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Monologue06

2000.Jan.14-2000.Feb.02 (C)漆黒斎


雑感

ここは全体が雑感ではないのか、という疑問はほっといて。
最近やたらと忙しい。あまりにもやる事が多すぎて、船多くして船頭山に登るという感じだ。
こういう時には、妙に猥褻な気分が高まってきて、まだまだワシも若いのうでやんでぇ箆棒め、屋形船鼻の穴に突っ込んで大川へさらい込むぞ、とは関西生まれの粋な江戸っ子、花川戸助六は団十郎も良いが仁左衛門も捨てがたい、の弁。おお、御歌舞伎レポートも書かねば。
つうわけで、漆黒斎の夜はうららやすみれや初音とともに過ぎるのであった。
(2000 Jan. 14)

うこんとおこととおこめけん

漢字で書くと、「鬱金と御琴と御米券」なのだが、ひらがなで書かれていると、どきっとする奴らだ。
先入観や思い込み無しでものを見る、というのは結構難しい。最近読んだ本("Music, The Brain, And Ecstasy” / Robert Jourdain)には、音楽の楽しみというのは、先取り・予測(anticipation)が満足され、あるいは裏切られることによって生じる、テンションと解決の快感なのだそうだ。変化しないものは、意識の表層からは次第に消されて、変化するものに注力し、その変化の仕方を予測するよう、原始の時代から生き残りのために身に付けた - 脳が獲得した - 能力がその先取りなのだそうだ。
なので、過去の経験に多く出てきたパターンであると認識して、そのために準備をするというのは、結構プリミティブな部分で自動的に行われる事らしい。
ということで、この表題を見てどきっとした人は、そのようにパターン化されているというわけなのだが、だからといって生き残りには何の役にも立たんよなぁ。
(2000 Jan. 15)

21世紀

成人の日らしい、今日も出社した。毎年思うのだが、成人の日に見る晴着姿の娘さん達、どう見ても20歳には見えないことが多い。ドサクサに紛れて振袖を着ているちょっとお歳上のおねーさん達もいらっしゃるのではなかろうか。

あと300と数十日もすれば21世紀がやってくる。
子供の頃に想像した21世紀というと、エアカーが飛び交い、チューブの中をコミューターが高速で走り回る超高層都市、とかそういうものだったような気がする。そんなわけで、あとわずかで「前世紀の遺物」と呼ばれる存在になってしまう訳だが、そういう意味では、本当の21世紀というのは、今日成人式を挙げた人々の子供達が成人式を迎えるようになる2020年代頃なのだろう。
その日のために、拙輩は何かしてあげられるだろうか。[1月10日のメモより]
(2000 Jan. 15)

脱力

近頃また忙しいせいか、「脱力したもの」というのが好きだ。というか、意識に上ることが多くなっている。
少し前に書いた入浴剤なんかがそうだ。何かの本で見たのだが、「癒し系タレント」という分類もあるそうで、優香なんかがその分類に入っていた。個人的にはひどく懐かしい印象を受けるのだが。
たれぱんだ、というのもその種の癒し系マスコットだそうな。拙輩はデザインした人のほうが好きだが(^^;
この種の優しいもの、力が抜けているもの - 癒されるもの - ということになるのだろうが(この「癒し」ブーム自体、拙輩は嫌いなのだが)、考えてみると他力本願でちょっとアレだなぁ。「力を抜くにも力が必要」とは、『老人力』に書かれていたことだが、全く力を抜ききってしまうのは、それはそれでかなり難しいことみたいだ。
(2000 Jan. 15)

関係者以外立入禁止

よく見る看板だが、関係者っていったい何?とか、無関係というのも関係の一様態であるから、とか屁理屈をこねる輩がいてややこしい。
報道関係者、とかマスコミ関係者とかいう時も、その指す範囲はよくわからない。関係者って自分で言ってしまえばそうなるのかな。
そういえば、「消防署のほうから来ました。」とか言って、消火器を買わせる、ってのがあったそうだ。「消防署から来た」とは言っていないので、嘘じゃないだろって開き直られたらしいのだが。
このページも、関係者以外閲覧禁止とか表に書いてあったって意味が無いわけで、本当に入って欲しくないような場所は、はじめから入れないようにしておけば良いのだ。
にも関わらず、わざわざそういう曖昧な言葉を使って「立入禁止」なんて書いてあるのは、日本人御得意の、婉曲にやんわりとお断りする、という、つまり「検討させていただきます」の類なんだろう。
でも、「いいか、入るなって言ったよな、入ったのはお前が悪いんだぜ、そうだよな、俺、ちゃんと言ったもんね、俺、責任無いもんね」みたいであまり潔くないと思うのだが。
(2000 Jan. 15)

休日出勤

けーたいでんわのおねーちゃんが延々くっちゃべってる隣で、静かにスポーツ新聞を読んでいるぢさまと、それを遠慮がちに覗き込むばさま、というのどかな車内風景を眺めつつご出勤。
途中、『聖書神話の解読』を読む。新約と旧約とは予型論という関係であることが書いてあり、なかなか面白く読む。登場人物の名前の由来などわかって楽しい。
(2000 Jan. 22)

本屋さん

今日は仕事がらみの本を探しに、早めに会社を出て八重洲ブックセンターへ行く。当の仕事関係の本はともかく、ミステリーあたりのコーナーを覗いていたら、荒俣の本がまとめてある。季刊「怪」は7冊出ている模様。安倍晴明関係も、夢枕獏のを含めて何冊か。今度まとめて買ってやろう。
「家畜人ヤプー」の表紙を眺めていたら、意外とかわいらしいことを発見。狛犬おもちゃか何かでエロティックな女性が遊んでいる。この種の図像のシンボリズムの解読(あるいはこじつけ)というのも面白いかもしれない。文学全集のあるフロアで、「白川静コーナー」(通勤乱読*1参照)を発見。やはりウィルソンだったりしたらどうしよう。
あ、そういえばゲーテの『色彩論』の完訳が出ていた。確か、2分冊箱入りで25,000円なり。う~ん、欲しい。
いずれにせよ、本屋と文房具屋、道具屋、レコード屋(言い方が古いか)なんかは鬼門だ。何でも欲しくなる。物欲符連発と行きたいところだが、そうも行かんので困る。
(2000 Jan. 26)
*1: Books On the Road - reposted(1999−2018)

昼の憩い V

久しぶりにゆったりした午後である。昼過ぎまで寝た。コーヒーを飲みつつ、新聞の書籍広告に目を通したりしている。散髪に行こうか、楽器屋に行こうか、それともCD、いやゲームでも買いに、など、ここのところ抑圧されていた物欲が沸々と湧き上がってくる。
結婚記念日だったりするわけだが、それは、まぁ。
新譜が完成して発売が待たれるAllan Holdsworth先生のBaked Potatoでのライブがキャンセルされたらしい。相変わらず不遇な人だ。ファンがマニアックなのはともかく、本人が一番マニアックでしかも完全主義者、商売っ気無し、と来ているのではアメリカじゃだめだわなぁ。来日の予定もあるらしいのだが、いっそ日本に移住してはどうかと思うぞ。少なくともライブの場所には不自由しないんではないか。
さて、うどんでも食べてから行き先を考えようか。おっと、今年はまだ初詣に行っていないのだった。鎌倉辺りに散歩にでも行くか。
(2000 Jan. 29)

書籍広告から

新聞の書籍広告に『神との対話』などというのが出ていた。それでふと思いついたのだが、日本人って昔は(というのか、昔からというのか)アニミズム的世界に生きていたのではないか。
お天道様に感謝し、風に思い、雨に祈り、木々と語らい、土に安らぎ…。八百万の神々の多くは、自然の人格化ではなかったか。神と話すとは、自然の声を聞くことではなかったか、と。
神との対話、と言うとき、それは超越的存在としての一神教の人格神であろう。(件の本の著者は外国人だ。多分、キリスト教の神様なんだろう)だとすると、比較的優しい自然のなかで聴き続けて来た、八百万の神々とは異質の、砂漠の民の渇望した「妬む神」、契約を交わす神なのだろう。
要はカウンセラーみたいな、何らかのアドバイスをもらえる存在が求められている、ということなんじゃなかろうか。なんでもかんでも分析医に聞きに行ったりする様子がうかがわれるようで、ちょっと。
さて、そんな自然など、もう無くなってしまっているような気がするが、都市という環境の中にも、我々は見ることが出来る。ビルのあわいの狭い空間にも。重層的な空間と時間の中に密かに顕すその姿を。
(2000 Jan. 31)

初詣

ようやく初詣に行ってきた(30日)。除夜の鐘は、Y2Kのお陰でぶっ飛んでうやむやになってしまった上に、今月はやたら忙しかったので、今ごろ行くことになったのだ。(前の項みたいなことを書きながら、神様の所にお参りに行ってしまう、というのもちょっとあれだが、まあ寺の鐘を聴いて神社に行くような、八百万主義と言うことで、ひとつ。)
昼過ぎから鎌倉へ。小町通は結構な人出だ。去年のお札を納めてお参り。今年用のお札を頂いて、御神籤を引く。末吉。ここ2年ほどは、凶とか大凶とか凄い事になっていたので、かなりの改善と言えよう。厄年も終わり、少しは運気が上向いてきたみたいで嬉しい。
お昼は駅近くの蕎麦屋で天蒸篭。それから横浜へ向かう。ビブレ21の8Fにある島村楽器でベースを1本注文。ハンズで一休みしてから帰る。
時に、訳も無く無性にハンバーガーを食べたい、とか思うこと、ありませんか?間違っても「うずらのロースト 鴨のテリーヌ添え オレンジソース」とかじゃないところが哀しいと言えば哀しい。ここ2,3日妙にマクドナルドのあれが食べたい!とか思っていたのだ。女房もそうだったらしく、意見が一致したのでマクドナルドに行く。まくまく食う。満足。
除夜の鐘は百八つの煩悩を音にして空気中に拡散させてしまおう、という行事なのだが、今日の私は買いたいモノを買い、食いたいものを食う、という、煩悩の鐘鳴り響く一日だった。
合掌。
(2000 Jan. 31)

卵のコロッケ

卵が好きだ。弁当には卵焼きがあれば良い。ご飯に炒り卵でもかかっていればなお良い。晩飯も目玉焼きで結構。但し3つは欲しいが。その他、ゆで卵でも煮卵でも卵かけご飯でも。おお、卵の味噌汁というのも。
前世でウワバミに酷い事でもしたのだろうか。
そう、それで卵のコロッケのレシピなど紹介しよう。

[材料]

  1. 堅ゆで卵:好きなだけ

  2. ホワイトソース(固め)

  3. 衣:小麦粉、とき卵、パン粉:適宜

  4. 調味料:塩、こしょう 適宜

[作り方]
a)ゆで卵をつぶす。白身は微塵切り、黄味は適当に。
b)固めのホワイトソース(*1)に a) のつぶした卵を混ぜる。
塩、こしょうで味を調える。固さはゆで卵とホワイトソースの配分で加減する。
(*1:缶入りのであれば適当に煮詰める。小麦粉を弱火で焦がさないようバターで炒めて少量の牛乳でのばしても可)
b)を平たい器で冷ました後、ゴルフボール大にまとめ、小麦粉、とき卵、パン粉の順に付けて中~高温の油でさっと揚げる。
ウスターソース、ケチャップなど好きなものを付けて食べる。
[注意]揚げるときには爆発しやすいので注意。

付録:煮卵つゆを作る。好きな出汁と醤油、みりん、酒で濃い目のそばつゆ程度のもの。
卵をおわんに割り入れ、煮立ったつゆにそっと落とす。上から何度かつゆをかけ、表面が白く固まったら出来あがり。黄身は半熟にとどめたい。お椀に移し、浅葱など振る。熱いうちにどうぞ。
冷めてしまったら、お茶漬けのおかずなどに。
(2000 Feb. 1)

2/2 33・333

2月2日は、今年になってから33日目、残り日数が333日、というわけ。閏年ならではの数字の並びだ。それで、というわけではないが、出前の寿司を取る。拙輩が予想外に早く帰宅したため、女房が慌てたのだった。唇に安全ピンピアスの小僧が出前に来る。女房仰天。ケイグラント風に言うと、クリビツテンギョウと言うやつだ。4人前。まくまく食う。
デザートはチョコレートケーキ。7-11の奴だけど。なんとなく幸せ。
(2000 Feb. 2)

安全にお使いいただくために

先日注文しておいたベースが入荷したというので、会社帰りに引き取りに行く。店員のお兄ちゃんが親切で、とても気持ちの良い店だ。結構広くて品揃えも多い。付属品を見ていたら、「安全にお使いいただくために」というリーフレットが。
家電品などには付いているものだが、まさか楽器にまで付いているとは思っていなかった。世知辛い世の中になったものだ。曰く、

  • 湿気の多い場所では演奏しないでください。
    感電の恐れがあります …

  • 楽器を振り回さないでください。
    プロのステージアクションをまねて、演奏中にギターを振り回したり、体のまわりでギターを回したりすると … 事故の原因になります …

  • 演奏中に顔を楽器に近づけないでください。
    … 弦が切れた場合、手や顔に当たってけがをする恐れがあります。弦が切れる前にこまめに新しいものと交換してください。…

などなど、警告1、注意12、お願い4、という細かさぶり。電子レンジにいれるな、とか洗濯機で洗うなとか、猫に弾かせるなとか書いていないのが不思議なくらいだ。PL法の威力か。
(2000 Feb. 2)

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