AIでプレゼン資料が完全自動化される日[考察系記事] 完全自動化される日は果たしてやってくるのか?
0. はじめに
0.1 いつ頃完全自動化が達成される?
AIによる知能, 生産が爆発的に増加する, いわゆるシンギュラリティ (技術的特異点) の到来がしばしば言われてます。先日, このような生産性の増加を表すグラフ (近似式) が話題になりました。
横軸 (x) に西暦 , 縦軸 (y) にGNP国民総生産として, y=a/(2040-x)
西暦が2040年に近づくとGNPが無限になる説明です。
という事は『スライド作成くらい簡単に自動化されますよね』とChatGPTに投げかけました。
あなた (ChatGPT) の考えでは何年ごろにスライド作成が完全自動化されると思いますか??
私自身もそう遠くない未来には完全自動まではいかないまでも, 高品質な下書きが自動作成されると思います。本記事ではどのようにしてそれが実現されるかの予測を主にChatGPTと一緒に考察していきたいと思います。
0.2 現時点でのAIスライド作成の自動化達成率
2024年3月の時点でAIによるプレゼン資料作成自動化達成率を100%の尺度でザックリと評価してください。
(パーセントはそのまま時間効率と考えることが出来ます。10時間の仕事→1時間に短縮なら90%)
以前紹介しました記事は現時点で有能な自動プレゼン資料作成AIの比較検証です。これらのツールを用いることでキーワード, 原案から簡単なアウトライン, デザイン, 画像の提案などをAIが行ってくれます。
勉強会やマニュアル, 簡単なアイデアの説明のプレゼンにはたまに絶大な威力を出します。しかし高度な考察が要求される資料作成には不向きで時間効率の観点からも達成率はまだまだの印象を受けます。
1. プレゼンテーションの現在, 過去, 未来
産業革命, 機械化の導入で人類の仕事は大きく変わりました。今後AIの発展でさらに大きな変革期が訪れると思われます。本記事では人類の『仕事』を以下の3つに分類してみました。
次はプレゼン資料作成における人類の役割を3つに分類してみます。
私が小学生の時には先生がプロジェクターで手書きの資料を映し出してたような記憶があります。大学生になりPowePointに初めて触れ, いずれ自動化されることを考えると感慨深いものです。
以下のnoteでプレゼンの歴史が先史時代から紹介されています。
2. プレゼンスライドの分類
2.1 難易度別分類
一口にプレゼンといっても趣味や雑学などの一般的な話からより先端の科学技術など専門的, 難解な考察を伴う, 高難易度なものまで範囲は広いです。ここではAIの視点から, 作成難易度でプレゼンを3タイプに分類しました。
DALLE画像生成時のプロンプト:
A highly detailed, photorealistic digital painting of a PowerPoint presentation screen designed for a high difficulty level. This presentation slide is about a complex scientific research project, showcasing advanced data analysis on genetic sequencing. The slide features a title 'Genetic Sequencing: Unveiling the Blueprint of Life', and includes multiple sections: an abstract, methodology, results, and discussion. The results section displays complex graphs and charts illustrating genetic patterns, mutations, and potential implications for medical treatments. The discussion highlights the significance of these findings in understanding human genetics and potential future applications. Visual elements include detailed charts, DNA strands, and microscopic images of cells, with a sophisticated layout that effectively communicates the complex data and insights. The design is sleek and professional, with a color scheme that emphasizes clarity and precision.
このカテゴリーの1と2に関しては現在のAIツールでなかなかの時間効率削減が可能です。(冒頭で同じような質問をしたときには20-30%と言っていた気がしますが, 眼をつむりましょう)
現在のAIでどれくらい自動化が達成できていますか? 時間効率的に。
100%:完全達成, 全自動
0%:手動
一方, 高難易度のスライドを作る場合, その分野の情報リサーチ, データ分析補助, 関連論文の英語文自動翻訳, 各種考察, アイデア創出の対話, 原稿, アウトラインの下書きなどAIを用いて補助的な自動化が可能であり, 時間効率として『30%位』の削減にとどまります。
2.2 各スライドの構成要素について
先ほどの難易度分類とも重複することが多々ありますが, スライドの構成要素, 特にテキストがどのようにつくられるか難易度別に以下の3パターン (ABC) に分類しました。
まずA. Web, 一般情報はインターネットから得られる知識です。ChatGPTは主にインターネットから得られる情報を元にテキストを扱うためこのカテゴリは比較的容易に生成することができます。
B. ユーザー指示応答はuser (製作者) の考え, 個人情報などChatGPTが知らないことです。インターネットから得られず, userしか知らない情報です。このカテゴリは入力すればChatGPTはそのまま, または整理してテキストを生成しますが高度な考察を含まないものです。
下のスライドは本文はChatGPT, 挿絵はDALLE3で作ったAI純度100%の架空プレゼンスライドです。テーマとしては『低難易度』の歴史, 雑学, 一般的な内容の『超古代文明』としています。
このスライドを元にテキストの構成を分類していきます。『低難易度』ということでC考察は含まない, A一般情報, Bユーザー指示応答が大半を占めるように作成しています。
ABCを色分けしています。A:青 B:緑 C:ピンク
次は高度な考察, 専門的な知識 (C高度分析) が多く含まれる高難易度のプレゼンスライドです。
C. 高度分析はuserが入力した情報を元に複雑な分析, 高度な考察によって生成されたテキスト, 図表などが含まれます。
以下は今回の記事用に架空の学会, 研究会の発表を想定し, 主にChatGPTにアイデアを与えて作ったものです。特に意識せずに作りましたが, 結果として構成要素は『C:高度分析』を多く含む資料となりました。
そのため, 現実には存在しない病気, 治療法が含まれますので半分SFと考えて下さい。GPT4V (ision) にスライドを『実際に見て』解説してもらうために後半の考察partは英語を多めに含んでいます。
作成難度を上げるために敢えて, 図表グラフなど複雑なオブジェクトを多数含めています。実際の学会発表では, 派手な画像, アニメーションは控えるのが無難です。
個人的には効率化の観点からこのような過度に凝ったスライド作成に時間を浪費することは避けるべきで出来るだけ早い段階でAIに自動化されて欲しいと切に願います。
※また『画像生成AI』の使用に関しても, 定まった見解が無いので個人的には不使用をお勧めしています。→■鋭意制作中 学会スライド発表に画像生成AIを用いても良いのか?■
高難易度スライドはWebから作成できる部分はほんのわずか (下の例ではSlide2 緒言:Introductionのみ) です。タイトル, 患者情報などはこちらの入力した情報に簡単な指示を加え作成することができますが…
考察Partは筆者のアイデア, 他者研究者の論文内容を踏まえた高度な考察が必要なため現在のGPT4や他のSlide作成toolでは全く歯が立ちません。
3. どのようにして自動化するかの考察 (主にChatGPTが考察)
3.1 B (User 指示応答) が多く含まれるスライド
以下のスライドは患者カルテの乱雑な文章から病気の経過を医学用語を用いて整った文章にしたものです。現時点のGPTには『病歴要約』を作成する能力はなくuser側が作り方を『プロンプト』で指示するか, 予めGPTsに内蔵しておく必要があります。
方法としては
非常に面倒くさく自動化から程遠いものです。
しかし近未来 (恐らく数年もかからない) のAIで簡単にクリアするものと考えています。
3.2 C (高度分析) が多く含まれるスライド
3.2.1 プレゼン内容全体のまとめスライド
意外と現在のChatGPTでも作成困難でした。鑑別診断 (この患者, といっても猫ですが で考えられる病気) はすんなり作成してくれましたが, プロブレムリスト (医学的に何が問題となっているか) は何回も作り直しを要求しました。
GPTが挙げたプロブレムリストは『家族歴, 喫煙, 飲酒歴』など一般的な医学的問題点でした。しかし, この患者 (新興ウイルス感染症) におけるプロブレムは上記がふさわしいと思います。これについての理由は以下の通りでした。
しかし, 技術的にそれほど難しいものではなく, 近未来には全自動されるのではないでしょうか。
3.2.2 論文を絡めた考察
以下のスライドはこの病気 (コロナをパロディーに模した架空の感染症) の一般的な性質, 世の中に広く認知されていない時期の検査法などが無い時代の設定で他の論文を引用して考察する内容のテキストです。ここからは作成難易度が極端に跳ね上がります。
A一般知識, Bユーザー応答を多く含む前半のプレゼンパートでは自由度が低く, AIによる機械的な作業で完結します。一方, 後半のパートは『考察』がメインでプレゼン筆者が伝えたい内容は個人によって『無数』に存在するためAIは何も出来ないというか『何もしないという』表現が正しいのか自動では作成困難です。
テーマを与えずにただ『考察を作ってください』とお願いしたら, 非常に抽象的であたりさわりのない文章が生成されます。
これまでの情報 (患者背景, 検査結果, 治療経過) から症例報告用のプレゼンスライド考察パート
1枚目のテキスト本文を作成してください。
これは『プールに時計のパーツを投げ入れたときに, 偶然にも組み立てられた時計が出来上がる』に似ている気がします。
重要なのはAIがどれだけ進化しても (さらに進化すればするほど出来ることも多くなるため), userがテーマを与えない限り生成される確率は極めて低くなるということです。逆にテーマ (プロンプト) をしっかり与えると現在のAIで十分に作成は可能です。
まあまあ詳細なプロンプト:
以下の例文は2020年当時のものです。最新の情報にup date してください。
文章のスタイルは例を踏襲して下さい。例えば箇条書きではなく文字列で。
学会スライド用のテキストで文字数も変えないでください。
例:Covid19患者の呼吸器検体から得た抗原1), PCR検査2)のいずれでも偽陽性, 偽陰性の報告が多く信頼性に課題がある。現時点で有用な検査や診断法が存在せず早期の確立が望まれる。 1) ■ 2) ■
■には引用文献が入る。
3.2.3 図表 折れ線グラフ, 散布図など
GPT4Vの理解は完璧でした。
しかし, 見て理解する事と『作る』ことは全く別物で現在のAIではこのような複雑なグラフ, 図形を作ることは困難です。詳細な言語指示から, 『無理やり』作成することも可能ですが動作が不安定なこと, 出力形式が『画像ファイル』であることが大きな欠点です。
折れ線以外の下記のスライドはいずれも『考察』を要求するだけでなく, 説明に用いるイラストなど自由度が高いため難易度は非常に高いと考えます。
現時点ではtemplateをAIに渡し作成する方法もありますが, 再現性など技術的な課題は山積みです。
まとめとして, 現時点では手動が速く, 現実的に自動化が考えられるのはPowerPointのグラフ図表作成のAIアシスト化 (copilot) ではないでしょうか。
4. どの手法がいち早く完全自動化を達成するか
A photo-like image showcasing the future of full automation in presentation material creation, featuring advanced AI systems, digital interfaces, and innovative technologies seamlessly integrated into a professional setting.
最後にGPTにどの手法でプレゼンの完全自動化が達成されるのか未来を語ってもらいました。