庭は広いが、野花と植えた花が混じり合って咲く、地味な庭だった。
ディミトリは、ザレン茶舗の仕事の休みの日に、小遣い稼ぎに庭仕事も請け負ったりするので、この野草が咲き乱れる庭をよくよく観察すれば、珍しい高原の花をわざと植えてあったり、大きくなり