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なぜchatGPTは今までのAIに比べて格段に性能が高いのか?違いを生む「要素技術」を解説

既存AIにくらべChatGPTではより複雑な質問に答えたり、詳細な情報を提供したりすることが出来るのはなぜでしょうか?
双方に搭載されている要素技術を踏まえて、違いを詳しく見ていきたいと思います。

既存のAI技術との比較

RNNについて
以前の自然言語処理(NLP)ではRNN(リカレントニュートラルネットワーク)でのアプローチが主流でした。

引用:https://towardsdatascience.com/introduction-to-recurrent-neural-network-27202c3945f3

RNNとは、文章や会話のような時間経過とともに変化する情報を扱うのに適したAIの一種です。
RNNは過去に何があったかを覚えていることができ、現在の入力と過去の情報を要約した情報を受け取り、次に来る単語の意味を理解するのに使います。また、文章の各単語に対して、基本的に同じ処理を繰り返すことにより、文章全体を一貫して理解するのに役立ちます。

RNNの用途として:
・言語モデル
・テキスト作成
・音声認識
・機械翻訳
などがあげられます。

この技術の限界と課題
しかし、長い文章や会話では最初のほうの情報を忘れてしまう「勾配消失」問題やシーケンスを逐次的に処理するため、特に長いシーケンスでは計算に時間がかかり計算効率が下がります。

これらのように過去の情報を覚えておく能力がありますが、長い情報を処理するときには少し苦労することもあります。

Transformモデルの革新

Transformモデルについて
トランスフォーマーモデルの登場により、これらのアプローチに比べて多くの改善が見られました。特に、並列処理の能力、長距離の依存関係のより効果的な捉え方、文脈理解の改善などが挙げられます。

引用:https://crystal-method.com/topics/transformer-2/

トランスフォーマーモデルとは、大規模なデータセットからの深い学習を通じて、言語の複雑なパターンを理解し、生成する能力を持っています。
例えば文章の各単語を個別に一つずつ処理をするのではなく、文章を一度に見ることが出来ます。これにより、処理が高速かつ効率的になりました。
また、トランスフォーマーの核となる「注目機構」により文章の中で重要な部分に重視をすることで、より正確に言語を理解し処理することが出来ます。

これらにより、特に言語データの処理と解釈において:
・機械翻訳
・テキスト作成
・質疑応答システム
・テキスト要約
・自然言語理解
・音声認識
など非常に強力なツールとなっています。

既存AIの問題解決
1.勾配消失、勾配爆発
→トランスフォーマーモデルの注目機構により、どの単語も直接、他の単語と関連し長い距離の依存関係を効率的に学習できます。

2.長いシーケンスの処理
→トランスフォーマーモデルでは、シーケンス全体が一度に処理されるため、シーケンスの任意の部分間の関係を直接学習できるので、長期間の依存関係も効率的に行うことが可能です。

3.並列処理の遅さ
→トランスフォーマーモデルでは、全ての単語が同時に処理されるため、計算を並列化することができ処理速度が大幅に向上します。

4.初期データの紛失
→注目機構を使用することで、シーケンスのどの部分が重要かを判断し関連する特徴を効率的に抽出して学習できます。

ChatGPTの技術

ChatGPTに内蔵されているトランスフォーマーモデルは、OpenAIが開発したGPTシリーズです。特に、ChatGPTはGPT-3,GPT-4を基に構築されています。これらのモデルについて詳しく見ていきます。

GPT-3
数百億のパラメータを持つ大規模なトランスフォーマーベースのモデルで、非常に幅広い知識と理解力を持ち、様々な言語タスクに対応しています。
これらは、一般知識、言語のニュアンス、文脈理解などを身につけています。

応用例:自然言語理解、テキスト作成、機械翻訳、質問応答、要約作成など

GPT-4
これはGPT-3をさらに進化させたモデルで、より多くのパラメータと改善されたアルゴリズムによりさらに高い精度と柔軟性を実現しています。さらに洗練された文脈理解や言語生成能力をもっています。
GPT-3と同様に幅広いタスクに対応できますが、より複雑な問いに答えたり詳細な内容を生成する能力が向上しています。

ChatGPTに内蔵されているGPT-3やGPT-4は、大規模なトレーニングデータと高度なトランスフォーマーアーキテクチャを利用して、非常に広範囲な言語タスクに対応する能力を持っています。

結論

トランスフォーマーモデルにより、NLPの分野において大きな進歩をもたらし、より効率的で精度の高い自然言語理解と生成、様々な質問への対応、そして言語に関する複雑なタスクの処理が可能になりました。
長距離の依存関係を効率的にとらえ、計算効率も向上し、柔軟性と広範な応用性により精度も向上しました。
また、NLPの新たな標準となり、以前のモデルが直面していた限界が解決され、より複雑で洗練された開発が可能になりました。

これはAI技術の発展に大きく寄与し、様々なアプリケーションサービスに革新をもたらすでしょう。

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